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がん最新治療技術情報

   


アイマックスがん治療とは
樹状細胞療法+低用量化学療法+低侵襲放射線治療


アイマックスがん治療(Immune maximizing therapy for cancer)(免疫最大化がん治療))とは,免疫細胞の一つである樹状細胞を利用した樹状細胞療法と低用量抗がん剤やピンポイント放射線治療(IMRT)を組み合わせることで,樹状細胞療法の効果をさらに高めることを可能にした治療法です。

小用量の抗がん剤と免疫療法で,がんの増殖を停止させる,画期的ながん休眠療法((次頁参照)を確立したのは千葉大学の高橋豊教授と名古屋市立大学の芝本雄太教授です。

アイマックスがん治療は,両教授とテラ株式会社の共同研究から,がん休眠療法をさらに進化させ,新たに開発された治療法です。

樹状細胞はがんの抗原を認識し,免疫細胞であるリンパ球へ情報を伝える免疫の司令塔のような役割を持つ細胞です。
 
樹状細胞療法とは樹状細胞に患者のがん組織または人工的に生成したがん抗原を認識させ,患者の体内にもどすことで,リンパ球ががんを標的とみなし,効率よくがんを攻撃できる免疫治療法です。 


これまで抗がん剤や放射線療法は,がんだけでなく正常な細胞にもダメージを与えることから免疫機能を低下させるものとして,免疫療法との併用は難しいと考えられてきました。

しかし,最近の研究では,がんに対する免疫機能を抑えようとする細胞があり,ある種の抗がん剤がこの細胞の働きを弱めることが報告されています。

また,最先端のピンポイント放射線装置を使用することで,正常細胞や免疫細胞へのダメージを最小限におさえることができるようになりました。

アイマックスがん治療はこれら最先端のがん治療技術を組みあわせた治療法であり,文字通り,免疫細胞の力を最大限に発揮する治療法です。

また,それぞれの治療法に副作用が少ないため,QOLを高く維持できる画期的治療法として,今後も発展していく治療法といえます。

アイマックスがん治療を行う際には,樹状細胞の培養施設や最新放射線治療機器などの設備が必要となり,複数の施設が連携して治療をおこなっているケースも多いようです。

以下に(株)テラとの提携施設へのリンク先を示しておきますので,アイマックス治療が可能かどうか問い合わせてみてください。


 実施期間問い合わせ(株)テラとの提携施設一覧

 
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小量の抗がん剤と免疫療法併用治療
    従来の標準的抗がん剤治療を上回る延命効果
   

抗がん剤はがん細胞を死滅させる力はありますが,同時に免疫細胞などの正常細胞にもダメージを与えてしまいます。従来の標準的抗がん剤治療では,奏効率,すなわち見かけ上の腫瘍の縮小効果を第一に考えられていました。

そのため従来の標準的治療法では,腫瘍を縮小させるため,副作用に耐えられる限度まで大量に抗がん剤が投与されるケースが多かったといえます。 

その結果,腫瘍は小さくなっても,その抗がん剤によるダメージのため,かえって寿命を縮めてしまったり,あるいは大量の抗がん剤のつらい副作用に耐えても,延命効果は2,3ヶ月というケースが多々見られていました。

また,画像診断上腫瘍が消失し,その状態が4週間以上続くことを完全寛解(CR=Complete Response)と言いますが,たとえ完全寛解という状態になり,がん細胞が目には見えなくなったとしても,ミクロのレベルでがん細胞は存在し,その細胞の増殖,すなわち再発により,増殖スピードが上がり,抗がん剤も効かなくなり死に至るというケースはよく耳にします。

これは,大量の抗がん剤により,免疫細胞などの正常細胞がダメージを受けてしまったり,生き残ったがん細胞が薬剤に対する耐性を獲得してしまったためです。

こうして見るとがんの種類にもよりますが,大量の抗がん剤投与は延命効果にはあまり寄与していないという結論に至ります。

そこで,近年,ごく少量の抗がん剤を投与すれば,正常細胞にダメージを与えず,延命効果が期待できるのではないかという考えから,抗がん剤投与量を最小限に抑える方法が考案され,「共存療法」もしくは「がん休眠療法」と呼ばれています。

この方法ですと,がん細胞に対する殺傷効果は弱く,当然腫瘍縮小効果は少なく,したがって奏効率も低い値です。しかし,免疫細胞や正常細胞のダメージは少なく,腫瘍も縮小しない代わりに増殖もしないという状態で,長期の延命が可能になっていると報告されています。

