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- NK細胞とは -
   
 NK(ナチュラルキラー)細胞とは,免疫細胞療法にも使用される免疫細胞の一種であり,他の細胞からの指令がなくとも,血液と共に全身を巡り,がん細胞やウイルス感染細胞などを見つけ次第攻撃するリンパ球です


 がん細胞,老化細胞,ウィルス感染細胞などにパーフォリン,グランザイムなどの攻撃物質を放出して破壊するキラー活性を示します。サイトカイン(インターフェロン,インターロイキン)の産生も行います。

 細胞には自己と非自己を見分けるMHC分子というものが存在します。

 MHC分子は主要組織適合遺伝子複合体と訳され,人ではHLA(humanleukocyteantigen)とも呼ばれ,組織の細胞表面に存在する固体ごとの異なった抗原です。

 がん細胞などは細胞表面のMHC分子を失う場合が多くあり,このようなMHC分子が消失した細胞すべてを,NK細胞は常に攻撃します。


 NK細胞は年齢によってその数が変化します。生まれたときは数が少なく,加齢にともなって増加します。

 20~30才の健康な人の場合,末梢血中のリンパ球に占めるNK細胞の割合は約10~15%くらいでが,50~60才になると,比率は約20%程度に上昇します。


 しかし,NK細胞の活性は,逆に,加齢とともに低下していきます。NK細胞の活性化は15歳前後をピークに加齢と共に減少傾向にあり
ます。

 健康な人の体内では,毎日100万個ほどのがん細胞が生まれていますが,NK細胞など免疫機構が正常に働いていればすぐに駆逐され,がんになることはありませんが,加齢と共にその危険度は高まります。

 高齢になるほどがんの発生率が高くなるのは,NK細胞の活性化の衰えに関連しています。


 免疫細胞療法ではこのNK細胞を血液から抽出し,体外で増殖させ,またもどすという方法で利用しています。 

 ではNK細胞を自然に活性化させるにはどうすればよいのでしょうか?

  ○ 喫煙をひかえる
○ 質の良い睡眠をとる
○ 無理のない適度な運動をする。
○ 笑う
○ 充分な休養などでストレスをためない
○ 体温を下げない。
○ 薬・抗生物質を乱用しない。
○ バランスの良い食事を心がける
○ 健康補助食品を利用する。
 
   
   
   
    ロックフェラー大学の科学者によるNK細胞に関する新しい説    
       
   これまで,NK細胞は外敵を排除するために骨髄で生産され,血液を通して循環し,生まれつき持った能力で体内にある初期の腫瘍や感染媒体のある患部に潜入し,それらを破壊するものと考えられていました。

 しかし,クリスチャン マンツ博士率いるロックフェラー大学の科学者たちは,これに対する逆説を展開しました。マンツ博士と彼の研究グループによるとNK細胞は教育されなければならないと主張します。

 これらの細胞は,腫瘍や感染した細胞を破壊する能力を誕生時には持ち合わせていないのです。

 The Journal of Immunology(ジャーナル オブ イミュノロジー)の2月号に掲載されているロックフェラー大学のクリスチャン マンツ博士,ガイド ファラッツォ博士とその研究グループによる2つのそれぞれの報告書によると,NK細胞はほとんどが骨髄から発生した後,扁桃腺,リンパ腺,脾臓などの二次的リンパ組織に集まります。

 NK細胞がそこで2つの異なる反応を起こすために,活性化されるのを待ちます(これは樹状細胞によって刺激された後に起こるものと考えられています)。

 すなわち,NK細胞は教育を必要としており,どの細胞が有害であるかという知識を,NK細胞は生まれつき持っているわけではないということや特定の病気や感染細胞を攻撃するためには,誕生後に教育された結果であると述べています。