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がんの発生と増殖
 
がん細胞は,もとは正常細胞から発生したものであり,正常細胞の遺伝子に様々な要因によって,変異が生じることで発生します。ただ細胞ががん化するには遺伝子の変異が1つではなく,少なくとも6つ以上は必要と言われています。この様にして遺伝子変異を積み重ねた細胞がやがて無制限に増殖するがん細胞へと変容してしまうと考えられています。

 がんの発生二段階説では細胞の変異が生じた状態とその変異細胞が増殖していく過程にわけて考えています。その説によると第一段階において,正常細胞を傷つけ変異細胞を発生させるもの(発がんイニシエイター)には活性酸素や放射線,紫外線,ウィルス,化学物質などがあります。

 第二段階として,その変異細胞の増殖を促進させる様々な因子(発がんプロモーター)によって変異細胞はがん化し,異常増殖していきます。一言でプロモーターと言っても発がん部位によっても異なりますが,脂肪や食塩,タバコ関連物質,ホルモン,胆汁酸,化学物質など様々です。

 こうしてみると,発がんイニシエイターも発がんプロモーターも多くが日常的に存在するものであり,事実,遺伝子が変異した細胞は誰にでも日常的に発生し,毎日数千個のがん細胞が発生していると考えられています。しかし,細胞自体にこの遺伝子変異を修復するメカニズムもあり,また免疫細胞によっても排除されるため,がんにならずにすんでいるのです。

 またがん細胞はある程度の大きさになると血管にシグナルを送り,がん細胞に向かって血管を成長させ,血液から酸素や栄養分を吸収し,その後急速に増殖します。これを血管新生と呼びます。さらに血管を通って他の臓器に転移します。

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がんと遺伝子 
がん遺伝子とがん抑制遺伝子
 私たちの体の細胞にある遺伝子には,細胞が傷ついた時や成長が必要な時に細胞分裂を行わせ,細胞増殖を促進させる遺伝子があります。また逆にその細胞増殖がある程度で停止し,器官などが必要以上に大きくならないようコントロールしている遺伝子もあります。

 つまり私たちは,この細胞増殖がこれら2種類の遺伝子によってコントロールされていることにより,生命を維持しているのです。私たちの体の細胞を増殖させるはたらきを持つ遺伝子をプロト(原型)がん遺伝子,細胞の増殖をおさえる遺伝子をがん抑制遺伝子とよんでいます。

 これらの遺伝子は前述したように,もとは正常細胞の増殖をコントロールするために存在しており,がん遺伝子と呼ばれても,がんを発生させるプログラムが組みこまれているのではありません。

 ところがなんらかの要因によって,プロトがん遺伝子が変異し,細胞分裂が異常に行われるようになってしまうのです。これががん遺伝子とよばれるものです。
 
 また一方でがん抑制遺伝子はDNAの倍加を制御し,細胞分裂をコントロールしていますが,この遺伝子もなんらかの要因によって欠損したりすると,細胞分裂を止められなくなってしまいます。そしてがん細胞は無制限に増殖を繰り返すのです。


DNA修復酵素遺伝子
 
細胞内の遺伝子は,発がん物質の影響を受けたり,何回も細胞分裂を繰り返すなかで,DNAの複製にエラーが生じることがあります。しかし,細胞内にはこの変異を修復する酵素をつくる遺伝子が存在します。

 したがってこの遺伝子によって細胞のがん化も防ぐことができています。しかしこの遺伝子も変異してしまうと変異の修復が効かなくなり,そのエラーが蓄積されることでがん細胞となってしまうと考えられています。
  

がんの遺伝
 
がんのなかには
遺伝するがんもごくまれですがあります。たとえば,こどもの眼球の奥にできる網膜芽細胞腫というがんです。しかし,この腫瘍のすべてが遺伝によって発生するわけではありません。

 このほかにも,乳がんや大腸がん,甲状腺がんの中の一部に遺伝傾向の強いものが知られていますが,これらは変異した遺伝子がそのまま受け継がれたため,正常な遺伝子ならば何回も変異を経なければがんにならないものが,少しの影響でがんになってしまうと考えられています。
 