この方法に免疫力を上げる薬剤を投与するなどの方法を併用することにより,標準的な抗がん剤治療の何倍もの延命効果が報告されています。

がん細胞が免疫細胞の監視から逃れるしくみは複雑で,解明されていないことも多いのですが,少量の抗がん剤投与により,がん細胞を死滅させられなくとも,弱らせることで,がん細胞が免疫細胞にとらえられやすくなるのではないかと考えられています。

このがん治療法は,まだはじまったばかりであり,データの集積も十分ではありませんが,従来の抗がん剤治療の欠点や矛盾を解決できる有効な治療法の一つであると思われます。

実施期間問い合わせ    
  金沢大学医学部付属病院   TEL:076-265-2000
  金沢大学がん研究所  TEL:076-265-2779 
  東京都町田市町田胃腸病院   TEL: 042-726-6511 
  さいたま市 三愛病院    TEL:048-866-1717 

    

 
 
 

   
放射線化学療法
放射線と抗がん剤同時併用の治療法,手術と同等の効果で適応部位も拡大


欧米などの国々では,日本より放射線で治療するケースが多く,放射線治療機器の進歩により,その成績も向上しています。 しかし日本では手術が第一の選択肢になることが多いようです。

 確かにがんの進行度が初期の段階では手術は確実な方法ですが,がんのステージ(病期)が進むにつれ転移をしていることが多く,目に見えない部分で取り残しがあったり,あるいは再発を防ぐため,より広い範囲で切除することによるQOLの低下は避けられないことでもあります。

 放射線治療には,口内炎や下痢などの副作用や晩期障害として胸水,肺臓炎などの副作用があらわれることもありますが,手術と比較して患者の負担が軽く,QOLの低下も少ない治療法です。

しかし,これまでは食道などのがん治療は,放射線単独よりも手術のほうが治療成績が高いとして,放射線治療よりも手術が選択されることも多かったという現状がありました。

食道の摘出は,手術時の負担だけでなく,術後は食べられる量が減ったり,食べ物や酸が逆流したり,低血糖などのダンピング症候群が現れることが多く,多くの患者が後遺症に悩まされています。
 
ところが近年の研究により,放射線と抗がん剤を併用することで,部位によっては手術と同等の治療成績があげられることがわかってきたのです。この方法ですと,切除をしないために患者の負担は軽くなり,QOLの低下もほとんどなく,朗報といえます。


特に,食道がんなどは早期がん,進行がんに関わりなく,手術と同等の治療成績をあげられることがデータとして示され,この放射線化学療法を採用する病院も増えています。

この放射線化学療法はまだ研究の余地もあり,放射線の線量や,抗がん剤の種類や投与方法なども病院によってまちまちであるという実態もあります。今後の臨床試験の実施により,標準治療の確立が望まれるところです。

この新しい治療法は上記の食道がんの他に胃がん,膵臓がん,子宮頸がん,膀胱がんなどにも試みられるようになり,成果もあがっています。

 特に胃がんはこれまで放射線治療は有効ではないとされていましたが,アメリカで胃がん患者の手術後に放射線化学療法を施したところ,再発率低下などの優位性が認められました。

日本では手術が困難な進行胃がんの場合でも,放射線化学療法で腫瘍が縮小し,その後の手術で治癒するという慶応大学の久保田教授らの報告例もあり,今後の研究が期待されます。

また,現在では進行再発胃がんに対する放射線化学療法の臨床試験が行われているところです。
 
ただし,この方法は発展途上のため上記のように病院間の格差もあり,患者によっては効果が見られない場合もありますが,QOLを重視したがん治療の選択肢として有効な方法であると思われます。

 実施機関問い合わせ      
 国立がんセンター東病院 消化器内科   TEL:04-7133-1111   
京都大学医学部附属病院 放射線科    TEL:075-751-3111   
       

 
 
 
   
サリドマイド 
   がん治療薬として復活,末期がんでも劇的効果

サリドマイドは1960年代に睡眠薬やつわりを軽減する効果があるとして販売され,その結果,手足の一部が欠損した奇形アザラシ肢症の子供が生まれるという世界的な問題を引き起こし,悪魔の薬とまで呼ばれていました。
 
しかし,その薬剤が,がん細胞に用いると,がんの血管を新たに形成しようとするはたらき,すなわち血管新生を抑制する効果があることがわかり,がん治療に画期的な効果をもたらしています。

