がん治療の代替療法 がんの代替治療

明るい緑の葉


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 がん治療には三大治療法と呼ばれる手術,放射線,抗がん剤以外のがん治療法があります。 これをがんの代替療法と呼びます。この代替療法には漢方,気功といった東洋医学的なものから,食事療法,サプリメント,免疫療法,心理療法など様々なものがあります。
 
 ここでは標準的ながん治療として確立はしていませんが,科学的根拠が明確になっているものを中心に紹介したいと思います。免疫細胞療法は別のページで紹介していますので,ここでは免疫細胞療法以外の治療方法を紹介したいと思います。代替療法は統合医療の一環として近年注目されています。

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遺伝子治療
温熱療法
レーザー治療
抗がんサプリメント


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遺伝子治療
遺伝子治療

遺伝子治療とは
 
 
遺伝子治療とは,病気の原因となっている異常な遺伝子を正常な遺伝子に修復することを目的としています。すなわち,遺伝子の正常な機能を回復させることで,病気を治すことを目的とした治療です。
 
 しかし現在の技術では,病気になっている細胞の異常な遺伝子を修復することは困難です。そこで病気の原因となっている異常遺伝子の正常型を組織細胞内ではたらかせ,低下した細胞機能を回復させる治療法が遺伝子治療としておこなわれています。

 遺伝子治療はまだ臨床試験の段階で,国内では10カ所の大学病院や施設で行われたにすぎません。しかしいくつかはがんの末期患者にも大きな成果を上げており,今後はがん治療の中心となっていくことはまちがいありません。
 

遺伝子のベクター(運び屋)とは

 がんの遺伝子治療において正常な遺伝子をどのように体内の細胞に送り込むかが問題です。そこで正常な遺伝子を乗せ,細胞内に入り込むベクター(運び屋)が必要になってきます。

 そのベクターとしてウィルスを利用することが考案され,またウィルス以外では,脂質人工膜の一種であるリポゾームが利用されています。 

 臨床に主に用いられているのはウィルスベクターであり,なかでもレトロウィルスとアデノウィルスが主流です。 ウィルスは細胞内に入り込みやすい性質を持っているので,遺伝子を送り届けるには都合がよいのです。

遺伝子治療の種類

免疫遺伝子治療

 がんの遺伝子治療の約60%をしめます。免疫に関する遺伝子を利用して,がんに対する免疫細胞を活性化させるというもので,多くが細胞障害性Tリンパ球(CTL)の反応の増強を目的としています。

 実際使用されている遺伝子としては,免疫細胞を活性化させるインターロイキン,GM-CSFなどのサイトカイン産生遺伝子や,がん細胞と免疫細胞を結びつける接着因子遺伝子,免疫細胞ががん攻撃の目印とするがん抗原遺伝子などがあります。


 これらの遺伝子をベクターによりがん細胞またはリンパ球に運びこむことで,免疫細胞が活性化するというしくみです。


自殺遺伝子治療(プロドラッグ法)
 ウィルスや細菌が持っている酵素の一部には,本来人には毒性がない薬剤を変化させ,細胞に対して毒性を発揮するものがあります。

 この酵素をベクターによりがん細胞へ運びこませた後,毒性を発揮する前の薬剤(プロドラッグ)を投与することで,がん細胞に運び込まれた酵素により,その薬剤は毒性化し,がん細胞を死滅させます。

 この治療では単純ヘルペスウィルスのチミジンキナーゼ遺伝子と抗ウィルス薬のガンシクロビルが組み合わされたりしています。

がん抑制遺伝子治療
 がん抑制遺伝子であるp53遺伝子は細胞増殖を制御しており,多くのがん患者ががん細胞内でこの遺伝子の機能が失われていることがわかっています。

 そこでこのp53遺伝子をベクターによりがん細胞内に運び込むことで,そのp53がつくるタンパクにより,がん細胞が死滅したり,増殖を停止したりします。その他にはRB遺伝子やBRCA-1遺伝子なども使われています.
     
