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免疫療法における温熱療法のメリット
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発熱と免疫
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ところで,風邪を引くと,どうして発熱するのでしょうか?
マクロファージなどの免疫細胞はウィルスと出会うとこれを貪食し,抗原を提示すると共に,情報伝達物質のサイトカインを放出します。
このサイトカインは血流と共に脳に達します。しかし,そこには血液脳関門があり,通過できません。
そこでサイトカインは,情報を伝えるメディエイタと呼ばれる物質であるプロスタグランジンE₂(PGE₂)の産生を促します。
このメディエイタは視床下部へ向かい,メディエイタが視床下部に届くと,体温調節中枢は発熱を指令します。
そこで,皮膚の血管が収縮したり,汗腺を閉じるなど熱放散を抑える活動が開始されます。さらに筋肉を震えさせて発熱を促すのです。
発熱は風邪の症状として,必ずでるものであり,呼吸が荒くなるなどよいイメージはありませんが,免疫細胞が活発にはたらくためには,通常の体温より高い体温が必要なのです。
ちなみに,免疫細胞が最も活性化するのは37℃~39℃の間の体温であるといわれています。
ウィルスや細菌などに接した免疫細胞はサイトカインの放出により,体温を上昇させ,免疫活動を活発にさせ,身体を守っているのです。
また,がん細胞は,正常細胞より熱に弱いといわれ,がん患者が,別の病気で高熱を出したりすると,がんが消滅するという症例も報告されています。
このようなことから,免疫細胞療法などの免疫療法と身体を温める温熱療法は相性がよく,併用することで,より高い治療効果が期待できます。
民間の免疫細胞療法専門のクリニックでも,この温熱療法を取り入れているところもあります。
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ハイパーサーミアと免疫細胞治療
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ハイパーサーミアとは,がんの温熱療法のことをいいます。
その温熱療法のための医療用装置では,ラジオ波やマイクロ波が利用されています。
ラジオ波は周波数30~300MHz(波長100km~1m)の電磁波です。
ラジオ波を使ったハイパーサーミアでは,体を挟む2枚の電極間に電流を流し,1秒間に800万回電極の極性が変化することで,電極にはさまれた,腫瘍細胞などの分子が高速で振動し,発熱するというものです。
また,マイクロ波を使用する場合もあり,マイクロ波は300MHzから300GHzの波(波長:1mm~1m)の電磁波です。ちなみに電子レンジもマイクロ波です。
ラジオ波はエネルギーの集中性は低いが波長が長いので,体の深い部分を温めるのに適しており,マイクロ波は短波長なので,体の表面に近いがんや食道がんなど体腔内の温熱に適しています。
この装置は「サーモトロンRF-8」と呼ばれ,昭和59年(1984年)に我が国最初のがん治療用の医療用装置として厚生省の認可を得ています。
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