 つまり,家系のなかで一部変異した遺伝子を受け継いでいるため,遺伝的に普通の人よりもがんになりやすい体質を持っている人がいる可能性はあるということです。しかし,この変異がどのようながんでどの程度発生しているかはまだ十分には解明されていません。

 現在のところ,がんになりやすい体質が存在するにしても,がんの発症は,遺伝的要素よりも食生活や生活環境など後天的な要素の影響の方が大きいと考えられています。 


発がん因子(イニシエーター)と発がん促進因子(プロモーター)
 
前述したように,がん発生の2段階説において細胞に変異をおこす因子を発がんイニシエーター,変異した細胞を不死化させ増殖を促す因子を発がんプロモーターとよびます。 
発がんイニシエーターとして考えられる因子 
活性酸素
 活性酸素は誰のからだにも日常的に発生するものです。活性酸素は激しい運動やストレスなどによっても発生します。

 
また,活性酸素は排気ガス,脂肪が酸化した過酸化脂質,紫外線などを体内に吸収することでも発生することがわかっています。

 活性酸素はフリーラジカルとも呼ばれ,化学的に不安定なため,細胞を破壊してしまいます。破壊された細胞はDNAも傷がつくことになり,このようなことが頻繁に繰り返されると,細胞ががん細胞へと変異してしまいます。
放射線
 日常生活で大量の放射線を浴びることはありませんが,チェルノブイリ原発事故では付近の住民から多くの白血病患者がでています。これは放射線によりDNAが損傷したためです。またがんの治療に放射線が用いられることがありますが,この放射線の影響でまれに二次発がんとよばれるがんが新たに発生することがあります。
紫外線
 現在オゾン層の破壊によって,紫外線量が増大しています。この紫外線は活性酸素を発生させ,DNAに傷をつけ,皮膚がんの原因になります。とくに皮膚のメラニン色素の少ない人ほど,紫外線から肌を守れないため皮膚がんになる確立が高いと言われています。
ウィルス
 現在がんを引き起こすと確認されているウィルスは数種類あります。たとえばB型肝炎ウィルスやC型肝炎ウィルスなどが肝臓がんの発症に関係があると言われていますし,またヒトパピローマウィルスが子宮頸がんに,またHTLV−1とよばれるウィルスがT細胞白血病に関係していると言われています。
     
 ウィルスががんを引き起こすしくみはいくつか考えられていますが,いずれにせよウィルスの遺伝子が正常細胞の遺伝子に影響を与え,細胞の変異を促すと考えられています。
学物質
 現在人に対して確実に発がん性があると言われているものは50種類,発がん性が強く疑われるものが37種類,発がんの可能性があるものになると159種類におよびます。

 このなかでも最も強い発がん性を持 っていると言われるものが,ナッツ類に発生するかびが作るアフラトキシンです。また,魚や肉などの調理後の焦げのなかには発がん物質が10種類ほどあると言われています。

 ハムやソーセージに使われている発色剤の亜硝酸塩は,肉や魚の成分であるジメチルアミンと反応し,胃の中でジメチルニトロソアミンという発がん物質に変化します。また窒素肥料を大量に加えた根菜にも亜硝酸はふくまれています。

 タバコの成分にはベンツピレンなど発がん成分が多数含まれており,喫煙をするというこは,活性酸素を増加させ,それらの相乗効果により,発がん性はさらに高まると考えられます。

 アルコールを飲むと体内でアセトアルデヒトが生じます。世界保健機関(WHO)はアセトアルデヒドを継続的に投与したラットに咽頭がんが生じたという動物実験などから,アセトアルデヒドに発がん物質の可能性があると指摘しています。

発がんプロモーターとして考えられる因子
 発がんを促進させるプロモーターは普段の食事の中にも存在します。たとえば高脂肪食の摂取は腸や乳腺などのがんのプロモーターとして影響を与えますし,塩分の過剰摂取は胃の粘膜を痛めるというはたらきで粘膜のがん化を促進します。 
 
