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      子宮がんの罹患率と発症率

 子宮がんは女性のがんの中では胃がん,乳がんについで罹患率の高いがんです。

 子宮は大人のこぶし程度の大きさで,子宮上部の子宮体と,下部の細くなった子宮頸部に分かれます。頸部に発症するがんを子宮頸がん,子宮体に発症するがんを子宮体がんと呼びます。

 子宮がんの発症率や死亡率は近年減少傾向にあります。これは子宮がんの中で子宮頸がんの発症が減少したためで,これとは逆に子宮体がんの発症率は近年急増しています。

 子宮頸がんは20~40歳代の女性に多く発症し,これに対して子宮体がんは50~60歳代に多く発症しています。この子宮体がんは乳がんと同様に,閉経後の肥満が大きく影響していると言われます。

 
子宮がんにかかる人は全体として年間約18,600人で,このうち子宮頸がんが約9,000人,子宮体がんが約8,600人,どの部位か情報がない子宮がんが約1,000人となっています(全国がん罹患モニタリング集計2006年報告上皮内がんを除く)。

 また,子宮がんで亡くなる患者は全国で,年間約5,900人で,このなかで子宮頸がんが約2,700人,子宮体がんが約1,900人,どの部位か情報がない子宮がんが約1,400人となっています(人口動態統計2010年)。

     

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      子宮の機能と構造
 
 子宮は長さが約8cm,重さが約50gの洋ナシのような形をした袋状の器官です。

 外側は筋肉でできており,厚さ1~3cmです。この筋肉は妊娠すると,胎児の成長に伴い大きくなり,30cm以上にもなります。

 内部は子宮内膜という薄い膜で覆われていて,受精卵が子宮内膜にもぐり着床すると,妊娠が成立します。


 
子宮は大きく2つに分けることができ,下3分の1を子宮頸部,上の3分の2を子宮体部と呼んでいます。

 子宮体部からは卵管が左右に伸びており,その先には卵管采といういそぎんちゃくのような構造をした気器官があります。

 この卵管采は卵巣から排卵された卵子をすくい上げるというはたらきがあり,卵管采でキャッチされた卵子は卵管の繊毛のぜん動運動によって子宮に向かって運ばれます。
     
           
 
 
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 子宮頸がん
     
      子宮頸がんの原因
 
 現在,子宮頸がん発症のピークは30~40代ですが,最近では20代にも急増しています。

 子宮頸がんの原因は多くがウィルス感染によるものと考えられています。このがん発症の原因ともなるウィルスはヒトパピローマウィルス(HPV)と呼ばれ,多くの型がありますが,その中で特に16型や18型,58型などが関係していると言われています。

 ヒトパピローマウィルス(HPV)は成人女性の半数以上が生涯に一度は感染するとされるありふれたウィルスです。

 子宮頸がんの中で
粘膜から発症する扁平上皮がん患者のほとんどが,また腺がん患者の70%がこのウィルスに感染していると考えられています。

 
 男性器にあるHPVが性行為で子宮頸部へ感染しますが,発症するのはごく一部で,多くの場合,免疫力によって排除されます。感染を防ぐには性行為の際にコンドームを使うことが有効です。また清潔な性生活も大切です。

 このHPVは感染すると細胞内に進入し,細胞の分裂を抑える遺伝子「Rb」や傷ついた細胞を自滅させがん化を防ぐp53遺伝子のはたらきを止めてしまいます。そして細胞が変化し,無制限に増殖するがんとなってしまいます。


 このHPVは100種類以上の型がありますが,その中でもがんの発生につながりやすい特定のタイプが13種類ほどあり,「高リスク型」と呼ばれています。

 高リスク型のHPVに感染してから,子宮頸がんを発症するまでに5年~数十年かかるといわれています。
     

         
      子宮頸がんの組織型
 子宮頸部の表面は,扁平上皮(膣に近い部分),腺上皮(子宮体部に近い)の2種類の上皮細胞で覆われています。子宮頸がんは,上皮細胞から発生する悪性腫瘍です。

 
 子宮頸がんは,扁平上皮細胞ががん化する扁平上皮がんと,粘液を分泌する腺細胞ががん化する腺がんの2つのタイプに分けられます。これを組織型といいます。

 扁平上皮がんと,腺がんの両方の性質をもつ腺扁平上皮がんもあります。子宮頸がんの約80%が扁平上皮がんです。

 同じ子宮頸がんでも,組織型によって治療法が異なってくる場合もあり,たとえば放射線治療では,腺がんより,扁平上皮がんのほうがよく効きます。

 また,腺がんはリンパ節に転移しやすいので,扁平上皮がんよりも予後が不良といわれています。

 子宮体部を覆う子宮内膜は腺上皮でできているため,子宮体がんのほとんどが腺がんです。

   
         
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            子宮頸がん高リスク要因
 子宮頸がんは多くがウィルスの感染によるものですが,その感染の機会が多いほど発症リスクは高くなり,また,免疫力が低下してもウィルスを排除できなくなり,がんになりやすくなります。

