代謝拮抗剤 − 抗がん剤の種類

 塩酸ゲムシタビン(ジェムザール) 

 Gemcitabine  

 代謝拮抗剤 − 抗がん剤の種類

抗がん剤の特徴
  ゲムシタビンは,構造や作用機序がシタラビンに似ていますが体内で活性化する効率がシタラビンの約5倍で,腫瘍内でより長時間作用するため,より高い抗腫瘍効果があるといわれています。

 また,一般に副作用は軽いことが多いこともゲムシタビンの特徴といえるでしょう。

 ゲムシタビンは細胞内で代謝されてニリン酸化物と三リン酸化物になり,三リン酸化物が,DNA合成に必要なdCTPという物質の代わりにDNAに取り込まれてがん細胞を死滅させます。

 一方,ニリン酸化物は細胞内のdCTPの濃度を低下させ,三リン酸化物ががん細胞のDNAに取り込まれやすくするようにはたらきます。

 日本では1999年に非小細胞肺がん,2001年に膵臓がんの治療の抗がん剤として認可されています。


抗がん剤治療の対象となるがん
 非小細胞肺がん,膵臓がん,胆道がんなどに適用されます。また,日本では認可されていませんが,海外では,乳がんや膀胱がん,卵巣がんや子宮がんなどでも有効とされています。

  非小細胞肺がんでは,シスプラチンなどプラチナ製剤との併用が標準治療の1つとなっているほか,単独で用いられることもあります。

 また,膵臓がんでは,腫瘍縮小効果はさほど高くありませんが,痛みなどの症状緩和効果は,フルオロウラシルに比べ格段に向上しています。
  


投与方法
 1週間に1回,30分かけて静脈に点滴します。1週間に2回以上投与したり,1回の投与に60分以上かけると副作用が増強したという報告があります。

 また,この抗がん剤は投与後の症状に問題がなければ通院による治療も可能です。
 

抗がん剤の副作用
 一般的な副作用としては、骨髄抑制と吐き気・嘔吐,口内炎などの消化器症状が多く,そのほか,発疹,発熱,頭痛,めまい,脱毛などが起こることもあります。

 この抗がん剤は副作用が出ても比較的軽度なことが多いといわれていますが,骨髄抑制による死亡など,まれに重大な副作用が起こることもあります。

 また,間質性肺炎,アナフィラキシー症,心筋梗塞,うっ血性心不,肺水腫,気管支けいれん,尿毒症症候群,腎不全等が報告されています。
  

使用上の注意
  投与後に眠けが起こることがあるので,自動車の運転などは控えてください。。

 胸部の放射線治療との併用は禁じられていますが,腹部の放射線治療と併用した場合に,重い合併症が起こる可能性があります。

 他の抗がん剤と併用すると,骨髄抑制が増強する場合があります。

 妊婦または妊娠している可能性のある人は使用できません。授乳は控えてください。

 
 
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