 また胆汁酸は胆道がんや大腸がんのプロモーターとして働き,体内で産生されるホルモンも乳がん,子宮がん,前立腺がんのプロモーターとしてはたらきます。

 タバコには,発がん物質だけでなく,プロモーターの成分も約200種類入っていると言われています。その他には農薬のDDTやBHC,有機塩素系化合物のPCBや食品添加物のサッカリンなど多数あります。

 

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がん予防の方法とは
 がんにならないためにはどうすればよいのでしょうか。がん発生のメカニズムから考えると発がん因子(イニシエーター)や発がん促進因子(プロモーター)を避けることが,がん予防につながるということがわかります。

 発がん因子として近年注目されているのが活性酸素です。最近の研究ではストレスが活性酸素を発生させ,がんの発生に関係しているということもわかってきています。

 体の免疫能力の低下や活性酸素などフリーラジカルの発生は精神的なものに強く影響されます。強いストレスは免疫力の低下を招き,細胞を傷つける活性酸素を発生させてしまいます。またリラックスしたり,笑うという行為は免疫力を高めるという実験結果もあります。

 がんは前述した通り,遺伝的要素もあり,同じようにがんが発症しやすい環境(たとえば喫煙習慣があるなど)にさらされても,がんになる人とならない人がいることは事実です。がんになりにくい人は前述した細胞の変異を修復する酵素がよくはたらく遺伝子を持っている人と考えられます。


 しかし,どのような体質の人であれ,喫煙は発がんリスクを高めることには変わりはなく,喫煙の習慣はがん予防の見地から避けた方がよいと言えます。 米国の調査研究結果では,喫煙の習慣が約30%発がんにかかわっているという報告をしています。これは肺がんだけでなく,その他のがんも含みます。

 また約30%は食生活にかかわっているとのことです。 以上のことから,喫煙や食生活を見直し,ストレスなどを解消するという行為によって,かなりのがんの予防が可能になります。

 では具体的にがんにならないようにするためにはどのようなことに気をつけたらよいのか,最新の研究成果もふくめてまとめてみたいと思います。



がんの予防方法
ストレスを解消し,睡眠不足を避ける。 

 ストレスは活性酸素を増加させ正常細胞を破壊します。さらに血流を阻害し,粘膜を傷め,有害物質を蓄積させることになります。それだけではなくストレスや睡眠不足はがん細胞を消滅させる免疫力を低下させてしまうのです。

 ただストレスはだれでも望んでいるわけはなく,そのような環境が避けられない場合もあります。その場合は運動をしたり,ビタミンCやA,E,ポリフェノールなどの抗酸化物質を摂取するとよいでしょう。これらの成分は活性酸素を抑制します。 
適度の運動をこころがけ,過度にならないよう注意する。

 適度の運動は血流を促進させ,有害物質の代謝を促し,免疫力を高めることにつながります。逆に過激な運動は大量の活性酸素を発生させてしまいます。
タバコや大量のアルコールを控える。 
 
 タバコの煙の成分には発がんを促す成分が多数含まれます。この成分は肺がんだけでなく,他の臓器の発がんとも関係しています。また,アルコールが分解されることにより生ずるアセトアルデヒトは発がん物質で,大量のアルコールは肝臓や食道を傷め,がんを誘発しやすくします。
肉類などの動物タンパクを摂りすぎない。高脂肪の食事を控える。

 動物タンパクは体内でアミノ酸に分解されますが,過剰摂取されるとその一部は腸内細菌により,発がん物質へと変化してしまうのです。 

 また高脂肪の食事は胆汁酸を増加させ,それにより,腸管粘膜が刺激されることで大腸がんの発症率を高めるということがわかっています。
肉や魚の焦げを食べ過ぎない。

 焼き魚や焼き肉などの焦げた部分には,ヘテロサイクリックアミンという発がん物質がふくまれています。大量に食べないと影響はないとされるので,あまり神経質になる必要はありませんが,できるなら避けた方がよいでしょう。
食品添加物にも気をつける。
 