がん細胞はある程度の大きさになると最寄りの血管にシグナルを送り,自己のがん細胞に向かって新たに血管を形成します。これを血管新生と呼びます。この血管新生を止めることができれば,がん細胞の増殖を食い止めることができます。

また,サリドマイドにはがん性悪液質(がん細胞が放出する物質によって体力の消耗や食欲不振などが起こる状態)の原因であるTNF-αの産生を阻害する作用があると言われ,進行がん患者の食欲増進や倦怠感の改善も見られています。

このサリドマイドに,アスピリン系薬剤から開発されたがんの増殖を抑えるセレブレックスという薬剤を併用することでさらに効果を高め,末期患者でも劇的に延命効果をもたらすという症例報告があり,今まで治療が困難とされていた膵臓のがん治療にも効果をあげています。

ただ,ここで注意しなければならないことは,前述した通り,妊婦が服用すると胎児に催奇形性をもたらすということです。また男性が服用しても精液にサリドマイドの成分が含まれてしまい,妊娠女性に催奇形性がもたらされることが判明しています。さらに,末梢神経障害などの副作用も報告されており,注意が必要です。

現在,多発性骨髄腫への臨床試験の結果,国内では,でも2008年サレドカプセルの商品名で承認されました。

 
 

 
   
NKT細胞免疫療法
   世界初の新しい画期的免疫細胞療法千葉大学で開発

NKT細胞は,1986年千葉大学の谷口克教授の研究グループによりその存在が明らかになった新しいリンパ球で,T細胞とNK細胞の両方の性質を兼ね備えています。

このNKT細胞は,血液中には0.01-0.1%を占めるにすぎず,非常に数が少ないため発見が遅れていましたが,研究が進むにつれ,この稀少な免疫細胞が抗腫瘍効果できわめて重要なはたらきを持っていることが分かったのです。

このNKT細胞のすぐれた特徴はNK細胞と同じように,樹状細胞などから,がん細胞の抗原提示を受けなくともすぐに攻撃できるという自然免疫系の性質を持っているだけでなく,NKT細胞から分泌されたサイトカイン(インターフェロンγ)が,同じ自然免疫系の他の細胞NK細胞や獲得免疫系のT細胞を活性化できることにあります。

すなわち,このNKT細胞をうまく増殖させることができれば,自然免疫系と獲得免疫系2種類のタイプの免疫細胞を活性化でき,きわめて効率的に免疫力を強化できます。

がん細胞の中にはMHC分子と呼ばれるがん抗原を提示しているものもあれば,それを消失しているものもあります。がん抗原を提示しているものを攻撃するのがT細胞であり,消失しているものを攻撃するのがNK細胞やNKT細胞です。したがってこの両方の免疫細胞を活性化できるということはより多くのがん細胞を攻撃できるということです。
 
さらにこのNKT細胞のがん細胞に対する殺傷能力はNK細胞よりも強いということもわかってきました。まだ,臨床試験の段階ですが,今までにない高い効果が期待できるがん治療法です。

また,近年の研究により,このNKT細胞を特異的に活性化する物質として,CD1d分子によって提示された糖脂質α-ガラクトシルセラミド(alpha-GalCer)が発見されました。つまりこの糖脂質をNKT細胞に認識させることで,NKT細胞が飛躍的に増殖,活性化できるという点がわかったのです。

現在,千葉大学医学部でこの治療法の臨床試験が行われています。実際の方法としては,患者の腕の静脈から血液を採取し,この血液から樹状細胞を獲得し,樹状細胞にα-ガラクトシルセラミドを与え,患者の体内に点滴でもどすという方法でおこなっています。

臨床試験なのでこの治療を受けるには条件もあると思われますが,希望する方は問い合わせてみてください。
また,免疫細胞療法のくわしいしくみを知りたい方は免疫細胞療法のページをごらんください。
  

実施機関 問い合わせ 千葉大学医学部附属病院 
呼吸器外科 TEL:043-222-7171

 


 
 
   
抗がん剤5-FUの動注化学療法とインターフェロン併用治療
 進行肝がん患者にも大きな効果

動注化学療法とは,そけい部からカテーテルを入れ,肝動脈から腫瘍部に抗がん剤を集中して直接投与することにより,薬剤を腫瘍に集中させるがん治療法です。

しかし,これまで肝臓がんにはあまり有効な抗がん剤はないとされていました。
ところが,この5-FUを動注療法で少量ずつ24時間投与すると同時に週3回インターフェロンの筋肉注射をすることで,手術できない進行がん患者でも48%の人にがんが消失したり(CR),大幅に縮小したり(PR)する成果があったのです。(大阪大)