ヒトパピローマウィルスに感染している人
不特定多数の人と性交渉がある人
ヘルペスウィルスに感染している人
クラミジアやトリコモナスなど性感染症にかかっている人
エイズなど免疫力が低下する病気にかかっている人
臓器移植をおこなって免疫抑制剤を使用している人
ステロイド剤を服用している人
流産を防ぐ薬剤ジエチルベストロールを使用した人やその子ども
20歳代後半以上の人
家系に子宮頸がんを発症した人がいる人
ビタミンAやCが不足している人
 
喫煙する人
   
                 
 

         
      子宮頸がんの症状
 

 子宮頸がんで初期症状はないことが多く,早期で発見される場合のほとんどが子宮頸がん検診を受けた場合です。

症状として多くみられる症状は,性器からの出血で,性行為の後や生理以外の時に出血が見られることがあります。またおりものの量が増え,ピンクや茶の色がつくこともあります。

 注意しなければならないのは,子宮頸がんの症状を生理不順の不正出血と考えてしまいケースがあることです。

 また,上記の症状は膣炎,子宮内膜炎,子宮頸管ポリープ,子宮筋腫など良性の病気でもみられますので,これらの症状があってもすぐにがんとは言えませんが,早めに子宮がん検診を受けましょう。

 子宮頸がんがさらに進行すると,感染も伴うようになり,おりものがうみのようになって量も増加し,悪臭を伴うこともあります。 また,下腹部に痛みや発熱を生じることもあります。

 腫瘍が骨盤内の腰の背骨近くの神経を圧迫するようになると,腰や背骨の痛みを感じるようになるようになります。

 腫瘍がリンパ節の流れを妨げるようになると,足のむくみも見られるようになります。

 また,膀胱にまで浸潤すると,頻尿,排尿困難,血尿,尿路閉塞などを引き起こします。直腸へ浸潤した場合,血便,通過障害(腸閉塞)などにもなります。
   



         
    子宮頸がんの検査

細胞診
 
 子宮頸がんの検査は産婦人科で行いますが,子宮頸部の表面から細胞を採取し,染色したものを顕微鏡で観察して判断します。これによりほとんどの子宮頸部のがんや前がん病変を発見できます。

 上記の細胞診で異常な細胞が発見された時には,膣拡大鏡で直接観察したり,組織の一部を採取して,顕微鏡で調べるなどして,総合的に診断します。

 細胞診の検査結果は以下のようにクラス分類され判定されます。

細胞診のクラス分類
クラス1 (陰性) 正常
クラス2 (陰性) 炎症はあるが正常細胞
クラス3(偽陽性) 軽度~中度の異形成細胞がある
高度の異形成細胞がある
(前がん段階)
クラス4 (陽性) 上皮内がんを想定する
(がん病期分類・ステージ0期)
クラス5 (陽性) 浸透がんを想定する
(がん病期分類・ステージⅠa期以上)

  このクラス分類はあくまで個々の細胞の異常度を示したもので,よくがんの進行度を示した病期(ステージ)と混同されることが多いので注意しましょう。
 
 
たとえばクラス3bであっても,異型化からがんに変わる可能性があるというレベル(がん化する可能性は15~20%)で,病期のⅢ期とは全く異なりますし,膣拡大鏡検査やがんの疑いがある部分を切除して検査する組織診まで行わないと,クラス4クラス5でも子宮頸がんとは断定できません。


拡大鏡検査(コルポスコープ)
 
 この子宮頸がんコルポ検診の結果クラス3a以上
の場合は精密検査を行います。

 コルポスコープは腟拡大鏡ともいい,子宮頸部の粘膜の表面を拡大して観察していく装置です。病変部を明確にするために,3%の酢酸溶液を子宮腟部の表面に塗ります。

 これをコルポスコープで観察すると、異常な部分の子宮頸部の表面が白濁してきます。その色合いや血管の流れ具合を調べることで,異形成がんの有無を調べることができます。


組織診
 病変部があれば,金属製の切除鉗子(かんし)で組織を採取して顕微鏡で観察していきます(ねらい組織診)。

 この組織診によって本当にがんであるのか,どのようなタイプのがんであるのか,上皮内にとどまっているのか,あるいは浸潤しているのかなどを診断していきます。

 子宮膣部には痛みを感じる神経はないので,この検査では痛みを感じることはほとんどありません。検査後には少しの出血がみられますが,数日で止まります。出血が多い場合は,数日通院することもあります。



円錐切除術
 
組織診の結果,中等度異形成が長期間存続していたり,高度異形成以上の病変がある場合,「円錐切除術」という手術による検査を行うこともあります。


 これは,子宮口を中心にした円を底辺として円錐状に切りとる手術法で,レーザーや超音波メスで病変部を焼き切る方法や,病変部にループ状のワイヤーをかけ,そこに電流を流して切りとる方法があります。

 切除した組織片は顕微鏡で観察し診断をします。 この検査は,高度異形成や上皮内がんと診断された場合,治療目的で切除されることもあります。

 この円錐切除術の結果,がんの浸潤が3mmを超えると判断された場合などには,子宮摘出が必要となります。   

 

