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急増している大腸がん
   
近年国内の大腸がん患者は急増し,この30年間で患者数は約6倍になっています。死亡者数は結腸と直腸を合わせると男性では肺がん,胃がん,ついで第3位で,女性では第1位です。

大腸がんは生活習慣病とも言われるくらい食生活が大きく影響しています。大腸がんは早期に発見されれば,ほぼ完治するがんですが,血便や腹痛などの自覚症状がでてからですと,約20%の人に肝臓や肺への転移があり,完治率は大幅に下がります。

したがって,「便潜血検査」や「内視鏡検査」を定期的に行い,早期に発見することが,大腸がんにおいてはとても重要です。


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大腸がん進行度とリンパ節転移率 













































 
 

大腸の構造と大腸がんの生存率

   
大腸は盲腸から時計回りに上行結腸,横行結腸,下行結腸,S状結腸までの結腸と,直腸に大きく分けられます。


結腸と直腸をあわせた長さは1.5mほどで,大腸がんを発生部位によって結腸がんまたは直腸がんとよぶこともあります。大腸がんが最も発生しやすいのは直腸とS状結腸で,全体の7割を占めます。


大腸の壁の構造は,内側から粘膜,粘膜筋板,粘膜下層,固有筋層,漿膜下層,漿膜という層からなりたっており,がんはこの粘膜から発生します。

大腸がんはその形態により,腺がんと表在性のがんにわけられます。大腸に発生するポリープはその形態(大きさや長さなど)から,「有茎性」「亜有茎性」および「広基性」と分けられます。広基性のように明らかな茎がないものは表在性と呼びます。

大腸がんの90~95%をしめるのは,粘膜層の腸腺に発生するがん(腺がん)です。このタイプのがんは比較的発見が容易で,ポリープががんに変化するまで何年もかかるため,ポリープのうちに切除すれば予防ができます。

大腸がんの生存率は比較的高く,5年生存率は平均60%~70%です。がんが腸壁にとどまっている早期のがんでは5年生存率は90%になります。
 
 
 

大腸がんの原因

 
大腸がんの原因はまだ十分に解明されてはいませんが,それでも近年の研究により,食事などの生活習慣が大きく関わっていることがわかりました。また,一部は遺伝的要素もあります。


食生活習慣
  
大腸がんの原因とも考えられる生活習慣に関しては,肉などのタンパク質や動物性脂肪の過剰摂取,食物繊維摂取不足,喫煙,アルコールの多飲などがあげられます。

肉食中心の食生活 
動物性脂肪は,消化・吸収される過程で悪玉菌により,発がん物質が生成され,腸の粘膜をがん化させると考えられています。

脂肪やタンパク質の摂取量が増加し,食物繊維の摂取量が減ると,便が腸内に停滞することが多くなり,その結果,腸内粘膜への発がん物質の影響が高まることが多くなります。

食物繊維は発がん物質が粘膜に接触することを減らし,発がんリスクを低下させます。また食物繊維が腸内細菌の発酵により分解されると,単鎖脂肪酸が産生されます。単鎖脂肪酸は,悪玉菌の増殖を抑え,乳酸菌などの善玉菌を増やし,大腸がんの発生を抑制します。
 
このようなことから,第二次大戦後大腸がんが急激に増加したのは,食物繊維摂取の少ない肉食を中心とした欧米型の食事の普及が原因と考えられています。

国立がん研究センターの「生活習慣改善によるがん予防の開発に関する研究」によると,ハム,サラミ,ベーコンなどの貯蔵肉と大腸がんはほぼ確実に関連していると報告されています。
 
これらの貯蔵肉は,加熱などの調理によって「ニトロソ化合物」「ヘテロサイクリックアミン」「多環芳香族炭化水素」などの発がん物質が生成されます。

同センターの研究報告では,45歳~74歳の男女8万人を追跡調査したところ,男性でハムやソーセージを含めた肉類全体の摂取量が,1日約140グラム食べるグループは約20グラムのグループの約1.4倍,女性では1日100グラムのグループは約15グラムのグループの1.5倍のリスクになることが報告されています。