この治療法のメリットは局所に抗がん剤を投与するため,副作用も少なく,また治療を開始してから効果が現れるまでの期間が短いということです。

この治療法が開発されたため,この治療法で腫瘍を縮小させた後,手術やラジオ波焼灼法などでの治療も可能となりました。

ただし,これまでのデータによると約半数の肝臓がん患者には効果があるものの,残りの半数の患者には効果が見られないということです。

インターフェロンとの併用がなぜ,効果を上げるかはわかっていませんが,インターフェロンにはウィルスの増殖を抑えるはたらきだけでなく,NK細胞を活性化し,細胞増殖を抑制する機能なども持っているため,それらと抗がん剤が相乗効果を生んでいると考えられます。

現在,肝臓がんにインターフェロンは保険が適用されず,自費治療となりますが,がん治療効果が大きいことからこの治療法を採用している病院も増えています。 


 

   実施機関 問い合わせ    
  杏雲堂病院肝臓外科         TEL:03-3292-2051   
  金沢大学付属病院 TEL:076-265-2000   
  広島大学第一内科 TEL: 082-257-5191  
  山口大医学部付属病院  TEL:0836-22-2111  
  大阪大学医学部付属病院 消化器外科  TEL:06-6879-5111   
  池田市立池田病院内科 TEL:072-751-2881  
  岡山大学医学部付属病院 TEL:086-223-7151  
       

                    

 
 
 

 
 
   
閉鎖循環下骨盤内灌流化学療法
骨盤内の臓器だけに集中する強力化学療法
副作用は最小限にして進行がん根治も可能発

抗がん剤治療は,静脈注射や経口投与で行われる場合が多く,全身を巡るため,がん細胞だけでなく,正常細胞まで影響を受けてしまいます。その結果,リンパ球の減少,嘔吐,食欲不振,脱毛などの副作用が現れます。

したがって,がん細胞に抗がん剤を大量に集中できれば,効果も上がり,かつ副作用も少ないということになります。これまでも動注化学療法でカテーテルを使い,腫瘍近くで抗がん剤を投与する方法がありましたが,一時的に集中できても抗がん剤はやがて全身を巡ることになってしまいます。

このようながん治療の方法の欠点を改善した治療法が骨盤内灌流化学療法で,骨盤内へ入る血流や骨盤外へ出て行く血流を遮断し,一時的に骨盤内だけを血液が循環するようにし,そこに大量の抗がん剤を投与するという方法です。

この治療法は,まず,そけい部(太ももの付け根)からバルーンつきカテーテルを挿入します。次にそのバルーンを,腹部大動脈と下大静脈のなかでふくらませ,骨盤内臓器へ向かう主要な血流を遮断します。 さらに太ももをベルトで締め,下肢へ向かう血流も遮断します。

そこにポンプで骨盤内の血流を巡らすことで骨盤内だけを血液が循環することになります。その血流に大量の抗がん剤を投与し30分間程度循環させることで骨盤内にあるがん細胞は効率よく死滅させられるという方法です。また,処置後は血液透析を行い,抗がん剤を完全に濾過し,3時間ほどで終了します。

この治療法の驚異的な点は1回の治療で腫瘍が消滅することも多く,また副作用も少なく,腫瘍の消失,縮小,さらに普遍も含めると奏効率は100%に及ぶという点です。さらには手術では治療が困難であるほどの進行がんにも根治が可能です。

この方法を実施している日本医科大での研究発表では,1999年から2001年までの直腸がん再発患者,進行性膀胱がん患者,進行性子宮がん患者18名に対してこの治療法を行ったところ,疼痛は全員減少し,腫瘍の完全寛解5名,部分寛解6名で,リンパ球減少などの副作用も少なかったということで,末期進行患者にも安全に施行できるとしています。

この治療法は,骨盤内の腫瘍治療に限定されますが,末期患者にも希望をもたらす画期的ながん治療法と言えます。

実施機関 問い合わせ
日本医科大学付属病院放射線科 TEL 03-3822-2131

 
 

 
 