 現在発がん性のあるものはある程度は規制されてはいますが,規制されていないものもあり,注意しましょう。

 ハムやベーコンに含まれる亜硝酸塩は,ニトロソアミンという発がん物質の生成の原因となり,加工食品に含まれる合成酸化防止剤BHA(ブチルヒドロキシアニソール)も動物実験で発がん性が指摘されています。

 また合成着色料のなかにも発がん性が指摘されているものもあります。総じて食品添加物は肝臓で分解されるときに活性酸素を発生させるといわれています。
古い油や古くなった油であげた菓子などは食べない。 
 
 油に含まれている脂肪酸は酸化して過酸化脂質となりますが,肝臓で分解されるときに,活性酸素を発生させると言われています。特に油であげたスナック菓子などはできるだけ製造年月日の古いものは避け,また,開封して長時間おいたものは食べないほうが良いでしょう。
塩分の強い食事を避ける。

 塩分の強い食事は胃の粘膜を痛めることが多く,そのような食事を続けることで,胃壁ががん化することがあります。
食べ過ぎを避ける。
 
 マウスの実験によると、好きなだけ食べさせたグループと,食事量を60パーセントくらいに制限したグループとでは,制限グループのほうが発がん率が低く,長生きしているという結果がでています。
 
 腸は全身の免疫細胞の約30%が集まっているところです。暴飲暴食は腸内の免疫細胞の力を低下させます。また過食による肥満や生活習慣病も,免疫力低下につながります。
強い日光に長時間当たらない。 
 
 近年オゾン層の破壊により,紫外線量は,明らかに増加しています。長時間日光に当たるということは紫外線により活性酸素が大量に発生し,皮膚組織のDNAを破壊し,皮膚がんの要因となります。
野菜を豊富にとる。 
 
 緑黄色野菜にはがん発生の一因である活性酸素を抑えるβカロチンが豊富に含まれています。また野菜にはビタミン,フラボノイドなどの発がんを防止する成分が多数含まれています。最近の研究では淡色野菜にも発がん物質を無害化したり,免疫力を高める効果があることがわりました。
体を暖かく保つ。
 
 がん細胞を攻撃する免疫細胞は体温が高いほど活性化し,低いと能力が低下してしまいます。過度な冷房などで体を冷やさないように心がけましょう。また入浴は副交感神経を活発にし,免疫力を高めます。
ビタミンA,C,Eを摂る。
 
 これらのビタミンは活性酸素の働きを抑え,老化やがんの原因となる過酸化脂質の形成を抑制します。ただしビタミンAは過剰摂取も問題で,たとえβカロチンという形で摂取しても単独摂取は肺がんの発生率が増加したという報告例もあり,できればにんじんなど野菜として摂取したほうがよいでしょう。
乳酸菌を摂るなどして腸内環境を整える。

 世界のなかで長寿者が多いという地方に生活している人には,ビフィズス菌など腸内に有用な菌が多いということが判明しています。乳製品として乳酸菌を直接摂る習慣がない地方でも,長寿者が多い地方では食物繊維などの食事が多く,結果として腸内に乳酸菌が多いということです。
 
 腸内から体内に入った乳酸菌は,マクロファージにとらえられます。その結果T細胞が刺激され,インターロイキン2やインターフェロンなどの免疫活性物資が産生されることにより,がんに対する免疫力が高まることが確認されています。つまり乳酸菌は自ら異質な細胞として,免疫細胞に認識させ,臨戦態勢をとらせることで,がん細胞に対しての攻撃力を強化するはたらきがあるのです。

 さらに乳酸菌は,その自ら作り出す酸で,腐敗菌を減少させ,腐敗菌の出す発がん物資を抑えることができます。したがってヨーグルトなどの乳酸菌製品,食物繊維を多くとることなどが腸内環境を整え,がん予防としても重要です。