   日本における遺伝子治療臨床研究


1995年 ADA異常による重症複合免疫不全症(北海道大)
1998年 第W期腎癌にGM-CSFを用いた免疫遺伝子治療(東大医科研)
1999年 肺非小細胞癌にp53癌抑制遺伝子治療(岡山大)
食道癌にp53癌抑制遺伝子治療(千葉大)
2000年 悪性グリオーマに対する免疫遺伝子治療(名古屋大)
乳癌に対するMDR1遺伝子治療(癌研究会)
前立腺癌に対する自殺遺伝子治療(岡山大)
2001年 ASO,Buerger病に肝細胞増殖因子を用いた遺伝子治療(大阪大)
2002年 神経膠芽腫に対する免疫遺伝子治療(東大医科研)
白血病造血細胞移植後GVHD予防(筑波大)


 
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温熱療法



遺伝子治療
温熱療法とは
 
 がん細胞は熱に弱く42度以上の熱で死滅すると言われています。それは正常細胞に比べ,がん細胞は血管が十分に行き渡っていないので血液による冷却効果が低いことやがん細胞自体熱に対する感受性が高いからであると考えられています。

 このように熱に弱いがん細胞を加熱することで死滅させようというがん治療法を温熱療法と言い,ハイパーサーミアとも呼ばれ,放射線治療や化学療法と併用されることが多い治療法です。

温熱療法の種類 
 
 温熱療法はラジオ波では70度程度,マイクロ波では300度程度の高温で焼きますが,遠赤外線や電磁波,超音波を使って体温よりやや高い温度で熱する方法もあります。

 ラジオ波焼灼療法,マイクロ波凝固療法は,特殊な針を体外から患部へ差し込み,通電することにより病巣を凝固・壊死に陥らせる治療法です。マイクロ波では直径1cm,ラジオ波では直径2〜3cm程度の範囲の組織を完全に熱凝固することができるため,比較的小さな肝細胞がんに対する安全かつ確実な,新しいがん治療法として期待されています。
 
 ラジオ波はマイクロ波より温度が低いため広い面積の治療が可能であり,3cmの腫瘍が3個以内,5cm以下の腫瘍が1個の場合対象とされています。
 
 体に与える影響は非常に小さく,入院期間も1週間以内です。また肺がんや子宮がん,乳がんなどにも使われはじめています。しかし治療温度が高いので比較的がんが小さい場合のみ可能です。

 遠赤外線を用いる方法では患部または全身に遠赤外線を照射し,体の深部の患部をを40度から41度程度に温めます。安全で,免疫力を高め,がんの痛みも軽減されるという報告もあります。副作用もないのが利点ですが,がんを直接死滅させるには温度が低いという欠点もあります。

新しい温熱療法

 
 近年電磁波をがん細胞にあて,がん細胞の電磁波伝導率の低さを利用して,がん細胞を発熱させ付近の正常細胞にダメージを与えずにがん細胞を殺す高周波加温治療装置「サーモトロン」が開発され,成果をあげています。

 この治療では患部を外部から二枚の平板電極で挟み電磁波加温によって,浅部臓器から深部臓器まで治療できる装置です。放射線及び化学治療を増強し,免疫効果,QOLの向上が期待できます。

 この装置は日本が世界にさきがけて開発したものであり,脳腫瘍以外のがんにほとんど活用でき,かつ副作用もほとんどない画期的なものです。

 この治療方法以外に超音波を利用したものもあります。またラジオ波と同じ中波を皮膚の上から放射し,がん細胞を死滅させるスパークシャワーという方法も開発されています。

 このように理論的には副作用もなく,画期的な温熱療法ですが,欠点もあります。それはあまり温度が高いと患者が熱感や疼痛などを感じるため,あまり温度を上げられないという点と,がん全体を加熱することが難しく,がん細胞を完全に消滅させることは難しいという点です。しかし,放射線との併用は2倍近い効果が生まれています。
 
