エノシタビン(サンラビン) 

 Enocitabine

 アルキル化剤 − 抗がん剤の種類

抗がん剤の特徴
  代謝拮抗剤シタラビンのプロドラッグの抗がん剤で,1970年代に日本で開発されました。
 
 早い段階で分解されやすいというシタラビンの欠点を改良し,シタラビンの化学構造を少し変えて,体内でゆっくりとシタラビンに変化することで,血液中や組織中の薬の濃度が持続するように改善されています。

 この抗がん剤は肝臓や腎臓,牌臓,白血病細胞の中に取り込まれたあと,シタラビンに変化します。

 急性白血病のほか,慢性白血病の急性転化の際にも用いられます。


抗がん剤治療の対象となるがん

 急性白血病の他に,慢性白血病の急性転化にも使用されます。


投与方法
 点滴で静脈に投与されます。通常,1日の投与量を1〜2回に分け,2〜4時間かけて行います。

抗がん剤の副作用
. 重篤な副作用としては,重度の骨髄抑制のほか,胸部の圧迫感,発疹,皮膚の紅潮などの重い過敏症状があらわれることがあります。

 また,エノシタビンの添加物には乳化剤のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含んでいるため,これにアレルギー体質をもつ人は,ショック症状が現れる可能性があります。
 
 その他の副作用としては,吐き気・嘔吐,食欲不振といった消化器症状が多くみられるほか,発熱や頭痛,倦怠感,脱毛,頻尿,肝臓や腎臓の機能低下などが起こることがあります。

 

使用上の注意
 点滴中に薬が血管外にもれると,2〜3日たってから,点滴部位がはれたり,しこりや疼痛,発赤などの急性炎症症状が起こります。点滴中はできるだけ安静を心がけてください。

 他の抗がん剤と併用した場合,骨髄抑制などの副作用が強まることがあります。

 動物実験で催奇形性が報告されているので,妊娠中の使用は避けることが望ましいとされ,授乳は控えてください。

 
 
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