ピラルビシン(テラルビシン/ピノルビシン) Pirarubicin 分類 抗がん性抗生物質 |
抗がん剤の特徴 |
ピラルビシンは,ダウノルビシンおよびドキソルビシンの誘導体から合成した,アントラサイクリン系の抗生物質で,1979年に日本で開発されました。 心臓に対する毒性はダウノルビシンやドキソルビシンよりも少ないとされています。 この抗がん剤はがん細胞に取り込まれ,細胞分裂を停止させることで,がん細胞を破壊させると考えられています。 1988年に多くのがんに対する有効性が認められ,抗がん剤として認可されました。さらに 1992年には胃がんに対する抗がん剤としても追加承認されています。 |
抗がん剤治療の対象となるがん |
頭頚部がん,乳がん,胃がん,膀胱がん,腎孟(じんう)がん,尿管腫瘍,卵巣がん,子宮がん,急性白血病、悪性リンパ腫が保険適応として承認されています。 |
投与方法 |
静脈,動脈,または膀胱に注入します。がんの種類によって投与計画は異なり,3〜4週間に1回の場合や,1週間ごと,あるいは3〜5日間続けて投与する方法等があります。 |
抗がん剤の副作用 |
ダウノルビシンやドキソルビシンなどより,心毒性は軽いとはいえ,うっ血性心不全などの 心筋障害には注意が必要です。 抗がん剤総投与量がある限度を超えると,うっ血性心不全などの危険性が高くなります。 その他,重篤な副作用として,骨髄抑制やショック,間質性肺炎,膀胱注入時の膀胱の萎 縮等が報告されています。 その他の副作用としては,吐き気・嘔吐,食欲不振,全身倦怠感などが多くみられます。 また,肝臓機能の低下や発熱がみられることもあり,膀胱がんで膀胱内注入療法を受けた場合には,膀胱萎縮のほかにも,頻尿や排尿痛,血尿などがみられることがあります。 脱毛も起こりますが,他のアントラサイクリン系の抗がん剤よりは軽いといわれています。 |
使用上の注意 |
この抗がん剤は点滴中に薬剤が血管外にもれ,皮膚に接触すると,炎症を起こしたり,潰瘍ができることもありますので,点滴中はできるだけからだを動かさないよう注意してください。 心臓の機能に異常のある人や既往歴のある人はこの抗がん剤は使用できません。 この抗がん剤による治療以前に他ののアントラサイクリン系薬剤など,心臓障害を引き起こしやすい抗がん剤による治療を受け,その総投与量が限界値まで達している人も使用できません。 また,他のアントラサイクリン系抗がん剤や胸部への放射線照射を併用すると,心臓障害が強まる可能性があります。 動物実験で催奇形性が報告されている為,妊婦または妊娠している可能性のある人は医 師と相談してください。授乳は控えてください。 |
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