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| 国内の胃がん患者数は第1位で,がんで亡くなる人の4分の1が胃がんによるものです。また,死亡者数は肺がんについで第2位です。 近年,国内における胃がんの発症率は減少傾向にあります。しかし世界的にみると,その発症率や死亡率は最も高い数値を示しています。 胃がんの5年生存率は50%~60%で,この数値は近年向上し続け,診断法や治療技術の進歩により,現在では早期に発見し,治療を行えば100%完治するとまで言われるようになりました。 |
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| ■ 胃がんの原因 胃がんの発症のメカニズムは完全には解明されていませんが,それでもかなりの要因が明らかになってきています。胃がんは多くの場合,胃炎や胃潰瘍から生じるとみられています。すなわち,胃炎や胃潰瘍で胃壁の細胞が傷み,それを繰り返すなかで遺伝子に変異が生じ,がん化すると考えられます。 したがってこの胃炎や胃潰瘍を引き起こす要因となるものが胃がんの原因にもなりうるということが言えます。 特に胃は食物を消化するための器官であり,それだけに食生活との関連が指摘されています。 以下に胃がんの要因として指摘されているものを示します。
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| ■ 胃がんの予防 上記に示した様に胃がんは食生活との関連が深く,食生活を改善することで,予防がしやすいがんとも言えます。食生活を見直し,胃がんの原因となる胃炎や胃潰瘍をつくらないように工夫することが大切です。以下にまとめて示します。がん全体の予防方法はがんの予防方法のページをごらんください。
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| ■ 胃がんの症状 早期の胃がんはほとんど自覚症状がありません。腹痛や胃部の不快感が見られたとしても,胃炎など他の病気でもみられる症状であり,これだけの症状で胃がんと断定できるものではありません。 逆に胃がんでもこのような不快な症状を胃炎や胃潰瘍と考え,見過ごす危険性もありますので,このような症状がみられた時は,受診と検査が必要です。 ●早期胃がんの症状 腹痛が最も多く,胸やけ,膨満感など腹部の不快感,吐き気,嘔吐,げっぷ,吐血,下血などの症状が見られることがあります。 しかし,早期がんは自覚症状がないことが多く,集団検診や人間ドックで約半数近くが発見されています。したがって特に40代以上は定期的に検診することが大切です。 ●進行胃がんの症状 ほとんどの人に自覚症状が見られ,腹痛,腹部の不快感,食欲不振など早期がんと同様の症状がみられます。さらに進行するとこれらの症状が激しくなるとともに,体重の減少や貧血も見られ,しこりも外部から感じられるようになります。やがて腹水や胸水がたまり,持続的な痛みが続くようになります。 |
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| ■ 胃がんの種類 胃がんには大きく分けて早期胃がんと進行胃がんの2種類に分けられます。胃壁は胃の内側から外側に向かって粘膜上皮,粘膜筋板,粘膜下層,固有筋層,漿膜下層,漿膜となっています。 胃がんははじめに内側にある粘膜層に発生し,次第に粘膜下層,固有筋層,漿膜へと外側に向かって進行していきます。 粘膜下層まで進んだものを早期胃がん,それを超えて,筋層や漿膜層まで達したものを進行胃がんと言います。 |
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| ●早期胃がんの種類 大きく3つの型に分けられています。Ⅰ型は隆起型,Ⅱ型は表面型,Ⅲ型は陥凹(かんおう)型です。Ⅱ型はさらにⅡa(表面隆起)型,Ⅱb(表面平坦)型,Ⅱc(表面陥凹)型に分けられています。 早期胃がんは転移が少なく,転移してもがん近くの少数のリンパ節にとどまっていることが多く,手術でほぼ完治します。 |