 患者への負担が少ない温熱療法は現在でもより高度な機器の開発競争が世界的に行われており,今後の技術の進歩によりがん治療の柱ともなっていくでしょう。


 温熱療法について詳しく知りたい方は「癌の温熱療法ハイパーサーミア」のホームページをご覧ください。






レーザー治療

レーザー治療
レーザー治療とは 
 
 従来の外科療法では小さな部分のがん治療のためにかなりの広範囲の正常細胞をも摘出しなければならず,体へのダメージも大きく,術後のQOLを下げてしまうという欠点もありました。そこでレーザー光と内視鏡を組み合わせた内視鏡レーザー治療法が開発され,患部にピンポイントで照射することができ,成果を上げています。

 レーザー療法には高出力レーザーを使用して腫瘍を焼く腫瘍焼灼法と低出力レーザーを用いて薬品の光化学反応でがん細胞を殺傷する光線力学的治療法が(PDI)があります。

 レーザー治療は正常細胞へのダメージが少ない治療法ですが,特にPDIはレーザーのエネルギーが少ないため,腫瘍周辺の正常な細胞にはほとんど影響を与えないというメリットがあります。

 PDIはがん細胞に集まりやすく,レーザー光に反応しやすい薬剤を注射することで,レーザー照射により活性酸素を発生させがん細胞だけ攻撃する方法です。

 レーザー療法は内視鏡の入るところならどこでも照射でき,がん治療の分野では今後さらに活用の範囲が広がるでしょう。

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抗がんサプリメント がんサプリメント
抗がんサプリメント
 これから紹介する各種サプリメントは,多くが健康食品として販売されているものです。これら食品群はメーカーにより質も異なり,効果は体質による個人差が大きく,人によって効果のあるサプリも異なります。

 また食品としての扱いなので,作用・効果を比較,分析しての臨床データが少なく,多くが体外や動物実験でその効果を検証したにとどまっています。

 現在はがんに効くと言われるサプリは種類も多く,どれを選択するのがよいのか迷うということも多いと思いますが,できるだけ多くの患者が参加した臨床比較試験で効果があると実証されたものを選択するのがよいでしょう。
 
 ここではがんの治療サプリメントとして評価が高いものを選んでみました。多くが手術や放射線,抗がん剤治療との併用ができ,治療の効果を高めるというメリットがあります。

キ ノ コ 系 サ プ リ メ ン ト
 一時期話題になったアガリクスやメシマコブなどに代表されるキノコ系サプリメントにはキノコに含まれるβグルカンという多糖類がインターフェロンなどの生理活性物質の分泌を促進し,免疫細胞を活性化する作用があると言われています。

 実際にカワラタケから抽出された成分は「クレスチン」,シイタケからのものは「レンチナン」,スエヒロタケからのものは「ソニフィラン」と呼ばれ,がんに効く医薬品として認可されています。

 多くのキノコにはこの多糖類のβグルカンがふくまれており,概して抗腫瘍効果はあると考えられますが,それぞれのキノコにはβグルカンの量だけでなく,水溶性,分子の大きさ,分岐度によって違いがあり,また加工による違いもあるので,抗がん効果も異なると言われています。
 

ア ガ リ ク ス 
 アガリクスはアガリクス茸とも呼ばれていますが,抗がん効果の大きなキノコとして話題になりました。このキノコはもともとブラジルの高温,多湿のピエダーテ地方に自生していたもので,学名をアガリクス・ブラゼイ・ムリルと言い,和名ではヒメマツタケあるいはカワリハラタケと呼ばれています。

 このキノコが注目されるきっかけとなったのは,この地方に長寿の人が多く,がんになる人も非常に少なかったことから,この地のみに自生しているアガリクス茸と関係があるのではと推察されたためで,その後の動物実験などの研究により,抗腫瘍効果が認められました。

