がん患者の食事と栄養・がん治療

がん治療中では食事の工夫で,体力を維持することも重要

  がん患者の食事と栄養  

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  がん患者の食事と栄養はどうあるべきか
   

がん患者の食事と栄養補給は他の病気と同様に,治療効果を高め,がんと戦う体力を維持する上でとても大切です。

しかし,がん予防における食生活の研究は多くの報告があるものの,がん患者の食生活のあり方に関する研究はたいへん少ないというのが現状です。

現在の医療制度では,糖尿病患者は別としてもがん患者に対する食生活の指導はほとんど行われていないという実態があります。
 
また,抗がん剤治療の影響やがんの進行により多くの患者が食欲不振となり,食事が満足にできないという状態になります。

このページでは食欲不振など,多くのがん患者が抱える食事と栄養補給の問題にどのように対応してよいかを,研究機関や研究者の資料を参考に解説していきたいと思います。

がんの発生にはこの食事のあり方が大きく影響しています。がんの治療には食事のあり方を変えることでがんを治癒させていこうという食事療法という研究もあります。

現在のところ,がん患者のとるべき食事の研究をした文献は少なく,今後の研究が必要になる分野でしょう。

 
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  ここでは(株)エビデンス社発行のバックナンバー「がんサポート2月号」(2011年1月15日発行)の特集記事「栄養と食事」の中から,「抗がん剤放射線治療中でも食事の工夫次第で無理なく食べられる」と「がん治療の効果を高めるためにも食事は重要!」の記事の一部をレポートさせていただきます。

がん患者の食事の工夫


がん患者は食欲が低下し,満足に栄養補給ができなくなることが多いため,食事の工夫も必要になってきます。

以下に「がんよろず相談Q&A」第3集の要点のみ記載しますが,詳しくお知りになりたい方はダウンロードすることをお勧めします。

なお,この冊子の前書きにおいて,「この冊子は『抗がん剤治療』や『放射線治療』によって起こる様々な症状への対応を「食事」を中心にまとめたもの」であること。

また,「この冊子に,書かれている内容すべてが一人ひとりの患者に一致するものではなく,食事のことで,困ったり,悩んだりしたときは,かかっている医療機関の担当医や看護師,栄養士に状況を伝え相談してみましょう。」と注意を促しています。


 
 がんよろず相談 Q&A 第3集(静岡県立静岡がんセンター発行) 
 抗がん剤治療・放射線治療と食事編
 より抜粋
 - 症状別 食生活の工夫 -

食欲不振
工夫のポイント
  食欲不振の原因が明らかならば,それを改善する工夫をする
  
  気分のよい時に,食べられるもの食べる
 
栄養補助食品を利用する 
 
   口に合う,たんぱく質豊富な食品をさがす
 
   


吐き気・おう吐
工夫のポイント
  吐き気・おう吐のパターンから,タイミングをみて食べる
 
  少しずつ数回に分けて食べる
 
  胃への負担の少ない食品を選ぶ
  治療前に軽く食事,治療後数時間は固形物をひかえる
 
  おう吐がある場合,1〜2時間食事をひかえる
 
   おう吐がある場合水分やカリウム等の損失を考慮し補給する
 
   食べ物のにおいや環境に考慮する
 
 


 
味覚の変化
工夫のポイント 
味覚の変化や症状にあわせて,味の調整をする
 
うがいをしたり,あめをなめたりする 
 
 


 
嗅覚の変化  
工夫のポイント 
  においをおさえる工夫をす
 
  調理は自分でせず,調理中はその場にいない
 
 


 
口やのどの炎症・口内乾燥 
工夫のポイント 
飲み込みやすく,食べやすくなる工夫をする 

こまめに水分を補給したり,氷をなめたりする
 
口の中をきれいに保つようにする 
 


胃の不快感 
工夫のポイント 
  消化がよく,やわらかいものを食べる
 
  一度にたくさん食べず,数回に分けて食べる
 
消化がよく,たんぱく質豊富な食品をこまめに食べる
 
刺激の強い食品はひかえる 
 


膨満感 
工夫のポイント  
少しずつ,消化がよく,たんぱく質豊富な食品をとる
 
炭水化物を中心に食べる
 
脂肪の多い食品・ガスが発生しやすい食品などはひかえる
  
 