喫煙
ある研究報告によれば,大腸がんに限らず,男性のがんの3割は喫煙が原因であり,喫煙者が大腸がんで死亡するリスクは非喫煙者の1.4倍にもなります。

また,毎日の喫煙量が多く,喫煙年数が長い人ほどリスクが高く,大腸がんでも若いころから喫煙をしていた人ほどがんの発症率が高いと報告されています。 タバコには,発がん物質だけでなく,がん細胞の増殖を助長するプロモーターの成分もふくめると,約200種類入っていると言われています。

発がん物質としては「ニトロソ化合物」「芳香族化合物」「芳香族アミン」「アセトアルデヒド」「ヒ素」など60種類もあります。

禁煙はストレスにはなりますが,大腸がんだけでなく,がん予防の見地から,すぐにでも実行する必要があります。   


アルコールの過剰摂取
ある研究によれば,適量を超えた飲酒の死亡リスクは,食道がんで4.6倍,大腸がんで2.1倍で,これはアルコールが大腸がんを助長させるものとしては明らかな数字です。

また別の研究では,アルコール摂取量が日本酒にして1日平均1合以上2合未満の人は,飲酒しない人に比べて,大腸がんの発生率が1.4倍,1日平均2合以上の人は,2.1倍でした。(日本酒1合と同じアルコール量は,ビールで大ビン1本,ワインでグラス2杯,ウイスキーダブルで1杯程度)
  
アルコールそのものは発がん物質ではありませんが,肝臓で分解される過程で生成されるアセトアルデヒドには発がん性のあることが動物実験で確かめられています。

また,アルコールは分解される時に多量の酸素を必要としますが,このとき細胞にも有害な活性酸素が大量に発生し,正常細胞の変異をもたらすと考えられます。

以上の点から,アルコールの飲み過ぎは大腸がんだけでなく,他のがんの原因にもなりうるということがいえます。
 


遺伝
大腸がんは多くは遺伝しないと考えられていますが,遺伝的要素もあり,大腸がんのなかで,約5~7%は遺伝によるものであると考えられています。大腸がんの患者の80%は細胞の増殖を抑えるApc遺伝子になんらかの異常があるとみられています。

特に遺伝性と考えられる大腸がんになりやすい病気として家族性大腸腺腫症があります。これは遺伝的にポリープを発生しやすい家系の人が発症しやすく,この病気になると大腸内に無数のポリープが発生し,やがて腺がんへと発展します。

また遺伝性大腸がんとして遺伝性非ポリポーシス性大腸がんがあります。 このがんはポリープを多発させないまま大腸がんを発症させるもので,遺伝子の異常によるものであり,大腸がんの5%~10%を占めます。 




 
  大腸ポリープについて
 
 これまでは大腸にできるポリープは悪性化しやすく,すぐにがんに変化しやすいため,すべて切除すべきと考えられていましたが,近年の研究により,ポリープが悪性化するのは一部であり,すべて切除する必要はないという考え方に変わりつつあります。

胃などにも良性のポリープはよく見られますが,そもそもポリープとは粘膜が傷ついた場合,その部分を細胞分裂によって修復し,その結果表面が盛り上がったイボのようなものなのです。

ただ,悪性化した場合のポリープは細胞分裂が止まらず,限りなく増殖を続けてしまう点が良性とは異なります。 

最近の研究によれば,ポリープという形態を経ずに,進行する平坦型や陥凹(かんおう)型のがんもあり,このタイプは早い段階でがんに移行することがわかってきました。

このタイプのがんであっても,早期ならば粘膜下層に生理的食塩水を流し入れ,へこんでいる部分を盛り上げて,ワイヤーによる高周波電流による切除(ストリップバイオプシー)も可能です。

しかし,粘膜下層まで多く浸潤してしまったり,固有筋層にまで食い込んでしまったがんはこのような切除は困難で,腹腔鏡手術などで広い部分の切除が必要となります。

 

