シクロホスファミド(エンドキサン)Cyclophosphamide −抗がん剤名    

  ナイトロジェン・マスタードの毒性を抑えた抗がん剤として1956年にドイツの製薬会社が開発しました。古くから使用されていますが,現在でも,最もよく用いられる抗がん剤の1つです。

 1970年代には,現在でも行われている,シクロホスファミドを中心とする多剤併用療法が考案されました。
 
 小細胞肺がんに対するCAV療法=シクロホスファミド・ドキソルビシン・ビンクリスチンや悪性リンパ腫に対するCHOP療法=シクロホスファミド・ドキソルビシン・ビンクリスチン・プレドニゾロンなどの抗がん剤として使われるほか,単独で用いられることもあります。

 シクロホスファミドの治療対象となるがん

 多発注骨髄腫,悪性リンパ腫,白血病,肺がん,乳がん,子宮がん,胃がん,大腸がん,肝臓がん,膵臓がん,咽頭がん,卵巣がん,精巣腫瘍等。


投与方法
 通常は点滴による静脈注射ですが,患者の体調やがんの種類によって,筋肉注射または腹腔内や胸腔内へ投与することもあります。また,錠剤での投与もあります。 

 シクロホスファミドの副作用
  この抗がん剤は骨髄抑制を起こしやすいので,感染症や貧血,出血傾向などに注意が必要です。

 また,膀胱に刺激を与えるため,投与の翌日から数日の間に出血性膀胱炎を起こすことがあります。

 そのほか,大量投与した場合には,心不全を起こすことかあります。

 脱毛もよくみられますが,治療が終わり,抗がん剤の使用をやめれば自然に回復します。吐き気・嘔吐,食欲不振などの消化器症状もよくみられます。

 そのほか,まれに肺線維症や間質性肺炎,腸閉塞などを起こすこともあります。
           

使用上の注意
  出血性膀胱炎は,抗がん剤の成分が体内でアクロレインという膀胱を刺激する物質に変わるため起こります。

 尿が膀胱内に長時間たまっていると,膀胱粘膜が刺激されるので,水分を十分にとり,排尿回数を増やすように心がけてください。

 また,シクロホスファミドとペントスタチンの併用は心毒性の危険があります。

 ペントスタチン以外にも,他の抗がん剤や放射線療法,痛風治療薬のアロプリソールなどと併用すると,骨髄抑制作用が強まるので注意が必要です。

 また,ステロイド剤や抗生剤クロラムフェニコールと併用すると,この抗がん剤の効果が弱まることがあります。

 催奇形性の可能性があるので,妊娠中の使用は避けることが望ましく,授乳は中止してください。

 
 
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