便秘  
工夫のポイント 
食物繊維を多く含む食品をとる 

水分補給をこころがける
 
高脂肪の食品をひかえる

 
乳酸菌を含む食品をとる
 
 


下痢 
工夫のポイント 
室温程度の水分やカリウムを十分にとる 

低脂肪でたんぱく質豊富な食品の摂取を心がける 
 


呼吸困難・開口障害 
工夫のポイント 
かみくだいたり,飲み込んだりしやすい工夫をする
 
水分を補給する 



白血球減少 

 
 

がん治療の効果を高めるためにも食事は重要

   
ここでがん治療と食事の関係について爽秋会クリニカルサイエンス研究所の瀬戸山氏の記事を紹介します。

瀬戸山氏は,「がん治療の効果を引き出すためには適切な栄養摂取と適当な運動が必要であり,適切な栄養や運動は,ときに抗がん剤治療に匹敵するほど大きな影響を示す。」と述べています。


大腸がん,乳がんにおける治療後の再発と食生活の関係


大腸がん術後の臨床試験では牛肉,脂肪,精製穀類,デザート等の「欧米食」摂取は,野菜,果物,鶏肉,魚等の「理想食」摂取よりも再発のリスクが高く,また,運動量を増やし欧米食を減らしたりすることで,抗がん剤以上に再発のリスクが減少した。 

乳がんの治療を受けた患者は低脂肪食を摂取を指導された患者は指導されない患者よりも再発のリスクが低下した。

乳がん治療を受けた患者の臨床試験では
野菜と果物を毎日5種類以上摂取し,30分のウオーキングに相当する運動を週6回行っている人はそうでない人に比べ,生存期間が長くなっていた。(この効果はエストロゲン受容体陽性乳がんの患者で顕著)


乳がんの再発予防には大豆食品が有効であり,大豆タンパクの1日摂取量が15.3gを超える「多量摂取群」は5.3g以下の「少量摂取群」より死亡リスクは29%低い。


 瀬戸山氏は「がんの増殖メカニズムは一緒なので,がんを防ぐ食事はがん患者にとっても有益である。」と述べています。





がん予防に役立つ食事はがん患者にも有効

 
野菜を食べる
緑黄色野菜の摂取量と肝臓がんの関係では緑黄色野菜を「週1回またはそれより少ない」群に対して,男性では「週2〜4回食べる」場合だと死亡が39%低下し,「毎日食べる」場合は75%低下する


魚を食べる
脂肪の多い魚,サケ,ニシン,イワシ,サバなどの魚介類をたくさん食べる人はあまり食べない人より腎細胞がんになるリスクが低い。これはオメガ3脂肪酸やビタミンD3が関係していると考えられる。

肥満を防ぐ
多くの研究で肥満ががんのリスクを高めることが明らかにされている。BMI(肥満度指数)が高くなるほど,結腸がんや直腸がんのリスクが高まる。
 
他にも,食道がん,肝臓がん,膵がん,前立腺がん,腎臓がん,卵巣がん,子宮体がん,多発性骨随腫,悪性リンパ腫なども肥満が関わっていることが明らかになっている。


がん患者の食事について全米
がん協会による「がん患者の栄養と身体活動の指針」を参考にするべき資料として紹介しています。

がん療養中の栄養的ケアの目標  「がん患者の栄養と身体活動の指針」全米がん協会
 栄養不良を防ぐこと。また,悪い状態にもどさないこと

 体脂肪が少ない体を維持すること。

 栄養に関する副作用(食欲低下,吐き気,味覚変化,排便の変化)は最小限にすること。

 QOL(生活の質)を最大にすること。
 
がん療養中の栄養状態に問題が起きた場合のケア 
 食欲減退がある人は,少ない量を頻回にとり,飲み物なしで食べる。これが摂取量増加に役立つことがある。 

 食べ物だけで必要な栄養を摂取できない人は,栄養価の高い飲み物や食べ物(市販品でも自分で作ったものでも可)により,エネルギーや栄養の摂取状況を改善できることがある。