国立がんセンター「がん予防12か条」 

 国立がんセンターでは「がん予防12か条」を示しています。上記のものと多くの項目が重複しますが,例示しておきます。

(1)バランスのとれた栄養をとる
(2)毎日,変化のある食生活を
(3)食べすぎを避け,脂肪は控えめに
(4)お酒はほどほどに
(5)タバコは吸わないように
(6)食べ物から適量のビタミンと繊維質のものを多くとる
(7)塩辛いものは少なめに。あまり熱いものは冷ましてから
(8)焦げた部分は避ける
(9)かびのはえたものに注意
(10)日光に当たりすぎない
(11)適度にスポーツをする
(12)体を清潔に



 現在,がんの発症のメカニズムはある程度は解明されたとはいえ,まだ十分ではありません。しかし部位によってはある程度原因となるものがわかっています。 ここでは,現在解明されている範囲内で予防可能な方法を部位別に示します。
部位別がん予防方法
肺がんの予防方法
禁煙をこころがける

 肺がんは喫煙がもっとも大きな要因です。特に小細胞がん,扁平上皮がんは喫煙との因果関係が深いといわれ,男性の約3分の2は喫煙が原因と言われています。

 毎日喫煙する人は非喫煙者に比べ、約4.5倍肺がんのリスクが高くなります。また,喫煙の開始年齢が若いほどリスクが高くなり,20歳以下に喫煙を開始すると非喫煙者に比べ,リスクは6倍近くなります。

 したっがて,肺がんの予防には禁煙が最も有効な方法ですが,ただし発がんのリスクが非喫煙者の30〜50%に下がるまでに10年はかかると言われ,少しでも早い時期に禁煙をすることが大切です。

 また,大気汚染や他の環境要因,ディーゼルエンジンから排出される微粒子(DEP)にはベンツピレンなどの発がん性物質が含まれ,アスベストなども発がん要因でこれらの環境には十分注意しましょう。

胃がん予防方法
  胃がんは多くの場合,胃炎や胃潰瘍から生じるとみられています。すなわち,胃炎や胃潰瘍で胃壁の細胞が傷み,修復を繰り返すなかで遺伝子復元にエラーが生じがん化すると考えられます。

 特に胃は食物を消化するための器官であり,それだけに食生活との関連が指摘されています。 
さらに詳しく知りたい方はがん治療の「胃がん」のページをご覧下さい。


ストレスを避け,上手に解消する
 ストレスは胃炎や胃潰瘍の原因となります。これらが繰り返されることで胃壁ががん化する危険性があります。 


食塩の過剰摂取を避ける
 胃がんのなかで最も大きな要因と考えられているのが塩分で,高塩分は胃の粘膜のバリアをとかし,胃炎を発生させ, 発がん物質の影響を受けやすくなります。 


禁煙をする
 タバコの煙の発がん物質が胃壁を刺激し,がんの発症を促すと考えられています。また喫煙は活性酸素も発生させます。喫煙者は非喫煙者と比較すると胃がんの発症率が1.5倍〜2倍になります。


アルコールを飲み過ぎない
 
アルコールは胃の粘膜を傷めます。そして胃がんの発生をしやすくします。そこにタバコの中の発がん物質が作用すると相乗作用でよりがん化のリスクが高くなります。 タバコの中の発がん成分の一部はアルコールに溶けて,胃に直接吸収されるということもわかっています。 

 胃の入り口に近い部位のがんに限っては喫煙者は3倍,さらにアルコールも飲む人は5倍も発症率が高くなります。


肉や魚の焦げを食べない
 肉や魚の焦げた部分にはたんぱく質が変性したヘテロサイクリックアミンという部質が発生しており,胃がんを引き起こす要因と考えられています。


ピロリ菌を除去する
 ピロリ菌から分泌される毒素は潰瘍を発生させ,やがて胃がんの発症につながることもあります。ピロリ菌感染は血液検査でわかり抗生物質で殺せるので,早めに除去しておきましょう。
ただし,ピロリ菌除去は必ずしも万能ではなく,除菌の後に逆流性食道炎などが起こることもあるので医師とよく相談しましょう。


野菜を豊富に食べる
 βカロチンやビタミンCは抗酸化作用があり,活性酸素から細胞を守り,がんを防ぎます。したがってこれらを含む緑黄食野菜を摂取することも大切ですが,最近の研究により淡色野菜にも発がん物質を無害化したり,免疫力を高める効果があるとわかってきました,これらの野菜をとることで発がんのリスクを下げることができます。