 
  大腸がんの症状
 
早期の大腸がんではほとんど自覚症状はありません。しかし,血便や便通異常(便秘や下痢),腹痛などが見られることがあります。

2cm以下の早期がんは無症状のことが多いのですが,便に少量の血液がまじることもあります。

肛門からの距離がある盲腸がんや上行結腸がんでは排泄までの長さがあるため血便を自覚することは少なく,腹部のしこりや貧血症状があらわれてはじめて気がつくこともあります。

体の左側の下行結腸やS状結腸では,便も硬化しはじめるので,通過障害で便秘になったり,腹痛もあり,症状が重くなると腸閉塞を起こすこともあります。また肛門に比較的近いので,血便もわかりやすくなります。

直腸がんは肛門のそばなので,血液も赤みがあり,血便として気が付きやすい部位です。腫瘍がここにできるとその影響で便が細くなったり(便柱細小),残便感があったりします。

また,便秘と下痢を繰り返し,過敏性腸症候群と似た症状がみられた場合,直腸がんの「裏急後重」(りきゅうこうじゅう)という症状である可能性も考えられます。

肛門からの出血を痔と勘違いして大腸がんの発見を遅らせてしまう人も多いので内視鏡検査を受けることが必要です。
 
 
 

 
  大腸がんの病期(ステージ)
 
大腸がんの病期には,デュークス分類とステージ分類が使われます。大腸壁の中にがんがどの程度深く浸潤しているか,及びリンパ節転移,遠隔転移の有無によって進行度が規定されています。( )内は各病期の手術後の5年生存率を示します。

この2つの分類はわずかな違いなので,デュークスAは0・Ⅰ期に,デュークスBはⅡ期に,デュークスCはⅢ期に,デュークスDはⅣ期に相当するものと考えられます。デュークス分類は,国際的に広く用いられています。

デュークス分類

デュークス A(95%) 腫瘍が3項目(単発,2cm以下,血管への浸潤を伴わない)のうち,すべての項目が合致し,かつリンパ節転移,遠隔転移を伴わないもの。
デュークス B(80%) 腫瘍が3項目のうち2項目が合致し,かつリンパ節転移,遠隔転移を伴わないもの。
デュークス C(70%) 腫瘍が3項目のうち1項目が合致し,かつリンパ節転移,遠隔転移を伴わないもの。
デュークスD(25%) 腫瘍が3項目のどれも合致しないか,リンパ節転移もしくは遠隔転移を伴うもの
 
ステージ分類
0期 がんが粘膜にとどまるもの  
I期 がんが大腸壁にとどまるもの
II期 がんが大腸壁を越えているが,隣接臓器におよんでいないもの
III期 がんが隣接臓器に浸潤(しんじゅん:周囲に拡がること)しているかリンパ節転移のあるもの
IV期 腹膜,肝,肺などへの遠隔転移のあるもの

 
 
  大腸がんの治療
 
現在大腸がんの最も有効な方法は手術と言われています。それは抗がん剤や放射線が大腸がんでは効果が低いという理由もあるからです。どちらかと言えば抗がん剤や放射線は手術を補助する目的で使われることが多いと言えます。
がんの切除する方法は進行度や発症している部位によって異なってきます。

内視鏡手術

手術がんが粘膜下層まで浸潤しておらず,リンパ節への転移がないものは早期がんに分類されこの場合約60%が内視鏡手術で治療できます。

現在では早期がんは適切な治療を施せば100%治癒すると言われています。早期がんと診断されるのは大腸がんと診断される人の20~30%です。

大腸早期がんで20mmまでのポリープ状のものは大腸ファイバースコープを入れ,スネアというリング状の器具でポリープを締め上げ,高周波電流で焼き切るポリペクトミーと呼ばれる治療が一般的です。

また,扁平なポリープには生理食塩水を注射し患部を浮き上がらせてスネアで締め上げ焼き切るストリップバイオプシーと呼ばれる治療法もあります。


腹腔鏡手術(化学療法)

 
早期がんでも,内視鏡的治療が困難な大きながんには腹腔鏡手術が行われます。また最近では進行がんでも腹腔鏡手術が行われるようになりました。この方法は開腹手術に比べ,患者の負担が少ないというメリットがあります。