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| ●進行胃がんの種類 進行胃がんは4つの型に分けられます。1型は胃の内側に隆起している腫瘤型,2型は正常組織との境界がはっきりした潰瘍限局型,3型は境界のはっきりしない潰瘍浸潤型,4型は隆起も潰瘍もなく広がったびまん浸潤型です。 ●スキルス胃がん この中で4型はスキルス胃がん(硬性がん)と呼ばれ,若年層に多く見られる悪性度の高いがんです。このスキルスがんは,細胞の分化度(成熟度)の低い腺がんの一種で,がん細胞よりもがん細胞を囲むまわりの組織が多く,さわった時に,がんが硬いという特徴があります。 また,このがんは細胞が動きやすいため,早期から血流やリンパ流にのり,転移しやすいという特徴があり,発見時にはすでに浸潤や転移を起こして,手術が困難なことが多く,手術後の生存率も15~20%程度です。 がんの深さと手術後の生存率は密接に関係しており,進行がんであっても筋層に少し食い込んだものなら5年生存率は80%程度でほぼ早期がんに匹敵する生存率が得られます。 しかし外側の漿膜まで達すると5年生存率は40パーセントになり,さらに多臓器への転移が認められると10%程度に下がってしまいます。 |
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| ■ 胃がんの治療 胃がんの治療は手術,放射線,抗がん剤の三大治療の他に,最近では免疫療法も行われています。胃がんは放射線や抗がん剤はそれほど有効ではないため,手術による切除が中心となりますが,放射線や抗がん剤は手術の補助手段として使われたり,手術ができない場合使われます。 ■ 胃がんの病期(ステージ)と治療方法 胃がんの病期(ステージ)はがんが胃壁のどの層まで 浸潤しているかをみる進行度とリンパ節転移の有無,遠隔転移の有無によって分類されます。 がん治療は多岐にわたり,医師や病院によって異なるという現実があります。このような実態から日本胃癌学会は胃がん治療ガイドラインを示し,ステージに対応する参考になるべき治療法を示しています。これは多くの医師が妥当であると思われる日常診療(標準的な治療)と臨床研究(新しい試みの治療)に分けている点が特徴です。 ■ 胃がんの治療ガイドラインに示される病期(ステージ)とそれに対応する日常診療としての治療 胃がんの病期(ステージ)はIA, IB, II, IIIA, IIIB, IVの6つに分かれます。早期胃がんはほとんどがIAとIBに入ります。ステージIA, IBは手術によりほぼ治癒する病期です。 ステージIAでは,手術ではなく内視鏡による治療(EMR)でも治る可能性があります。IIは中くらいに進んだ胃がんで,手術により治る可能性が高い病期です。IIIA,IIIBは進行がんですがまだ手術で治る可能性のある病期です。IVになると胃がんが遠くの臓器に転移した状態で,完全に治すことが難しくなります。
■ 胃がんの治療ガイドラインに示される病期(ステージ)とそれに対応する臨床研究としての治療 臨床研究の治療法では新しく試みられているもので評価は定まっていなくても,科学的根拠や安全性がある程度確保されている治療法を示しています。 日常診療と比較し,臨床研究の治療の特徴としては・内視鏡の適応範囲の拡大,・腹腔鏡手術の採用,・補助的な化学療法の採用,・リンパ節を広く切除する手術の採用,温熱療法の採用などがあげられます。
このようにガイドラインに治療法が2種類示されたということは胃がんの治療の選択肢は1つにはまとめられないということでもあり,それぞれの治療のメッリトやデメリットを医師とよく相談し,インフォームドコンセント(医師からの十分な説明と患者の同意)を得ることが大切です。すなわち治療法を十分に理解した上で,納得のいく治療を患者が選択し,医師に希望を伝えるべきです。 ■ 手術療法 ●開腹手術 通常の外科手術で,現在胃がんに対してもっとも多く行われている治療法です。胃がん治療ガイドラインではこれを定型手術,縮小手術,拡大手術に分けています。 (1)定型手術 胃を3分の2以上切除し,胃から少し離れた2群リンパ節まで廓清するもので,従来からある一般的な手術方法です。 (2)拡大手術 肝臓や膵臓あるいは大腸などをあわせて切除したり,2群よりも遠いリンパ節を廓清するなど,定型手術をこえる手術方法のことをいいます。 