食道がん予防方法

 食道がん患者には喫煙や飲酒の習慣が長い人が多いことがわかっています。またかゆなど熱い飲食物を摂取する習慣のある地方でも食道がんは高い発症率を示しています。

喫煙,アルコールを控える
 食道はタバコやアルコールの影響を受けやすい部位です。したがって喫煙を避け,アルコールを控えるということが大切です。タバコを吸う人は吸わないひとに比べ,食道がんで死亡する率は2倍です。

 喫煙とアルコールの同時摂取は,食道がんの発症を相乗的に高め,一日に吸う箱数×喫煙年数の数値が30を超えている人が,一日に1.5合以上飲酒した場合の発がんリスクは,喫煙も飲酒もしない人の30倍にもなります。

熱いものをそのままとらない 
 また熱い食べ物や飲み物をとり続けると,熱の刺激で粘膜が炎症をおこし,発がんしやすくなるので,
すこしさましてから口にいれるようにしましょう。

大腸がん予防方法
 大腸がんの原因としてアルコール,喫煙,肉など動物性脂肪の過剰摂取,食物繊維摂取不足などがあげられます。

喫煙,アルコールを控える
 あるデータによると,男性では,アルコール摂取量が日本酒にして1日平均1合以上2合未満の人は、飲酒しない人に比べて,大腸がんの発生率が1.4倍,1日平均2合以上の人は,2.1倍でした。
 
 喫煙に関しては,毎日の喫煙量が多く,喫煙年数が長い人ほどリスクが高く,大腸がんでも若いころから喫煙をしていた人ほどがんの発症率が高いというデータもあります。

肉など動物性脂肪を摂りすぎず,食物繊維を十分にとる 
 動物性脂肪は,消化・吸収される過程で悪玉菌により,発がん物質が生成され,腸の粘膜をがん化させると考えられています。また食物繊維は発がん物質が粘膜に接触することを減らし,またそれを吸着して体外に排出しやすくし,発がんリスクを低下させます。

乳酸菌を摂るなどして腸内環境を整える。
 がんの予防方法でも述べましたが, 腸内から体内に入った乳酸菌は,がんに対する免疫力をが高めます。
 
 またその自ら作り出す酸で,有害な腐敗菌を減少させ,腐敗菌の出す発がん物資を抑えることができます。

乳がん予防方法
高脂肪の食品を控え,肥満に注意する
 乳がんは女性ホルモンのエストロゲンが関与しています。特に閉経後は,卵巣の代わりに脂肪組織からホルモンがつくられるため,閉経後も肥満の女性は乳がんのリスクが高いと言われています。
 
 また高タンパク,高脂肪の欧米型食生活が乳がんの発症と大きく関わっていると考えられ,特に脂質摂取量の多い国ほど,乳がん死亡率が高いという結果がでています。

アルコールを控える
 アルコールと乳がんの関係も指摘されており,毎日アルコール度数4%の酒を250ml程度摂取すると乳がんのリスクは9%増加すると言われています。
 

肝臓がん予防方法
 日本人の肝細胞がんは,その多くが慢性肝炎や,肝硬変から発症します。特にB型肝炎やC型肝炎は感染したウィルスにより,肝細胞の遺伝子に変異がおこり,がん化すると考えれています。

肝炎ウィルスの感染に注意
 
B型・C型肝炎ウィルスは感染力が弱く,日常生活や性交渉で感染することはほとんどありません。
また現在は予防措置がとられているため,輸血で感染することはありませんが,1991年以前に輸血したことのある人で不安を感じる人は血液検査をしたほうがいいでしょう。またこれらのウィルスに感染していても治療を受ければ発がんのリスクは下がります。

アルコールを飲み過ぎない
 またアルコールの多飲は肝臓の細胞を傷つけ,肝硬変につながり,それがやがて肝細胞がんの発生につながります。またナッツ類に含まれる植物毒(アフラトキシン)を吸収することで肝臓がんが発生することもあります。
 