 これらの対策でも栄養を十分に摂取できない人の短期間の栄養サポートには,チューブを介しての,経腸栄養や中心静脈が必要になるかもしれない。
 

食事の内容はがん治療の効果やその副作用にまで影響を与えるという研究報告もあります。  

がん治療の効果,副作用と食事の関係   
 乳がんで転移があり,抗がん剤治療(5FU+エピルビシン+シクロホスファミド)を受けている患者に対しDHA(ドコサヘキサエン酸)を1日1800ミリgを治療前7〜10日間と,治療中の5ヶ月間投与した。

 DHAが血中に多く取り込まれた「高DHA群」と取り込み量が少なかった「低DHA群」を比較すると全生存期間中央値は前者が34ヶ月,後者が18ヶ月と「高DHA群」のほうが生存期間が延長している。

 また,副作用に関しても「高DHA群」では好中球減少,貧血,血小板減少が「低DHA群」より軽い傾向を示した。 
 
 
化学療法に関して,低栄養だと副作用が増強することを証明した研究も報告されています。 
 
低栄養では抗がん剤治療の副作用が増強  
 非小細胞肺がんで抗がん剤治療(パクリタキセル+シスプラチン)を受けている患者を対象に栄養状態と副作用の関係を調べた研究では,低栄養の指標である血中アルブミンが低い患者や栄養異常がある患者は,栄養状態に問題がない患者に比べ副作用が増強することが明らかになった。 
 
放射線治療の副作用や治療効果とサプリメントの関係について興味深い報告があります。
 
ビタミンE摂取と放射線治療の副作用や生存率との関係 
頭頸部がんでビタミンE(αトコフェロールを1日400IU)とβカロテンを3年間摂取する群(βカロテンは研究途中で中止)と,プラセボ群に分け,放射線療法の副作用と効果について比較試験がおこなわれた。

 「ビタミンE投与群」は「非投与群」に比較して口腔粘膜の障害など副作用は低減することが確認されたが,一方で生存率では有意差はないものの「投与群」で低くなる傾向を示した。

 放射線照射の結果,活性酸素が発生し,それによるがん細胞の消滅もあるのですが,ビタミンEの大量摂取は活性酸素を除去し,副作用も低減するかわりにがん細胞への効果も弱めてしまうことが考えられます。
  
 

 酸化サプリメントとがん予防の関係
抗酸化サプリメントの効果をメタ分析(過去に独立して行われた複数の臨床研究のデータを 収集・統合し,統計的方法を用いて解析すること)した研究も報告されています。

 この研究ではβカロテン,ビタミンA,ビタミンE,ビタミンC,セレニウムといった抗酸化物質のサプリメントについて「投与群」と「プラセボ群」に分けて比較した信頼性の高いデータを統合して分析した。

 いずれのサプリメントもがん予防の効果はなく,逆にβカロテン,ビタミンA,ビタミンEに関しては,投与群の死亡率が高くなるという結果になり,ビタミンCとセレニウムは死亡率に影響がなかった。

 また,ビタミンサプリメントのがん予防への影響を調査した研究では,マルチビタミン,ビタミンC,ビタミンE,葉酸の摂取と喫煙,肺がんとの関係について調査している。

 その結果,これらのサプリメントを摂取しても肺がんの発生率は低下しないことがわかっただけでなく,それどころかビタミンEに関しては,1日の摂取量が100ミリg増えるごとにわずかながら肺がんのリスクが高まるという結果がでた。

 以上の研究報告から瀬戸山氏は「がんを防ぐためにサプリメントで栄養を大量摂取することは勧められません。βカロテンを豊富に含む野菜を食べることと,サプリメントで大量のβカロテンを摂取することは同じではないと思います。」

 また,「がんの患者さんでも,食べることができるのであれば,食物から必要な栄養を摂取するのが理想的で,サプリメントが有用なのは,食物から十分な栄養をとれない場合だと考えていいでしょう。」と述べています。 
 