   
経皮的肝灌流化学療法(PIHP)
肝局所化学療法 進行肝がんの治療にも大きな成果 

これまで肝臓のがん治療の一つに動注化学療法がありました。この方法はカテーテルをそけい部から入れ,肝動脈まで通した後,腫瘍部に抗がん剤を集中して直接投与することにより,薬剤を腫瘍に集中させる治療法で,ある程度の効果はありましたが,肝臓の腫瘍を巡った抗がん剤は全身を巡り,副作用を避けることはできず,したがってあまり高濃度の薬剤を投与することはできませんでした。

その欠点を改良したものが,この経皮的肝灌流化学療法(PIHP)であり,神戸大学の肝臓外科チームが新たに開発したものです。

この治療法は,肝臓をはさんで下大静脈の上下をバルーンでふさぎます。そして,肝動脈から通常の10倍の高濃度抗がん剤を投与します。その抗がん剤は血流とともに肝臓の腫瘍を経て,肝静脈から下大静脈に入りますが,その上下をバルーンでふさがれているため,血流はバルーンについたカテーテルの穴に入り,そこから体外へと送られ,抗がん剤が濾過された後に,体内に戻されるという方法です。

つまり,この方法ですと,高濃度の抗がん剤を肝臓のみに集中できる上に,抗がん剤が体外で濾過されるため,他の部分には送られず,副作用も大幅に軽減できるというメリットがあります。

神戸大学はこの方法ですでに臨床試験を行っており,臨床第1,2相試験では肝臓がんの遠隔転移を伴わない,ステージⅣの患者に対する奏功率では64%,5年生存率では20%と1年前後しか生存が期待できなかった進行肝がん治療成績が著明に向上しています。

また,神戸大学では,肝切除に経皮的肝灌流化学療法を併用する2段階治療にも取り組む計画もあり,今後新しい抗がん剤の使用や感受性テストを併用することにより,さらに有効率の向上をはかりたいということです。


またこのシステムは肝臓のみならず骨盤内領域のがん(子宮や直腸)にも応用でき,この特殊カテーテルは改良を加えることで他の場所での活用も可能な発展的要素を持っていると考えられています。

 このがん治療法はまだ新しく他では実施されていませんが,治療効果も大きく,今後も臨床試験で効果が確認されれば普及される治療法であると考えられます。

実施機関 問い合わせ
神戸大学附属病院 肝胆膵外科 TEL:078-382-5111
 
 

 

 
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第20回 がんについての市民公開講演会録  
演題 放射線治療と仲良くつきあうために
池田恢(国立がんセンター中央病院放射線治療部長) 
放射線治療は,手術,化学療法(抗がん剤治療)とならび3大がん治療の一つとされ,放射線治療では「腫瘍周囲の正常組織はできるだけ少ない線量で,標的の腫瘍には線量を集中させる。」ということが理想であるということを本日理解していただきたい。

米国では全悪性腫瘍患者の60%が一度は放射線治療を受けており,スウェーデンでも2001年のデータでは47%であるのに対し,日本では20%で,多く見積もっても25%程度に過ぎず,もっと利用していただいてもよいのではないかと思う。

放射線治療は体にメスを入れる手術に比べ侵襲が少なく,全身療法である化学療法に比べ,局所治療であるため,全身への影響が少ない点がメリットである。

放射線治療は正常細胞よりがん細胞の方が増殖が早いため,がん細胞が細胞分裂を行う時に放射線でDNAを破壊し,細胞の増殖を止め,死に至らしめるという原理である。

放射線治療は手術に付随する補助的な治療法ではなく,根治できるがん治療法であり,たとえば舌がんに対する組織内照射や喉頭がんに対する外照射,子宮頸がんに対する腔内照射などは根治的な治療手段として利用されている。

近年10ミリオンボルトエックス線の登場により,皮膚に近いところに与える線量を少なくして,皮膚より深いところで線量が最大にできるようになり,放射線治療の大きなメリットとなっている。

放射線治療にも効果を示しやすいがん(放射線感受性が高いがん)があり,白血病,リンパ腫瘍,小児腫瘍,肺小細胞がん,扁平上皮がん,乳がんなどがある。つまり細胞分裂の能力が高く,細胞の分化度が低いがんは感受性が高い。反対に胃がん,大腸がん,腎がん,骨肉腫などは感受性が低い。

放射線の副作用としては,全身に感じる急性反応として,全身倦怠感,食欲不振,むかつき,おう吐などがあり,局所の急性反応としては,消化管粘膜の炎症,白血球,血小板の減少,皮膚の炎症,発熱,呼吸困難などがある。