膵臓がん予防方法
喫煙を控える  
 膵臓がんの要因として指摘されているものに喫煙があります。その他糖尿病や慢性膵炎なども発症のリスクを上げていると考えられています。

 喫煙者が膵臓がんになる危険度は,非喫煙者に比べ,1.5倍〜5.7倍という結果が報告されています。タバコの煙の中の発がん物質は血流にのって膵臓にたどりつき,発がん作用を起こすと考えれています。

肉を食べ過ぎない 
 また肉食過多も原因として指摘されています。膵臓はタンパク質や脂肪を分解する膵液を分泌します。したがって,肉の摂取が多いとそれだけ大量の膵液を分泌し,それが細胞を変異させると考えられます。また動物性脂肪が,消化・吸収する過程で発生する発がん物質も一因と考えられています。

野菜を豊富に食べる
 果物や野菜を豊富に摂取していると膵がんのリスクが大幅に軽減することが,米カルフォルニア大学の研究で明らかになりました。

前立腺がん予防方法
 このがんの発症に関しては,遺伝的な要素は10%程度で他は環境因子による遺伝子の変異と考えられます。

肉などの高脂肪食を食べ過ぎない
 環境因子のなかで特に大きなものが,欧米型の高脂肪食であるといわれています。肉食を中心とした欧米では男性がん患者の死亡者の20%を占めています。

 このがんは特に男性ホルモンによって成長することに大きな特徴があります。肉に含まれる飽和脂肪酸が,男性ホルモンのエストロゲンの血中濃度を上げ,前立腺がんの発症率を高めていると考えられています。

大豆製品や緑茶で抑制
 また前立腺がんは女性ホルモンのエストロゲン様作用を持つ大豆イソフラボン摂取により,予防や再発予防に効果があるとされます。またカテキンをふくむ緑茶などにも予防効果が高いといわれています。大豆タンパクや,緑茶を中心とした食生活が前立腺がんを抑制するという報告もあります。

卵巣がん予防方法
高脂肪・高カロリーの食事を控える 
 卵巣がんの
発生する率は年々増加しています。これは欧米型の肉食を中心とした高脂肪・高カロリーの食生活が関わっていると考えられています。 外国の研究報告では,赤肉(牛肉,豚肉,羊肉など)を多く摂取すると,卵巣ガンの発生率が50%以上も高くなるという結果もでています。

 また卵巣がんの発生には女性ホルモンのエストロゲンが関わっています。 近年,日本人は発育も体格も良くなり,初潮が早くなり閉経は遅くなっています。 したがってエストロゲンにさらされる期間が長く,卵巣がんの発症も増加していると考えられています。

肥満,糖尿病,高血圧,喫煙に注意
 その他にも肥満や,糖尿病,高血圧,喫煙などがリスクを上げる要因なので注意しましょう。

子宮がん予防方法
 子宮は子宮上部の子宮体と,下部の細くなった子宮頸部に分かれます。頸部に発症するがんを子宮頸がん,子宮体に発症するがんを子宮体がんと呼びます。

ウィルス感染に注意
 現在,子宮頸がん発症の多くがウィルス感染が原因と考えられています。このがん発症の原因ともなるウィルスはヒトパピローマウィルス(HPV)と呼ばれ,多くの型があります。

 このウィルスは性行為で子宮頸部へ感染しますが,発症するのはごく一部で,多くの場合,免疫細胞によって排除されます。感染を防ぐには性行為の際にコンドームを使うことが有効です。また清潔な性生活も大切です。

喫煙を控える
 またこの子宮頸がんは喫煙との関係も指摘され,喫煙は子宮頸がんの発症を2倍に上げると言われています。

閉経後の肥満に注意

 一方,子宮体がんは女性ホルモンのエストロゲンに長い間さらされるとがん発症リスクが高くなると考えられています。

 したがって乳がんと同様,閉経後の肥満が原因と言われ,特に閉経後は,卵巣の代わりに脂肪組織からホルモンがつくられるため,閉経後も肥満の女性は子宮がんのリスクが高いと言われています。
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