肺がん・がん治療

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肺がん
 国内でかつてはがんの死亡者のトップは胃がんでした。ところが1998年に肺がんがトップとなりその後も増加傾向にあります。肺がんの原因はまだ十分には解明されていませんが,喫煙,排気ガス(特にディーゼル車),アスベストなどが原因と言われています。 この中でも喫煙は最も大きな要因です。

 アスベストは,肺に吸入されてから発がんするまで数十年かかると言われており,アスベストが原因と見られる肺がん患者も近年増加しています。 また肺がんの5年生存率は25~30%といわれています。

 肺がんは,顕微鏡で見えるがん細胞の大きさにより小細胞(しょうさいぼう)肺がんと非小細胞肺がんの2つの型に大きく分類されます。 非小細胞肺がんは,さらに腺がん,扁平上皮がん,大細胞がん,などの組織型に分類されます。

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肺がんの病気(ステージ)
 肺がんのステージは大きく分けてI,II,III,IVの4段階に分けられます。
 
ステージI 肺内に癌が限局しておりリンパ節に転移がないこと。
ステージII 肺内に癌が限局し肺内のリンパ節にのみ転移があるか,リンパ節に転移はないが癌が直接肺外の切除できる周囲に拡がっていること。
ステージIII 他の臓器に転移はしていないが,ステージIIより進んだ状態。
ステージIV 他の臓器に転移している場合。         
 



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肺がんの発生部位と特徴
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 小細胞肺がん
小細胞がんとは
 顕微鏡でみると小型のがん細胞であるため小細胞肺がんと呼ばれます。肺がん全体のなか占める割合は10%強と少なく,喫煙者に多く発生します。

 肺の入り口に近い太い気管支から発生することが多く、
肺がんのなかでもっとも進行が速いがんです。発見された時には,肺門やリンパ節転移を起こしているケースが多く,早い時期から他の臓器への転移が見られ,悪性度が高いと言われています。抗がん剤や放射線治療は良く効くという特徴もあますが,肺がんの中ではもっとも予後の悪いがんです。


小細胞肺がんの症状
 初期の症状としては,せき,たん,血痰,発熱,胸痛,背部痛,呼吸困難などです。さらに進行すると体重減少や,リンパ節の腫れ,上半身の浮腫(むくみ)などが見られます。

 小細胞肺がんはときとしてがん細胞自体が副腎皮質刺激ホルモンや高利尿ホルモンなどのホルモンをつくりだすことがあります。その結果前者の場合では顔が満月のように丸くなることがあり,後者の場合ではけいれんや意識障害などの症状が見られることがあります。

小細胞がんの治療
 小細胞がんは「限局型(片方の肺と近くのリンパ節にがんがある場合)」と「進展型(がんが肺の外に拡がり転移が身体の他の臓器にも見つかる場合)」に大別されますが,小細胞がんは化学療法の治療効果が大きいがんであり,抗がん剤使用が治療の中心となります。

 進展型には抗がん剤による単独治療が行われますが,放射線の効果も大きく,限局型の小細胞がんには放射線療法と抗がん剤が併用されます。

 小細胞がんは発見された時点ですでに他へ転移しているケースが多いため手術は困難な場合が多く,外科療法は遠隔転移が見られない1期の患者のみ適用されていますが,術後には再発予防のため抗がん剤を使用します。


 非小細胞肺がん
腺がんとは
 肺の分泌腺としての性格を持つ細胞,すなわち腺にできるがんで,肺がん全体の55%を占め,肺がんの中で一番多いがんです。近年このがんの増加が著しく問題となっています。扁平上皮がんや小細胞がんほど喫煙との関連性は強くないとしてもやはり喫煙者に多く見られます。

 このがんの大半は肺の気管支の末梢部(肺野部)に生じます。比較的小さな状態からリンパ節に転移しやすく,小さいうちは症状がないことが多く,症状を起こすほどの大きさに達したときはすでに遠隔転移を起こしている場合が少なくありません。

 また末梢発生のがんのため,肺を包んでいる胸膜に近い場所に発生しやすく,比較的小さなころから胸膜まで浸潤し,がん性胸膜炎という手術では治療が困難な状態になりやすいことも特徴です。

腺がんの症状

 多くが肺野部にできる腺がんは,肺門部にできやすい小細胞がんや扁平上皮がんに比べて自覚症状が出にくいという特徴がありますが,がんの進行とともにがん性胸膜炎になったり,骨に転移したときに,胸痛や背部痛がみられます。

扁平上皮がんとは
 喫煙との関係が深いがんと考えられ,男性が発症しやすいがんです。肺がん全体の25%を占めます。肺の扁平上皮がんとは気管支の内側の細胞に生ずるがんのことです。多くは小細胞がんと同じく,肺門部に近い気管支に発生しますが,肺の末梢部に発生することもあります。

 このがんは気管支の出血や潰瘍を起こしやすいという特徴がありますが,発生したその場所で広がることが多く,転移も他の型よりも遅いため,根治手術が可能ながんであり,放射線治療も有効です

扁平上皮がんの症状
 このがんは太い気管支に腫瘤状に発生することが多いため,比較的早期から気道閉塞症状が現れることが多く,自覚症状として多いものはせき,たん,血痰,息切れ,喘鳴(ぜんめい),発熱,胸痛などです。