また局所の遅発性有害反応は部位により様々であるが,皮膚の場合など一定の線量を超えて照射されると末梢血管が萎縮し,循環不全に陥り,壊死を起こすこともある。 

しかし,これらは個人差があり,急性全身反応はやむを得ないものとして支持療法で対処し,局所の急性反応や遅発性有害反応に関しては放射線治療のプランを立て対処している。

現在,食道のがん治療では放射線と化学療法を併用することで,手術に匹敵する成績が得られるようになったが,問題点もあり,食道粘膜に対する副作用が,放射線あるいは化学療法単独よりも大きく,この治療法で再発した場合,手術で治療することはかなり困難である。

6年ほど前からわれわれは研究班を立ち上げ,治療装置できちんとした線量が当てられているのかどうかについての調査をがんセンターだけでなく,多くの施設に対して行っており,放射線治療に伴う大きな事故は減少し,全国的に品質は向上していると考える。

現在ではコンピュータなどのハイテク機器の精度の向上により,ピンポイントでの照射が可能となり,放射線治療も日々進歩しているため,今後日本でも大いに期待していただきたいがん治療法であると考えている。



第20回 がんについての市民公開講演会録  
演題 がん医療の進歩 ~過去・現在・未来~
池田恢(国立がんセンター中央病院放射線治療部長)
高齢化社会と言われる現在,1981年に死亡原因としてがんが一番になり,2003年の統計では32万人の方ががんでなくなっており,これは新幹線のぞみの乗客数1300人とほぼ同数の方が毎日がんでなくなってきることになる。

発がん物質(紫外線やたばこなど)は細胞の遺伝子に傷をつけてしまうが,遺伝子の傷が修復されたり,修復されない場合でもその細胞は死んでしまい,遺伝子は受け継がれない。しかしなかには遺伝子に損傷が生じても,不死身の細胞となり,外からのコントロールを受けずに増殖する細胞もあり,これががん細胞である。

10年前はがんがありそうなところ,細胞が飛んでいきそうなところは全部切り取るという発想で手術がおこなわれていたが,手術のデータを蓄積していくなかで,たとえば胃がんであればどの範囲まで進行していれば,どの程度の切除や治療が妥当なのかということが明らかになってきた。

内視鏡治療では,がん組織に染色することで,早期発見が可能となった。また扁平ながんに対しては食塩水をがん組織の下に注入し,がんを浮き上がらせ切除する。また,電気メスの先にシリコンボールをつけて胃に穴が開かないように工夫したメスを開発し,より安全に内視鏡的治療が可能になった。

また体腔鏡によるがん治療では,たとえば肺がんの手術では40~50cmもからだを開いて行うが,体腔鏡(肺の場合は胸腔鏡と呼ばれる)では3カ所に小さな穴を開け,その1つに内視鏡を入れて,別の穴からは柄の長い手術器具を入れて,モニタ画面を見ながら治療を行う。

高度な技術が要求されるが,患者への負担はきわめて少なく,手術後3~4日で退院も可能である。
がんセンターでこの治療を行った患者は,治療の次の日はもう歩いている。

外科治療はこれからどう展開していくのか,まず手術名人の技術均てん化がある。これはロボット技術やナビゲーター,コンピュータを使って多くの手術経験を積まなくても名人と呼ばれる手術が可能になり,現在研究が進められている。

これまでの化学療法は正常細胞とがん細胞のわずかな薬剤の感受性の差を利用するものであり,したがって,副作用も全身に現れてしまう可能性が高くあり,いわばじゅうたん爆撃のようなものである。

したっがて正常細胞に影響を与えず,がんだけに作用するような薬物を開発することが,化学療法の大きな課題であり,その発想で作られた薬物が分子標的治療薬である。

この薬はがん細胞が正常細胞と異なる異常な分化・増殖システムを細胞・分子レベルで解明し,そこをターゲットにして,がん細胞を死滅させたり,増殖できないようにする薬である。

またこのような研究の発展はDNA解析による「テーラーメイド」の治療も可能にする。すなわちがん患者のがん組織をDNA解析することで,それにあう薬剤の組み合わせを選んで投与することが可能になり,無意味な副作用のある抗がん剤を避けることができる。