 記事の最後にサプリメントを利用する意味があるのは以下のような場合と示しています。

   食事が不十分で,検査によって栄養(ビタミンDやB2)の不足が明らかなとき。

 栄養の摂取状況が推奨されるレベルより低いとき。

 骨の健康のためカルシウムやビタミンDが必要なとき。

 妊娠を考えている女性や妊娠中の女性で,葉酸を必要としているとき。
 (ただしがん治療に問題がない場合)
 
 がん治療に関連する骨減少などの合併症があるとき。 
 

 

経管栄養とは

食道がんや胃がん患者のように消化器がんに伴う通過障害などによって経口摂取ができず,通常の食事がとれなくなった患者に対しておこなわれる栄養摂取法です。

経管栄養は一般に胃や腸にチューブを通して流動食を用いる方法を指しますが,広義には,チューブを介した栄養と言う意味で高カロリー輸液も含めることがあります。


経腸栄養とは

 経腸栄養剤には糖質,脂質,タンパク質,ビタミン,ミネラルなどの他,食物繊維なども含まれています。

 チューブを通して投与する場合,鼻腔から胃・十二指腸まで挿入して投与する方法と,胃または空腸上部に穴をあけ,直接栄養剤を投与する経瘻孔(けいろうこう)法とがあります。

 これまで胃まで経鼻内視鏡を挿入して栄養チューブを挿入する方法では,胃内容物の逆流や誤嚥が生じて問題になっていましたが,経鼻内視鏡を胃ではなく十二指腸まで挿入して栄養チューブを入れる方法がより安全であると最近の学会で発表されています。


高カロリー輸液(IVH)とは


がん患者に限らず,食事だけで十分なカロリーを摂取することができなくなった患者には,点滴によりブドウ糖等が投与されますが,末梢血管への輸液では,高濃度ブドウ糖の使用によって血管炎を引き起こすため,投与量には限界があります。

そこで考案された方法が鎖骨下静脈,内頸静脈,大腿静脈などの太い中心静脈を輸液ラインとして利用する方法です。

この方法ですと,ブドウ糖は大量の血液によって薄められるため,炎症を起こさず高濃度のブドウ糖投与が可能です。

現在では糖質・アミノ酸の他にビタミンや微量元素も加えられ,さらに3大栄養素の一つの脂質も加えて投与することもあります。

このような高カロリー輸液により,がん患者のおう吐や下痢などによる栄養不足を補い,体力を回復させ,抗がん剤や手術などの積極的な治療を受けることが可能になっています。

一方で,このような強制栄養はがんの増殖を促進させたり,衰弱した患者の負担になるという意見もあります。




   
 

ゲルソン療法とは

   

ゲルソン療法とはマックスゲルソン医師(1881〜1951年)が考え出した,がんを食事によって治癒させようという,積極的な食事療法です。

しかし,この食事療法はがん患者に対して考案されたものではなく,当初は結核患者に対して,施されたものでした。

その特徴は,動物性タンパクや脂肪,塩分の極端な制限,多量の野菜や果物の摂取です。この食事法を当時の結核患者約500人に試したところ,治癒率98%という成果が得られたのです。

この当時は結核に対する抗生物質が発見されておらず,有効な治療法がないため,約半数の患者が亡くなっていた時代にこの治癒率は驚くべきものでした。

さらにこの食事法でがんを合併していた患者のがんも治癒したことから,ゲルソン医師は研究を重ね,この食事法をがん患者へも通用する食事法すなわちゲルソン療法として確立したのです。

その方法は「がん食事療法全書」(A Cancer Therapy)の書籍としてまとめられています。

現在,この方式は世界中で実践されていますが,その方式をアレンジして実践しているケースも多いようです。

それはほとんど塩分摂取を認めていないという点や玄米や大豆製品の摂取の禁止など,そのあまりに厳格な実践が患者にとって困難であったり,現代の栄養学からすると疑問点もあり,そのような理由から,それぞれの研究者によって,ゲルソン療法を取り入れながらも,その実践方法は若干異なることが多いようです。



ゲルソン療法を詳しくお知りになりたい方はゲルソン医師の著「ガン食事療法全書」(今村光一訳,原題 A Cancer Therapy)をお読みになるとよいと思います。
以下にゲルソン療法の要点をまとめてみます。