しかし,進行がんに対しても開腹手術と同等の安全性や治療成績が得られるかどうかは評価が定まらず,現在,国内では進行がんに対する腹腔鏡手術と開腹手術の臨床比較試験が実施されています。

今後,患者への負担の少ない腹腔鏡手術はその適応範囲が拡大されると予想され,腹腔鏡手術を行う病院も増加しています。

開腹手術と比較した場合,痛み止めは開腹手術が平均して3~5日に対し,腹腔鏡は2~3日ですみます。また退院までの日数は開腹手術が10日前後に対して,腹腔鏡は1週間前後といわれています。

確かに,このように患者の負担が少ないことは事実ですが,高度なリンパ節郭清は技術が要求されるだけでなく,
腹腔鏡手術は歴史が浅いため,病院や医師によっては経験が不足している点も否定できません。

日本内視鏡外科学会の調査では,2006年からの2年間で大腸がんの腹腔鏡手術で縫合不全や出血などが原因で11人が死亡したと報告しています。
したがって,腹腔鏡手術を受ける際には,その医療機関の実績などをよく調査しておくいことも必要でしょう。


開腹手術


最近では内視鏡や腹腔鏡手術もさかんに行われるようになりましたが,大腸がんではリンパ節への転移が見られることが多く,現在でも大腸がんではリンパ節廓清のしやすい開腹手術が主流です。
 
大腸がんの根治手術は転移からの発症を防ぐため病巣から約10cmくらい離れたところまでを切除し,腸管に近い1群のリンパ節だけでなく2群,~3群までのリンパ節を廓清し,腸管を縫合する方法が一般的です。また結腸がんの場合このような方法でも,手術後の機能障害はほとんど起こりません。

直腸がんの根治手術は進行がんの場合,多くの問題を克服しなければなりません。それは直腸の周囲には,膀胱や尿道,前立腺,子宮,膣などの泌尿器,生殖器などがあり,さらに肛門など重要な器官があるからです。

直腸がんの根治手術は,大きくわけて2種類あります。その一つは直腸とともに肛門も切除し,S状結腸に人工肛門(ストーマ)をつくる方法であり,もう一つは肛門括約筋を残して,直腸を切除し,腸管を縫合して肛門をそのまま機能させる括約筋温存直腸切除術です。

現在では直腸がんの手術で約70%が肛門が温存され,下部の直腸がんでも約50%が温存されるようになってきています。

さらに最近では泌尿器や生殖器の機能に関係する自律神経を温存させる手術も確立し,術後のQOLの低下を抑えることができるようになりました。

これはがんの進行状態に応じて,個々の神経を見分け,自律神経をできるだけ残しながら病巣だけを切除していくというもので,この日本の直腸がん手術のレベルは世界最高水準にあるといわれています。

しかし,病期が3期以降では骨盤内臓器全摘出手術が行われることもあり,この場合,排尿機能や性機能は温存できなくなります。したがってこの方法を実施する場合は医師から術後の障害についてよく説明を受ける必要があります。


抗がん剤治療(化学療法)


大腸がんでは手術が根治のためには最も有効とされているため,抗がん剤治療は手術後の再発を防ぐ治療か,転移や再発して手術が困難な場合に使用されます。


手術後の再発を防ぐ,補助化学療法は一般的には、ステージ2までは補助化学療法は必要ないとされています。しかし,ステージ2でも再発の可能性があると判断された場合,補助化学療法が適用される場合もあります。


ステージ3の患者に対しては術後補助化学療法が行われ,5-FU(フルオロウラシル)とロイコボリンが投与される方法が一般的です。


内服薬で一般的に使用されているのは,UFT(テガフール・ウラシル)とユーゼルまたはロイコボリン併用です。また,TS-1とオキサリプラチン併用方法もありますが,大腸がんについては臨床試験中です。


また,再発した場合,抗がん剤はFOLFOX(フォルフォックス)とFOLFILI(フォルフィリ)という選択肢があります。


FOLFOXとは,5-FU(フルオロウラシル)とアイソボリン(レボホリナート),エルプラット(オキサリプラチン)の3剤を併用する治療法ですが,副作用も強く,しびれなどがあります。