 さらにこのアガリクスは,レーガン元大統領が皮膚がん治療の手術の後長期にわたり服用し,再発・転移がなかったため,「さすが,神のキノコだ。」と賞賛したことで,一躍有名になりました。

 日本でもアガリクス他キノコの抗腫瘍動物実験が東大医学部,国立がんセンター,東京薬科大学で行われています。

 この実験はマウスにサルコーマ180というがん細胞を接種し,そのがん細胞がマウスに根づいてからキノコのエキスを10日間,投与し続けて,4〜5週間後その成果をみるというものです。

 その結果が下の表です。がんが治癒した割合を全治率といい,その後全治したマウスに再びサルコーマ180を摂取し,根づかず,発病しない割合を阻止率としています。

 
各種キノコの抗腫瘍性動物実験     
キノコ名 投与量 mg/day/匹 全治率% 阻止率%
 アガリクス茸 10 90.0 99.4
 チョレイマイタケ 10 90.0 98.5
 メシマコブ茸 30 87.5 96.5
 キコブ茸 30 66.7 87.4
 カイガラ茸 30 57.1 70.2
 マツタケ 30 55.5 91.3
 シイタケ 30 54.5 80.7
 カワラ茸 30 50.0 77.5
 ヒラタケ 30 45.5 75.0
 コフキサルノコシカケ茸 30 45.5 64.9
 ベッコウ茸 30 30.3 44.2
 ナメコ茸 30 30.0 86.5
 エノキ茸 30 30.0 81.1

 この表からもわかるように,アガリクスががんの全治率,阻止率ともに最も高い結果を示しています。しかしこれはあくまでもマウスによる実験のデータであり,人に対しての作用・効果はまた異なってくる可能性もあります。

 医薬品として認可されるためには,人に対する多くの臨床比較試験のデータが必要になりますが,現時点でアガリクスはあくまで健康食品として扱いなので,人に対する検証データは得られていません。

 アガリクスはβグルカン,αグルカン,βガラクトグルカンなどの多糖類の他,ビタミンやミネラル,リノール酸やパルミチン酸といった脂質などが含まれており,特に抗がん作用のあるβグルカンの含有量はキノコ類の中でも最大です。そのような多糖類が免疫細胞を活性化させると言われています。 

 また,エルゴステロールなどの脂溶性成分も含まれており,これらが相乗的にがん細胞に作用して,抗腫瘍効果を上げていると考えられています。

 また,アガリクスには血糖降下作用もあり,また動脈硬化などの生活習慣病,女性の更年期障害にも効果があるといわれています。

 アガリクスはマクロファージを活性化させ,サイトカインを分泌させることで,がん細胞を攻撃するキラーT細胞を活性化させます。さらにNK細胞を活性化したり,腫瘍を壊死に導く腫瘍壊死因子TNF−αというサイトカインも分泌させます。このように複数の抗がん作用が,効果を高めていると言えます。

 このようにがんをはじめとして,様々な効果が期待されるアガリクスですが,問題がないわけではありません。アガリクスによる副作用と考えられるケースもごく一部ですが報告もされており,注意が必要です。副作用として,アレルギー性の発疹や黄疸などが発症したという報告もあります。

 このような例は少数ではありますが,このような健康食品を服用する場合は容量に注意するだけでなく,医師にも相談したほうがよいでしょう。

 またキリンウェルフーズ社の「キリン細胞壁破砕アガリクス顆粒」について,発がん作用を助長・促進する作用が認められたため,同社は販売停止と回収を行いました。

 今のところ他社は特に問題になっていないことからアガリクス自体の問題というよりも外国での加工・製造工程で何らかの問題があった可能性も指摘されています。


 また,アガリクスをはじめとするキノコに含まれるβグルカンは,煎じて摂取しても高分子多糖のため,体内になかなか吸収されません。したがって,低分子化させた水溶性のものの方が消化吸収されやすいといわれています。