分子標的薬のひとつの例として,「ハ-セプチン」がある。この薬剤はある種の乳がんの増殖命令を受け取るレセプターに入り込み,合い鍵のようにふさぐ作用をする。実際ハーセプチンにより,転移が消失した患者もいる。

ただし,このハーセプチンは,ホルモン療法の感受性が低く,「HER2タンパク」と呼ばれるものの感受性が高い性格の乳がんに効果が高いことがわかってきた。

また,化学療法は,多く場合手術ができない進行がんで適応となるが,複数の薬剤を併用する多剤併用抗がん剤治療の効果により,かつては進行大腸がんの患者は4~6ヶ月しか存命していなかったものが2004年では平均25ヶ月存命している。

がんという病気に対しては,人に備わっている免疫力を活用する免疫療法も様々なものが検討されてきている。免疫細胞のなかで樹状細胞は司令塔細胞ではないかということで研究が進んでいるが,この樹状細胞そのものの活性化だけでは効果が弱いことがわかり,現在免疫担当細胞の強化の基礎研究が進められている。

免疫療法の一つとして造血肝細胞移植がある。これは白血病や悪性リンパ種に対する治療法として行われ,他人の骨髄を移植することで免疫反応により,皮膚にただれが生じたり,下痢をするといった症状が生じるが,この副作用と考えられる免疫反応をがん治療に役立てようとした治療がミニ移植である。

従来の造血幹細胞移植では大量の抗がん剤投与や放射線照射を行うため,患者にはきつく,高齢者では行えないような治療であった。
 
そこで抗がん剤量を減らすなどして,移植したリンパ球により,弱ったがん細胞を死滅させるというがん治療法が考案され,軽い肝細胞移植という意味でミニ移植と呼ばれている。 

この治療は血液がんが対象の中心であったが腎臓がんや大腸がんが肺に転移したというような固形がんの患者に対しても効果があることがわかり,現在様々な方法が検討されている。

現在がんの早期診断の重要性がより高まり,がんセンターでも力を入れている分野である。CTがさらに進み,らせん状にスキャンすることでより小さながんを見つけることや立体映像の作成も可能になった。 さらに顕微鏡CTの登場により,がんの組織に針を刺し,採るという検査も不要になるのではないかと考える。

最後にがんに負けないための秘訣をまとめた。1.生活習慣に気をつけましょう。2.検診受けて早期発見,早期治療。3.がんになったら自分のがんの勉強をしましょう。4.担当医の話をよく聞き,分からないところは質問しましょう。5.そして納得のいく治療を受けましょう。


第19回 がんについての市民公開講演会録  
 演題  がんの化学療法(抗がん剤による治療)
     ~肺がんを中心に~

田村友秀 国立がんセンター中央病院総合病棟部長     
進行非小細胞肺がんの化学療法では大きな話題としてゲフィチニブ(イレッサ)があるが,この治療薬は他の抗がん剤が無効となった患者に画期的な効果をもたらす。 治らなくとも,がんが著名に縮小し,その効果が1年以上続くことも希ではなく,日本人に効きやすいとされる。

ゲフィチニブは「上皮成長因子受容体」(EGFR)のはたらきを阻害することで,細胞外に存在する上皮成長因子すなわち「増殖せよ」という命令をがん細胞に伝えず,がん細胞は増殖できずに死んでいくというまったく新しい作用の薬である。
 
ゲフィチニブは当初マスコミから夢の薬としてもてはやされたが,重篤な肺の障害が副作用として引き起こされることがわかってきた。最近の調査では,肺の障害は約60%の患者に起こり,2~3%の患者が肺の障害のため死亡しているとされている。

この副作用は日本人に多く,特に喫煙歴や肺にもともと線維症のある患者や全身状態が不良の患者に多く起こるということがわかってきた。一方,ゲフィチニブが効きやすいのは,女性,非喫煙者,腺がんなどの要因を持つ患者であることが経験的に知られていた。

最近の基礎研究から,がん細胞のEGFRに特殊な遺伝子変異のある患者において,ゲフィチニブが非常に効きやすいことがわかり,遺伝子変異のある患者の80%以上で腫瘍縮小が見られている。しかし,遺伝子変異のない患者の10数%にも腫瘍縮小効果が見られている。

ゲフィチニブのがん治療にあたっては,それぞれの患者について,効果の可能性と肺障害の危険性を慎重に検討する必要がある。ゲフィチニブの適正使用については,日本肺がん学会より「ゲフィチニブ使用に関するガイドライン」が公表されている。