またFOLFILIとは,5-FUとアイソボリン,カンプトまたはトポテシン(一般名イリノテカン)の3剤を併用する治療法ですが,副作用として吐気や脱毛などがあります。


分子標的治療薬


分子標的治療薬は抗がん剤の一種ではありますが,従来の抗がん剤とははたらきが異なり,がん細胞のみが持つレセプターや異常タンパクに集中してはたらく治療薬です。

正常細胞にはダメージを与えないがん治療薬として期待されてはいましたが,やはり副作用は見られます。

現在大腸がんに有効な分子標的治療薬としては2007年承認されたベバシズマブ(アバスチン)や
2008年に承認されたセツキシマブ(アービタックス)があります。

アバスチンは転移性大腸がんに使用される治療薬で,がん細胞が新たに血管をつくるはたらき(血管新生)を阻害し,がん組織への栄養・酸素の供給を遮断し,腫瘍の拡大,転移を阻害するというものです。
 

アバスチン単独ではがん縮小効果は弱いものの,抗がん剤と併用することでよい治療成績が得られ,海外の臨床試験では,アバスチンを長期間使用したほうが生存期間が延長すると報告されています。


アバスチンに特有な副作用として,出血,血栓症,消化管穿孔,血圧上昇などあります。

また,2008年に承認されたセツキシマブ(アービタックス)は,切除不能または再発大腸がんの治療薬です。

アービタックスは,がん細胞が増殖するために必要なシグナルを受け取るレセプターであるEGFR(上皮成長因子受容体)を標的とし,細胞を増殖させるシグナルを遮断することで,がん細胞は増殖できなくなります。

アービタックスについての臨床試験は欧州で「イリノテカンで進行を止められなかった転移性・進行性の大腸がん患者218人に対して,イリノテカンとアービタックスの併用療法で,半数の患者で進行を4カ月以上遅らせることができ,20%の患者では50%以上の縮小がみられた。」と報告されています。
 

アービタックスに特有の副作用として,海外の臨床試験では皮膚障害,とくににきび様の発疹が報告されています。



放射線治療


最新の放射線治療技術の進歩にはめざましいものがありますが,それでも大腸がんで有効な治療は手術です。 特にS状結腸や横行結腸は,動いているので正確に放射線を当てることが困難です。

大腸がんの中でも結腸がんは緩和的照射以外には放射線治療が用いられることはまれですが,直腸がんでは緩和的照射の他に術前照射や術後照射もよく用いられます。

欧米では術前または術後照射を積極的に併用し,手術による切除範囲を少なくすることで肛門括約筋の温存をはかっています。

しかし,日本では手術の治療成績が欧米よりもすぐれているため,術前・術後照射は標準的な治療法となっていませんが,肛門の機能を残すことができる放射線治療は今後も増えていくと考えられます。
 
放射線と抗がん剤を併用した放射線化学療法を行っている施設もあります。食道がん治療にはよく使用される治療法ですが,この方法ですと放射線量も減らるというメリットがあります。

併用する化学療法としては,5FU(フルオロウラシル)とLV(ロイコボリン)や5FUとCDDP(シスプラチン),イリノテカンなどが用いられます。

再発した大腸がんではまず手術が第一選択肢となりますが,遠隔転移している場合などは抗がん剤治療をおこないます。

しかし,抗がん剤治療の効果があまり見られなかったり,痛みを伴う場合などは再発した病巣に対して,腫瘍の縮小や痛みの緩和を目的に放射線を照射することもあります。


免疫療法


現在患者の免疫細胞を活性化させてがん細胞を殺傷させる免疫細胞の研究は日々進化していますが,標準治療とはなっていません。

この患者の免疫細胞を活性化させる治療は免疫細胞療法と呼ばれ,現在注目されています。この治療法の良い点は副作用がほとんど見られないことや手術や抗がん剤治療,放射線治療と併用できることです。

大腸がんの免疫療法として最近注目されている治療法としては,がんペプチドワクチン療法があります。

特に,北大の西村孝司教授(免疫学)ら研究グループはがんに対する免疫細胞として知られるヘルパーT細胞とキラーT細胞を同時に活性化させるワクチンの開発に成功しました。