メ シ マ コ ブ
 メシマコブという名前はこのキノコが長崎県にある,男女群島の女島の野生の桑にこぶ状に自生していたことからこのように呼ばれるようになりました。 
 
 日本では30年以上も前から,抗がん効果が指摘されていましたが,当時は自生数も少なく,人工栽培が困難であったため,あまり話題になりませんでした。

 しかし,韓国の製薬会社がメシマコブの菌糸体の培養に成功し,韓国では医薬品として認可されたことから注目されるようになりました。実際に韓国ではがん治療薬としての多くの医療機関で使用されており,信頼度は高いと言えます。

 これまでの研究により,メシマコブの中でも高い抗がん作用を持つ2種類菌株が発見され,「PL2」「PL5」と命名されています。

 メシマコブが他のキノコと違う点は,ヘテロβ−D−グルカンというタンパクと結びついた多糖類が多く含まれていると言う点です。 したがって腸管から多く吸収されやすいという特徴をもっています。

 メシマコブの抗がん作用としてがん細胞増殖,転移抑制作用,抗がん剤との併用による相乗効果,抗がん剤の副作用軽減効果などが報告されています。

 日本においての研究では,膵臓がんや前立腺がんに効果があるだけでなく,キノコの1種のチャーガとの併用による抗腫瘍効果や放射線防御効果などが報告されています。
 
 アガリクスのページで紹介したように,メシマコブはマウスを使った実験ではがんの全治率は87.5%,阻止率は96.5%とアガリクス,チョレイマイタケに続いて,高い抗腫瘍効果を発揮しています。


 また韓国の延世大学は,メシマコブを使った臨床比較試験で,免疫活性に効果があった例を報告しています。これは胃がん手術後の患者に,抗がん剤にメシマコブをプラスし投与したグループと抗がん剤だけ投与したグループとにわけ比較した試験です。

 メシマコブグループは免疫細胞のNK活性が25.8%であったものが4ヶ月後には43.4%に達し,一方で抗がん剤だけのグループは免疫活性が上がっていないという結果でした。

 またメシマコブはがん以外でもアトピー性皮膚炎や糖尿病などにも効果があるとされ,副作用も今のところ報告されていません。

 このようにメシマコブは多くの機能を持ち,抗がん剤等の化学療法や放射線療法との併用も問題なく,特に抗がん剤と併用するケースでは抗がん剤の作用を高め,しかもその副作用を抑えるはたらきもあるという大きなメリットのあるサプリメントです。



A H C C
 AHCCは活性化多糖類関連化合物という意味で,Active(活性された)Hemi-Cellulose(ヘミセルロース)Compound(集合体)という単語を略したものです。これは札幌のバイオ化学企業の(株)アミノアップ化学が開発し,販売している機能性食品で,複数のキノコの菌糸体を培養し,酵素処理をほどこしたものです。 

 AHCCの主成分は多糖類ですが,AHCCが天然のキノコ系食品と異なるのは天然のキノコのβグルカンという多糖類に対し,アセチル化αグルカンという多糖類が含まれているという点です。

 このαグルカンはβグルカンより分子量が小さい多糖類であり,このため腸管での消化吸収がよく,より効率的に免疫活性が行われるということです。

 関西医科大学第一外科の上山泰男教授らは,肝細胞がん患者269人を対象にした前向きコホート研究で,機能性食品(AHCC)が術後の予後を改善させる効果があることを報告しています。

 調査は,92年2月から01年12月まで,関西医科大学第一外科で,肝切除術を施行し,組織所見で肝細胞がんと診断された269人の患者を対象としました。

 AHCCの効果としてインターロイキン12などサイトカインの産生を増加させ,NK細胞やキラーT細胞の活性化を促進させることやがんを抑制させる腫瘍壊死因子TNFαの産生を促進させることなどがあげられます。