ゲルソン療法の実際


ゲルソンの食事療法は有機栽培の果物,野菜から作った大量の生ジュース,大量の生の果物と野菜,蒸した野菜,煮た果物,じゃがいも,オート・ミール,塩抜きのライ・ブレッドなどからなりたっています。

全て新鮮なものを用いなければならず,レモン,酢,にんにく,ハーブ,蜂蜜,黒砂糖などで味付けをし,塩は全く使わないことが特徴です。

また,療法開始初期は亜麻仁油以外の油脂類,肉類,魚貝類,乳製品,卵など動物性蛋白質は摂りません。

6〜12週間すると,チーズ,スキムミルクから作ったヨーグルト,そしてバターミルク(バター用脂肪分を除いたミルク)のような動物性蛋白質を加えます。

そしてカリウムの大量摂取と,ビタミン,酵素の補給を目的として,1日2〜3Lもの大量の野菜・果物のジュースを飲みます。

また,肝機能を高め,解毒作用を目的としてコーヒー浣腸を勧めています。

アルコール,カフェイン,たばこ,精製された砂糖,ナッツ類,大豆と大豆製品,缶詰や保存食品などが禁止されています。

 以上がゲルソン療法のおおまかな食事法です。


ゲルソン療法の科学的根拠


このゲルソン療法の研究者の間ではこのゲルソン療法は単なる経験則ではなく,科学的裏付けがあると言います。

この動物タンパクを抜いた食事は,血液中のLDLコレステロールを減らし,その結果として酸化LDLコレステロールは減少することになります。

がんにも効果のあるマクロファージはこの酸化LDLコレステロールを食べ,処理しようとしますが,この酸化LDLコレステロールが増えすぎるとマクロファージが酸化LDLコレステロールの処理に追われ,がん細胞の処理まで手がまわらなくなってしまうというのです。
 
したがって,動物タンパクの制限によりこの酸化LDLコレステロールを減らす必要があるということです。

また,過剰な塩分摂取は,細胞内のナトリウム濃度を高め,その結果がん細胞の細胞分裂を早めるという主張をしています。

大量の野菜接種は,血液中のカリウム濃度を高め,ナトリウム濃度を低下させます。そして体の酸化体質を改善し,代謝障害を改善するというものです。
 
以上がゲルソン療法を支持する一部の研究者の意見ですが,一方このゲルソン療法の極端なタンパク制限や塩分制限に警鐘を鳴らす研究者もいます。

かつてゲルソン療法に関する大規模な比較試験も行われたようですが,否定的な結果が多かったようです。

その中でナトリウム制限などの効果が得られたのは,脳腫瘍などで脳圧亢進症状が認められていたようなケースのみでした。

逆に死亡例の多くはがんによる摂食障害などで,極度なナトリウム制限による低ナトリウム血症を伴ったケースも多かったようです。

また,ゲルソン療法の極端な動物タンパク制限はがんに効果のある免疫細胞の数的低下を生じさせるということです。その結果,がんの増殖を早めてしまうことも考えられます。

ゲルソン療法における極端な塩分制限は睡眠障害のような睡眠の異常を引き起こすこともあり,さらに出血,下痢に対する抵抗力を弱め,他の栄養素の吸収を妨げるというリスクも生じます。
 
塩分抜きの食事は消化液の分泌低下から食欲低下をもたらし,ひいては患者にストレスを与え,がんを悪化させる可能性すらあると主張する研究者もいます。

がん患者においてがんの種類や進行度はそれぞれ異なり,体質も違います。ですから,ゲルソン療法で治癒したと主張する人もいますが,それが他の人に効果があるという保証はなく,上記のようなリスクもあるということを理解しておく必要があるでしょう。

ゲルソン療法のリスクも考慮すると,今日の栄養学者が健康維持のため主張しているように,「動物タンパクは過剰にならないよう摂取すること。」「過剰な塩分は控えること。」「野菜や果物は豊富に取り入れ,ビタミン,ミネラルを十分に摂取する。」といった程度におさえておくことが無難な食事法であると考えます。

また,免疫細胞の活性にはビタミンや亜鉛などのミネラルが不可欠であり,野菜ジュースの摂取は安全でがんにも有効といえるでしょう。 

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