大細胞がんとは
 気管支のもっとも細かい部分に生じるがんで小細胞がんに比べて,がん細胞が大型です。肺がん全体では5%と比較的少ないがんです。肺の抹消に発生することが多いのですが,他の非小細胞がんより成長が速く,3ヶ月でがん細胞の数は約2倍になります。細胞の増殖が速く,抗がん剤や放射線療法が効きにくいがんです。

大細胞がんの症状
 大細胞がんは、腺がんと同様に肺野部(末梢)にできるので初期では自覚症状がないことが多く,進行するまでほとんど症状がでません。進行すると,胸痛,呼吸困難などが見られ,がん性胸膜炎になると肺の外側に胸水がたまるなどのが症状がでます。 


非小細胞がんの治療
 非小細胞肺がんの治療に対する基本的で有効な治療法は,手術,放射線治療,抗がん剤の三大がん治療が中心ですが,これらの他に内視鏡を使う,レーザー治療も用いられます。最近は,がんの部位,型,進行度に応じてこれらの治療法を組み合わせる集学的治療法が行われています。

 非小細胞がんは遠隔臓器に転移していることが多く,手術が困難な状況も多いため,免疫療法も取り入れられるケースもあります。



手術療法
 手術によるがん治療では病期1期~2期が手術の対象になります。肺がんに対する標準的な手術としては,がんの発生した肺葉の切除と肺葉に関係のあるリンパ節の廓清が行われますが,発生部位や進行度により,片方の肺全摘出が行われる事もあります。
 
 近年の手術では肺葉の摘出のあと気管支を接合する,気管支形成手術が行われ,肺の機能をできるだけ温存するようになっています。

 
 また手術後に化学療法を受けることにより,生存率が向上することが証明され,補助的に抗がん剤が投与されることが多くなりました。



放射線療法
 
術が困難な3期や4期の患者を対象に行われることが多く,4期では転移による痛みを和らげるため行う事も多くなっています。最近では化学療法と併用されることが多く,効果を上げています。
 
 現在は放射線の体外照射の他に,プラスチックのチューブに放射性物質を入れ,がん病巣のある気管支に挿入する腔内照射も行われています。この方法により,がん病巣に集中して照射が可能になり,副作用を軽減することができます。

 放射線治療は副作用をともないます。一時的な副作用としては,皮膚が赤くなったり,下痢をすることもありますが,懸念されるケースは治療後3ヶ月を過ぎてから生じる晩期障害とよばれるものです。

 晩期障害による放射性肺臓炎などが見られると,やがて人体に寄生する真菌類が肺を食害して繊維だけを残す繊維化症という症状に発展し,肺の機能が低下するだけでなく,広範囲に発生すると命にかかわります。
 
 また放射線治療はがん細胞を攻撃するリンパ球の減少を招き,免疫力を低下させるということを指摘しておかなければなりません。したがって免疫賦活剤を使うなど免疫療法との併用によって免疫力を保つということも有効な治療法です。


最新放射線療法

 近年ヘリカルCTの原理を応用して回転しながら患部のみ的確に照射することを可能にした最新型放射線治療装置トモセラピー(TomoTherapy)が登場しました。ピンポイント照射だけでなく,一度に複数の病巣や複雑な病巣にも対応でき,従来の治療器に比較すると正常細胞へのダメージも少ない画期的なものです。従来は難しいとされていた多発性肺がんなどの放射線治療も可能となりました。 

 また,他にもノバリスフォーカルユニットと呼ばれるピンポイント照射が可能な放射線治療機が登場し,手術が困難な場合でも成果を上げています。

 
このような最先端の治療を行っている病院は最新放射線治療機器設置病院のページで紹介していますので,参考にしてください。


化学療法

 非小細胞肺がんには現在のところ化学療法はあまり期待できません。したがって主に3期や4期の手術が困難な進行がんに対して適用されます。
  
 抗がん剤は多くが正常細胞にダメージを与え,副作用を持ちます。その副作用とは,貧血,嘔吐,食欲不振,脱毛,黄疸,倦怠感,口内炎など様々です。さらに白血球を減少させ免疫力をも低下させます。

 近年がんが持つ特異構造に働き,がん細胞のみ殺すという分子標的治療薬が開発されています。肺がん治療薬としては「ゲフィチニブ」(商品名イレッサ)が開発されました。

 日本人患者の3割に腫瘍の縮小効果が確認され,有効性が認められたという報告がありますが,急性肺障害や間質性肺炎などの副作用が報告され,副作用による死者も出ています。
 
 この副作用は放射線治療後に投与した患者に多かったことから,この副作用の原因は放射線からダメージを受けた正常細胞が回復,増殖する時に多く発現するレセプターが,増殖するがん細胞に発現するレセプターと一致しているからではないかと考えられています。
 

免疫細胞療法

 免疫細胞療法は患者自身のリンパ球などの免疫細胞を体外で増加,活性化させ体内に戻すことでがん細胞に対する攻撃力を高めようとするがん治療方法であり,血液が通うところならどこでも効果があり,副作用もほとんどなく,手術ができない進行肺がんでも適用できます。
 
 現在免疫細胞療法は活性化させる免疫細胞の種類により,いくつかの方法があり,方法も改良され,奏効率も向上しています。詳しくは免疫細胞療法のページをごらん下さい。
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