 被験者をAHCC投与群と対照群(非投与群)に分け,AHCC群には1日3g(朝,昼,晩の食後)を摂取させ,解析できた222人のうちAHCC群113人は,対照群109人に比べて,無再発期間が長く,生存率が上昇したということです。5年生存率ではAHCC群が約70%であったのに対し,対照群は約50%でした。

 また肝臓がん再発率では,対照群の72人(66.1%)に対し,AHCC群は39人(34.5%)と減少し,死亡率でも対照群の51人(46.8%)に対し,AHCC群は23人(20.4%)と減少したということです。

 また,被験者は全てC型肝炎ウイルスの保菌者で,AHCC摂取によりウイルスが減少するなどの改善効果が見られたことから,肝がん以外の肝機能障害の予防にも有効であることが立証されました。

 今回の調査では,術後にAHCCを摂取している患者の生存率が高いことが判明し,手術や抗がん剤と,免疫療法を組み合わせる統合医療の重要性が指摘されています。

 機能性食品でこれだけのデータが得られた例は少なく,副作用もほとんど報告されていません。また,抗がん剤や放射線の副作用も軽減できることが報告されています。 したがって,これも抗がん食品の選択肢の一つと考えてもよいでしょう。




マ イ タ ケ エ キ ス ・ D − フ ラ ク シ ョ ン
 マイタケはサルノコシカケ科の食用キノコで,学名をグルフォーラ・フロンドウザと言います。原産地は日本の東北地方ですが,人口栽培技術の成功により,安価に入手できるようになりました。

 マイタケには多糖類,たんぱく質,核酸類,鉄,カリウムなどのミネラル,ビタミンB,D群,植物繊維等,健康に役立つと言われる成分が豊富に含まれています。

 1991年に日本の国立衛生研究所などが,マイタケエキスには抗エイズ作用があることを発表しました。アメリカでもこの研究を引き継ぎ,アメリカ国立がん研究所ではマイタケから抽出されるD−フラクションには抗エイズ効果があることを立証しました。

 当初はエイズの治療薬として注目されたD-フラクションですが,その後,エイズにかぎらず,がん治療にも効果があることが明らかになってきました。

 マイタケには他のキノコ同様,免疫活性を促進する多糖類のβグルカンが含まれています。マイタケから抽出されたD−フラクションと呼ばれる成分も多糖類ですが,βグルカンを精製する過程で得られたもので,強い抗腫瘍性が認められています。 マイタケD−フラクションの具体的な効能としては免疫細胞マクロファージ,NK細胞,T細胞の活性化などです。

 神戸薬科大学では,食用きのこ36種類をがんが移植されたマウスにより調査し,マイタケのD−フラクションが最も強い抗腫瘍効果を持つことを発見しました。

 さらに2002年,にはステージT〜Wと診断された22歳〜56歳のがん患者に投与する試験が行われ,肝臓がんの患者の58.3%,乳がんの患者の68.8%,肺がんの患者の62.5%に症状の改善がみられました。しかし,白血病や脳腫瘍,胃がんの患者の改善率は10%〜20%であったということです。

 またこのマイタケを抗がん剤と併用した結果,化学療法単独に比較して免疫細胞の活性が1.2倍〜1.4倍に高まることも確認されました。

 このD−フラクションはアメリカで評価され医療現場でも広く使用されるようになり,現在,FDA(米国食品医薬品局)はマイタケ使用の臨床試験に認可を与え,「進行性の乳がん」および 「前立腺がん」患者を対象に臨床試験が行われています。

 このマイタケD−フラクションは乳がん,肺がん,肝臓がん,がん細胞の増殖が比較的遅い子宮がん,卵巣がんなどに高い効果があると報告されています。

 また副作用も報告されておらず,高血圧や糖尿病,アレルギー,慢性気管支炎にも臨床試験で効果があったということが報告されています。



植 物 系 サ プ リ メ ン ト
フ コ イ ダ ン
 フコイダン(fucoidan)は,モズクやメカブ,昆布などの海藻類に含まれるヌルヌルとした部分に多い成分で,植物繊維の一種です。化学的には、「Dキシロース」「Lフコース」を主成分とした,硫酸基やウロン酸が結びついた粘質多糖類です。
 
