NKT細胞療法

   NKT細胞は数は少ないがオールマイティな機能を持つ免疫細胞

 がん治療最新情報のホームへ  
スポンサードリンク
                                       
N K T 細胞療法
 
           
   「免疫細胞療法とがん免疫治療」トップへ  スポンサードリンク
 
免疫とは何か
細胞の種類と特徴
がんの発生と免疫
歴史と種類
治療法の選択肢 
免疫抑制とは 
温熱療法との併用 
分子標的薬と免疫治療
長所と課題
種類と一覧
がんの手術との併用
抗がん剤との併用 
放射線治療との併用
治療が適応できるがん
治療効果 
病院の紹介
治療の費用 
がんワクチン
樹状細胞ワクチン
BRM療法
サイトカイン療法
LAK・NK療法
αβT 
γδT 
NKT 
BAK 
CTL 
TIL
DCI(樹状細胞局注) 
抗体療法 
丸山ワクチン治療  
アイマックスがん治療 
     
   

NKT細胞は自然免疫と獲得免疫の両方の性質を持つ免疫細胞

 
     
NKT細胞は,1986年に千葉大学の谷口教授らの研究グループにより,新しく発見されたリンパ球の一種であり,自然免疫系のNK細胞と,獲得免疫系のT細胞の両方の性質を持つという他の免疫細胞には見られない特徴があります。

NKT細胞は細胞表面にT細胞レセプターとNK細胞レセプターを同時に発現しているという特徴があり,T細胞,B細胞,NK細胞とは区別される第4のリンパ球として位置づけられています。

このNKT細胞は,血液中に占める割合はは0.1%にも満たないもので,非常に数は少ないものの,この稀少な免疫細胞が抗腫瘍効果をはじめとする免疫作用できわめて重要な役割を持っていることが判明しています。

事実,NKT細胞を欠損させたマウスの実験では,ウイルス,細菌,寄生虫などの病原体を排除できないだけでなく,がんに対するキラーT細胞などの増殖・活性化が機能しないことがわかりました。

また,このマウスは,自己免疫疾患の発症抑制,移植免疫寛容の維持,アレルギー制御,がん発症の制御もできないということもわかり,このわずかなNKT細胞が免疫の中枢を担っていることがわかってきたのです。


このNKT細胞はNK細胞と同じように,樹状細胞などから,がん細胞の抗原提示を受けなくとも直接がん細胞を攻撃できるという性質を持っているだけでなく,NKT細胞から分泌されたサイトカイン(インターフェロンγ)が,NK細胞やT細胞を活性化できます。

さらには免疫の司令塔である樹状細胞の成熟も促進させる機能があることもわかりました。

このNKT細胞を増殖・活性化させることができれば,樹状細胞をはじめ,自然免疫系と獲得免疫系の両タイプの免疫細胞を活性化でき,きわめて効率的で強力な抗腫瘍効果を発揮できます。


このNKT細胞のがん細胞に対する殺傷能力はNK細胞よりも強力であるということも判明しています。

また,キラーT細胞はMHCクラス1分子を発現していないがん細胞は攻撃できませんが,NKT細胞はMHCクラス1分子を発現していないがん細胞も殺傷できます。

このようにNKT細胞は,抗腫瘍効果においてオールマイティな特に優れた免疫細胞といえます。

近年の研究により,このNKT細胞を特異的に活性化する物質として,CD1d分子によって提示された糖脂質α-ガラクトシルセラミドが発見されました。

つまりこの糖脂質α-ガラクトシルセラミドをNKT細胞に認識させることで,NKT細胞が飛躍的に増殖,活性化できるという点がわかり,NKT細胞を利用した免疫細胞療法への応用が可能となったのです。

 
   
スポンサードリンク      
 
  
  
 
         
   

千葉大学医学部附属病院で全国唯一の免疫細胞療法であるNKT細胞療法を実施

   
現在,千葉大学医学部でこの細胞によるがん治療の臨床試験が行われています。実際の方法としては,静脈から血液を採取し,この血液から樹状細胞を獲得し,樹状細胞にα−ガラクトシルセラミドを与え,患者の体内に点滴でもどすという方法でおこなっています。

非小細胞肺がんに対する第T相,および第U相の臨床試験では,α−ガラクトシルセラミドとGM-CSF,インターロイキン2で刺激した自己リンパ球と単球を用いた治療で,17名の患者中5例で腫瘍の縮小または不変がみられました。

また,頭頸部がんに対する第U相臨床試験では,α−ガラクトシルセラミドで単球を刺激し,自己NKT細胞で治療を受けた10例中5例で腫瘍の完全な消失や,部分縮小がみられたと報告されています。

このNKT細胞療法は千葉大学附属病院で受けることが可能ですが,いくつかの条件や制限があります。

 
 NKT細胞療法の適応基準 
 
 原発性肺がんであること

 非小細胞肺がん(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん)

 すでに,有効と考えられる治療が済んでいること

 前治療から4週間以上たっている(他の治療との併用は不可)

 重篤な合併症を有していない(肝機能、腎機能、骨髄機能、肺機能など)

 年齢は20歳から80歳

 検査で末梢血にNKT細胞が認められること

 NKT細胞療法が不適応となる症例 
 
 他臓器原発の転移性肺腫瘍

 小細胞がん

 全身状態が悪く,外来に通院が不可能な場合

 肺がんの他に他臓器のがんが存在している場合

 ステロイド剤を点滴もしくは内服で使用している場合

 成分採血に耐えられないことが予想される場合 


 受診外来:千葉大学医学部附属病院 呼吸器外科(藤澤武彦教授)

 免疫療法外来:毎週水・金曜日

 免疫療法担当:本橋新一郎(特任助教授)

 新患受付:8時30分〜10時30分

 備考:主治医からの紹介状と,可能ならば画像検査をお持ちになって来院ください。     
千葉大学医学部附属病院
〒260-8677 千葉県千葉市中央区亥鼻1-8-1
電話番号:043-222-7171(代表) 
 
  
   
       
       
       
                   
 
Copyright(C)2013 All Rights Reserved 
webmaster  k.kobayashi