従来のワクチン療法は,キラーT細胞だけしか活性化できませんでしたが,西村教授らはヘルパーT細胞とキラーT細胞双方の活性化が可能なハイブリッドがんペプチドワクチンを合成したのです。

臨床試験では,頸(けい)部リンパ節転移の乳がん患者と肺がんから転移した大腸がん患者に投与したところ,がんの消失や病巣抑制の効果を確認できたと報告されています。

がんに対して有効な免疫細胞は何種類もあり,どの免疫細胞をどのような方法で活性化するのかという点については様々な研究機関で研究が進められているところです。

さらに詳しく知りたい方は当HPの免疫細胞療法のページを参考にしてください
 


 
  手術後のケアについて
 

大腸がんの手術後はいくつかの合併症が見られることがあり,注意が必要です。合併症としては縫い合わせた部分がうまく接合しない縫合不全や手術創(傷)からの細菌感染があります。

これらは発熱や痛みを伴いますので,このような症状がでたらすぐに医師に報告しましょう。

また,手術後に腸の働きが悪くなり,便やガスが出にくくなることがあります。これは麻酔の影響や手術後の炎症で腸管が癒着したりすることで起こります。

手術後,腸の動きが回復してくると 通常手術の3~5日後にガスが出ます。しかし,腸の動きが鈍いと,便やガスがたまり,お腹が張る感じがしたり,吐き気やげっぷ,嘔吐などの症状が起こります。

このように,腸がうまく働かなかったり,腸の通りが悪くなった状態のことを腸閉塞(イレウス)といいます。


手術後の腸閉塞では,時間の経過とともに症状が自然に改善することが多いのですが,痛みや吐き気が続く場合,放置すると危険ですので,医師の診察を受けましょう。

また,食事がとれるようになっても,はじめのうちは無理をせずゆっくり,よく噛み,腹八分目を心がけ,食事の量や食欲,さらに排便の量や形などにも注意しましょう。



手術後の後遺症について


排便障害について

直腸がんの手術で直腸を切除すると,便をためておく部分が小さくなため,少しずつ何度も排便するようになったりします。直腸が過敏になり,便が直腸まで来ていないのに頻繁に便意を感じることもあります。


また大腸の大部分を切除した場合,腸の通過時間が短いため水分の吸収が不十分となり,便が泥状もしくは水様になったりすることがあります。


しかし,このような症状は徐々に安定してきますので,症状に合わせ,緩下剤や下痢止めなどの薬を使うなどして,排便障害に対処していきましょう。


排尿機能障害について

排尿機能障害は,直腸がんの手術で骨盤の中の自律神経が傷害を受けるために起こります。手術によっては自律神経も共にに切除する必要があり,その場合はある程度の排尿機能障害が避けられません。


軽度の排尿機能障害に対しては,膀胱の収縮を促す副交感神経刺激薬(コリン作用薬)や尿道の抵抗を少なくする薬剤が処方されます。


残尿が多い場合には、尿の出口からカテーテルを膀胱まで挿入し,尿を体外に排出する方法
(自己導尿)を行う場合もあります。


排尿機能障害は,症状や程度によって対処法が異なりますので医師にできるだけ具体的に自分の排尿障害の腫瘍状について相談しましょう。



治療後の経過観察と検査


根治手術で成功しても,結腸がんは約15%,直腸がんは約20%程度の人に再発する可能性があります。しかし,たとえ再発したとしても,大腸がんは再手術で完治も可能です。
したがって,治療後も5年間くらいは定期的に通院し,検査を受けることが大切です。
一般的に,手術後3年間は3~6ヵ月に1度,3年目以降は,約半年に1度の間隔で通院します。

通院の検査では大腸の内視鏡検査,胸部X線検査,腹部超音波(エコー),CT検査,血液検査(腫瘍マーカー)などの検査を行います。

5年経過した後も別の部位に新たにがんが発生する可能性があるため,検診などの定期的な検査が必要です。
 
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