 近年,このフコイダンががん細胞のアポトーシス誘導作用があることが発見され,がん治療に有効な成分として注目されるようになりました。アポトーシスとは細胞自らが自己の細胞を死滅させる作用で細胞の自殺とも訳されます。

 このフコイダンががん細胞に接し,がんのレセプター(受容体)と結合すると,がん細胞の核に信号が送られ,DNA分解酵素が働き,DNAが切断され,がん細胞は自滅してしまいます。 またこの作用は正常細胞には働かず,正常細胞はダメージを受けないことがわかっています。
 
 三重大学の研究発表では,シャーレで培養したがん細胞に,フコイダンを加えて経過を観察したところ,フコイダンを加えて24時間後には,ほとんどのがん細胞がアポトーシスを起こして消滅することが報告されています。

 またがん細胞移植マウスにフコイダン含有食品を2週間投与した研究では,対照群に比較して,フコイダン投与群はがん細胞の増殖が明らかに抑制されたということです。

 人に対する臨床試験では,フコイダンと霊芝エキスをがん患者14名に12週間投与した臨床試験で,NK活性の上昇,腫瘍マーカーの改善,自覚症状の改善が認められたということです。

 しかしこのフコイダンは分子結合が強く,したがって吸収されにくく,吸収されたとしても数%であるという報告もあります。したがって低分子化したものの方が良く吸収され,効果も大きいと報告されています。

 このフコイダンの注目すべき効能はがんのアポトーシス誘導作用だけでなく,胃粘膜保護作用や胃潰瘍治癒促進作用もあるということで,ラットの実験によっても確認されており,胃潰瘍患者への3ヶ月投与では7例2例が改善され,6例中4例で自覚症状が改善したということです。

 このようにフコイダンには,アポトーシス誘導作用や免疫細胞活性作用や,粘膜保護作用の他にがんの血管新生を抑制作用もあると言われ,それらが相乗効果を生んでいると考えられています。

 ただ,この食品で注意しなければならないことは,海藻はヨードを大量に含んでおり,ヨードは新陳代謝を促進する甲状腺ホルモンをつくるのに必要な物質ですが,それを取り過ぎてヨードの血中濃度が上がりすぎると,甲状腺ホルモンの合成などが抑制され,甲状腺機能低下症を起こしたり,甲状腺がはれたりすることがあります。

 したがって,大量の摂取は問題もあり,ヨード成分を除去したものが望ましいといえるでしょう。



タ ヒ ボ 茶 ( 紫 イ ペ )
 タヒボ茶は紫イペ茶とも呼ばれ,原料となるタヒボ(紫イペ)は南米アマゾン川流域の特定地域に生育するノウゼンカズラ科に属する紫の花を咲かせる大木です。

 タヒボ茶はその木の外皮と木質部の間の数ミリの内部樹皮を原料にした天然木茶です。 「タヒボ」とは,古代の口伝の言葉で,「神の恵み」を意味し,インディオたちは,健康の源としてこの木を崇めていたそうです。
 
 近年,タヒボ茶が注目されるきっかけとなったのは,末期がん患者への鎮痛剤として用いられるようになってからであり,タヒボ茶を末期がん患者に飲ませると,痛みが緩和されるだけではなく,投与を続けて行くうちに腫瘍が縮小する現象が多くの患者にみられ,研究の対象となりました。

 タヒボ茶にはナフトキノン,アンソラキノン,ラパコール,システロール,多糖類,鉄分,ビタミン,ミネラルなど実に多くの成分があり,まだ科学的に解明されていない成分もあると言われています。