定型手術よりより多くの組織を切除することにより,転移からの発症を減らせる可能性もありますが,術後のQOLは大きく低下します。また合併症を起こすこともあります。 この拡大手術に対する評価は現在定まっていませんが,国立がんセンターの調査報告で進行胃がんの手術では胃の周囲のリンパ節を広く切り取る拡大手術は,延命上の利点はなく,むしろ患者の状態を悪化させている可能性もあるという報告がなされています。 (3)縮小手術 検診の普及や診断装置などの発達により,早期で発見されることが多くなり,術後のQOLを重視するという考えからも切除する範囲やリンパ節廓清の範囲を小さくする手術が進んで行われるようになっています。 ●腹腔鏡手術 近年治療技術の進歩により,開腹せずに,腹壁に孔を開け腹腔鏡を使って手術する手術がさかんに行われるようになりました。 この手術は,開腹手術が20cm以上に大きく切開しなければならないのに対して,切開部分も小さいため,患者の負担が少なく,術後の痛みも少なく,1~2週間で退院できるというメリットがあります。 この手術の方法は,腹壁に3カ所の孔をあけ,そこから腹腔鏡につけたカメラ挿入し,モニターを見ながら,バルーンで固定した胃を治療器具で手術するという方法で,ガイドラインでは日常診療として推奨されていませんが,今後もさらに普及し発展するがん治療法であると考えられます。 ●内視鏡手術 腹腔鏡が腹部の孔から行うのに対し,この手術は口から柔軟な内視鏡を入れ,操作するものです。 この治療はがんが胃の粘膜層にとどまり,リンパ節への転移が起こっていない早期のがんに適用されます。 (1)ポリペクトミー 内視鏡の先端からリング状の針金(スネア)を出して,ポリープ状の患部にはめ,このスネアを絞り込むことによって病巣を突出させ,そのまま高周波電流を流して焼き切るという治療法です。 この方法はポリープ状のがんを対象に行われてきました。 (2)粘膜切除術(EMR) その後ポリープ状でないがんでも切除できる方法が開発され,ストリップバイオプシーと呼ばれています。 その方法とは病巣の粘膜の下に生理食塩水を注入して浮き上がらせ,リング状ワイヤーのスネアでつまみあげ,高周波電流で焼き切るという方法です。 (3)粘膜下層剥離(はくり)術(ESD) しかしこれまでの内視鏡手術では隆起型早期胃がんは大きさ20mm以内,陥凹型早期胃癌は10mm以内等の制限がありました。なぜなら従来の方法では大きすぎると病巣の分割切除となり,再発が増えるなどの欠点があったからです。 穿孔などを防止する目的で従来のNeedleナイフの先端に絶縁体のセラミックチップを装着したITナイフの開発で病変の大きさにかかわらず,多くの場合早期胃癌であれば一括切除が可能となりました。これを粘膜下層剥離術といい,現在広くおこなわれるようになっています。 (4)レーザー治療 内視鏡にファイバーを通し,レーザー光線を患部にあて,治療します。光に反応し,かつがん細胞に集まりやすい物質を注射し,低出力光線でその物質の反応によりがん組織を破壊する方法と高出力でがん病巣に広く照射し,破壊する方法があります。このレーザー治療は切除が困難なほど大きな広がりをもったがんにも有効なため,症状を緩和しQOLを改善するための緩和療法としても用いられます。 ■ 抗がん剤 胃がんには抗がん剤は大きな効果は期待できないとされ,手術不可能な場合や術前,術後の補助療法として適用されます。 しかし最近では抗がん剤(TS-1,タキサン,イリノテカン,PS1,シスプラチン等)を組み合わせて使うことで,スキルスなど進行の早いがんにもめざましい効果上がっていることが報告されています。 ただ,抗がん剤の効果には個人差があり,強い副作用や,免疫力の低下も招くというデメリットもあります。 ■ 放射線治療 胃がんは早期にしても放射線治療だけではあまり効果は期待できないと言われています。したがって手術が不可能な場合の疼痛緩和や術前にがんを縮小させる手段として用いらることが多い治療法です。 最近のアメリカの研究報告ではタキサン系抗がん剤パクリタキセル(タキソール)と放射線治療の併用が著しい効果をあげていると発表されています。 |
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