患者は治療を受けるメリットデメリットなどの説明を十分に聞き,理解した上で,自分で治療を選択しなければならない。がん治療の選択はただ単にこの薬,あの薬を選ぶというのではなく,患者自身が自分の人生をどう行きてゆくか,どう生きたいかという選択でもある。


第19回 がんについての市民公開講演会録  
演題  がん検診でどこまでわかるか ~がん予防・検診研究センターの役割とPET~
 森山 紀之(国立がんセンターがん予防・検診研究センター長)
2004年2月国立がんセンターに「がん予防・検診研究センター」が設立され,そこでの実績をふまえ,話をしたい。

がんセンター中央病院での5年生存率は1964年には41%であったものが,74年には47%,84年には55%,94年には60%と推移しているが,今後も治療成績が向上するかといえば,そこには大きな課題がある。

がんという病気はある程度以上進行すると治療が難しくなるため,早く見つけて,早く直すことが重要である。

予防という観点から「がんにならないための予防」を1次予防,「がんを早期に見つけること」を2次予防,「がん治療」を3次予防と呼ぶ。

第1次予防で大切なことは,たばこを吸わないことであり,肺がん死亡への毎日の喫煙の寄与危険度は71.5%であり,妻が非喫煙者であった場合でも夫の喫煙の寄与危険度は31%に達している。

したがって喫煙は自分だけでなく周囲にも迷惑をかけるので禁煙をこころがけてほしい。

飲酒に関しては,適度な飲酒はよいという結果があるが,飲み過ぎは酒を飲まない人のがんの死亡率を1とすると,それより上回るので,注意が必要である。

胃がんによる死亡率を県別に見てみると,東北地方に多く,西日本では和歌山県が多い,これは塩が原因である。和歌山は梅干しの産地であり,毎日の生活に梅干しが入っている。

第2次予防で,がんセンターでは40歳以上の方を対象にがん検診をおこなっている。基本となる総合検診では男性で,99.750円,それにPET検査を加えると189.000円。女性では136.500円,PET検査検査を加えると225.750円となる。

PETの画像は内視鏡やレントゲン写真に比べると分かりやすいが,PET検査ではがんのブドウ糖の代謝を映像化するものであり,したがってブドウ糖を大量に使う脳や腎臓や膀胱などもがん同様の映像となり検査は有効ではない。

また,がん細胞がブドウ糖をあまり代謝しない早期のがん,CTで分かる小さな肺がんや内視鏡でやっと見つけられる胃がんなどではPETでは発見できない。

PETは全身を一度に検査できるというメリットがあるが,精度としてはやや劣り,特に肺がんに関しては,PETより,CTの方が精度が高い。 

当センターの検診データでは40歳以上の方では5.04%すなわち20人に一人にがんがみつかっており,ただし90%が早期のがんであるが,皆さんが検診を受けてよかったと話している。

現在,大腸ファイバーを使わずに,CT映像を内視鏡映像のように処理し,さらにがんが出すタンパク質をコンピュータに設定することで,1日に多くの方の大腸検査ができる方法を開発中である。
 

第18回 がんについての市民公開講演会録  
 演題 インターベンショナル・ラジオロジー ~針穴から入って行う治療~
 荒井保明(国立がんセンター中央病院 放射線診断部長)
IVR(インターベンショナル・ラジオロジー)とは体の針穴を通して管や機械を入れて治療する方法であり,この技術を応用したがん治療法を紹介する。 この技術は大静脈,気管,胆道,食堂などの腫瘍による狭窄を広げるステント治療に用いられるだけでなく,鼻のチューブの代わりに食道などにも直接チューブを挿入させる方法にも応用され,患者の負担を軽減している。

また,がんによる骨のひずみを骨セメントと呼ばれるアクリル樹脂を充填することで修正し,痛みの軽減にも成功している。また,直腸がんに対してもIVRで腫瘍を焼くことで,痛みの軽減が可能になった。

がん患者には腹水がたまるという症状がみられるが,「デンバーシャント」という治療法では腹の中に管を入れ,心臓の血管に腹水を戻すという治療法で改善することも可能である。

その他にも止血や膿の排出,肝臓がんの動脈塞栓術やラジオ波などの治療にも応用されている。このIVRの実力は医療従事者にも評価されていないことも多いという現状があるが,このがん治療法は患者に対して快適な環境をつくることにも貢献でき,今後も研究を進めたい。