 特にこのなかでがんへの有効成分として考えられているものにナフトキノンの色素成分の1種,NFD(ナフト・フラン・ディオン)があります。これはがん細胞だけを選択的に死滅させることができ,正常細胞への影響がなく,副作用もない成分と言われています。

 近年の研究により,NFDががん細胞を死滅させるするメカニズムも解明されてきています。それはNFDががん細胞のミトコンドリアで発現したタンパクと反応し,活性酸素を発生させ,がん細胞を破壊するというもので,したがって,NFDはがん細胞のみ特異的に作用します。

金沢大学がん研究所免疫生物部医学博士である故坂井俊之助博士の紫イペの研究発表によると,培養された,人とマウスの胃がん,脳腫瘍,リンパ腫,肝臓がんのがん細胞に紫イペのエキスを加えたところ,24〜48時間以内にいずれのがん細胞も増殖が止まり,消滅したということです。

 またNK細胞〈ナチュラルキラー細胞〉活性の増強についても紫イペエキスの投与でNK細胞活性が上昇することが判明してます。

 このようにタヒボ茶の薬理作用は,がん細胞をアポトーシスへ誘導する作用だけでなく,がんに対する免疫活性を高めたりする作用もあり,さらにはがん細胞の血管新生を抑制する効果があるともいわれています。 

 この他にもタヒボ茶には,糖尿病の改善,抗酸化作用や,抗炎症作用,鎮痛作用,赤血球増加作用などがあることも報告されています。




ア ラ ビ ノ キ シ ラ ン
 アラビノキシランはとは熊笹や稲,小麦,とうもろこしなど稲科の植物に多く含まれている成分です。植物の細胞壁は「セルロース」「ヘミセルロース」「ペクチン」といわれる多糖類と「リグニン」等で構成されてます。

 このうちの「ヘミセルロース」を構成する主要な糖類が「アラビノース」と「キシロース」です。この二つの糖類を「アラビノキシラン」と呼んでいます。ヘミセルロースは一般的には食物繊維といわれるものです。

 最近の研究によりこのアラビノキシランがNK細胞をはじめとする免疫細胞を活性化する作用を持っていることが明らかになり,注目されています。
 
 NK細胞は免疫細胞であるT細胞が認識できないがん細胞まで殺すことができます。NK細胞はがん細胞に出会うと自己の細胞内にある攻撃物質であるパーフォリンを含んだ顆粒を放出します。パーフォリンはがん細胞に穴を開け,一方で顆粒に含まれる分解酵素でがんのDNAを分解し,完全にがん細胞を死滅させます。

 またアラビノキシランはNK細胞の活性化ばかりでなく,T細胞やB細胞などの免疫細胞を活性化します。特に免疫活性化物質IL−2(インターロイキン2)との併用は相乗効果が大きく,がん治療後の再発防止などにも効果を上げています。また継続的な飲用が効果を上げることも分かっています。
 
 食品として販売されているアラビノキシランには,低分子化して腸から吸収されやすくしたものもあり,このようにすることで,血中へ吸収されて直接免疫細胞を刺激するため効果が大きいと言われています。
 
 また,生野菜や果物とともに摂取することで,それらの酵素のはたらきにより,効果が高まることが報告されています。

 がん患者の場合,生野菜や果物は多くは食べられない場合もあるので,野菜ジュースにしたり,植物酵素を凝縮したエキスも販売されていますのでこれらを同時に摂取するとよいでしょう。この方法により,末期患者でも症状がかなり改善されたという報告もあります。ただし,市販の野菜ジュースの多くは濃縮還元の熱処理により,酵素が失われてしまっていますので,注意しましょう


 アラビノキシランのがんに対する有効性を発見した,米国のゴーナム博士によれば「1992年に24人を対象に1日の投与量を15mg,30mg,45mgと3つのグループに分けて調べたところ,30mgと45mgのグループは1週間でNK細胞の活性化が見られ,1カ月後も活動数値は上昇し,2カ月後に最高値に達した。」と臨床試験の結果を報告しています。



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