CT検査
 CT検査は,エックス線を使っていろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影し,コンピューターによって,人体を輪切りにした鮮明な画像をモニターに映し出します。

 CTは,リンパ節転移をしていないか,腹腔内や肺・肝臓・腎臓・牌臓などにがんが転移していないかなど,広い範囲でのがんの進行程度をみるのに役立ちます。

 エックス線を使うので被曝の危険を避けるため,妊娠中や妊娠の可能性がある場合は使用できません。


MRI検査
 MRI検査は,水素原子の磁気共鳴作用を利用し,体に電磁波を当ててコンピューターで画像化するものです。

 腫瘍の浸潤度を詳細に把握することにすぐれています。子宮がんが,良性(筋腫)か悪性か,子宮筋層にどれくらい深くもぐり込んでいるか(浸潤),近くの卵巣や卵管や膀胱や直腸までがんが散らばっていないかなどが明らかになります。

 この他に,最近ではPETスキャンにより,転移した微少ながんもとらえることができるようになりました。


腫瘍マーカー
 腫瘍マーカーとはがん細胞がつくりだす物質で,その一部が血液や尿などの体液に放出されます。

 腫瘍マーカー検査によって,発生した臓器やがん細胞のタイプが判別でき,がんの縮小や再発を知る指標にもなりますが,炎症など良性の疾患でも増加することがあり,これだけですぐにがんと診断することはできません。

 子宮頸がんにおいては扁平上皮がんであればSCC,腺がんであればCEA,CA19-9,CA125などの腫瘍マーカーがあります。
   
         
         




子宮頸がんの病期(ステージ)
 
病期 進行状態 おもな治療法
0期 早期のがん。病巣は子宮頸部の上皮内のみにとどまっている状態。 ・レーザー治療・高周波凝固治療・凍結療法・円錐切除術・子宮全摘出術
1期 a がんは子宮頸内にとどまり,顕微鏡でのみ診断できる状態。 ・子宮全摘・両側付属器切除(卵巣は温存)
・円錐切除術
・準広汎または広汎子宮全摘術(3~5mmのより深い浸潤がある場合)
・腔内照射
浸潤の深さは3ミリ以内で,広がりが7ミリ以内
浸潤の深さが3ミリ~5ミリで,広がりが7ミリ以内
b がんは子宮頸部にとどまっているが,肉眼的に明らかに診断できる状態 ・腔内照射と外照射の併用
・広汎子宮全摘術(リンパ節郭清
・術後放射線治療
がんの大きさが4cm以内のもの
がんの大きさが4cm以上のもの
2期 がんが子宮頸部を越えて拡がるが,骨盤壁または,膣壁の下1/3には達していないもの ・腔内照射と外照射の併用

・広汎子宮全摘術(リンパ節郭清)

・術後放射線治療

a 子宮頸部を越えて拡がるが,膣壁の下1/3を超えず,子宮頸部周囲の組織には拡がっていないもの
b 子宮頸部を越えて子宮頸部周囲組織に拡がっているが,膣壁の下1/3を超えず,骨盤壁に達していないもの
3期 がんが骨盤壁まで達するもので,がんと骨盤壁との間にがんでない部分を持たないもの,または膣壁の下部分1/3を越えるもの ・腔内照射と外照射の併用

・放射線治療と化学療法の併用

・免疫療法
a がんは膣壁の下方部分1/3を越えるが,子宮頸部周囲組織への拡がりは骨盤壁にまで達していないもの
b がんの子宮傍組織への拡がりが骨盤壁にまで達しているもの,または腎臓と膀胱をつなぐ尿管が閉塞され,腎機能への影響がみられるもの
4期 がんが小骨盤腔を越えて拡がるか,膀胱・直腸の粘膜にも拡がっているもの ・腔内照射と外照射の併用

・放射線と化学療法の併用

・全身化学療法,免疫療法
a 膀胱や直腸の粘膜へがんが拡がっているもの
b 小骨盤腔を越えて,肺のような遠隔臓器に転移があるもの
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  子宮頸がんのステージ          
                     
                   
   3a期  2b期    2a期    1b期    1a期    
                     
                     
            
  4a期  3b期    
         
         

      外科治療
 がんの進行度や組織型によって,治療の方法が異なりますが,2期までは手術するという方法が一般的な治療法です。

 ただし,高齢や合併症を併発していて手術ができない場合は,放射線治療を行います。また,手術後に放射線治療を行うこともあります。

レーザー治療
 主に初期のがんの治療に使用されます。これまでの円錐切除術で行われていた治療法では,早産や流産の可能性がありましたが,このレーザー治療ではそのような心配はありません。

 レーザー光線を患部にあて,治療します。光に反応し,かつがん細胞に集まりやすい物質を注射し,低出力光線でその物質の反応によりがん組織を破壊する方法と高出力でがん病巣に広く照射し,破壊する方法があります。



凍結療法
 金属製の針の先端から液体窒素を用いマイナス185度の超低温で冷却した高圧ガスを噴出してがん組織を凍結し死滅させます。凍結療法は切除手術に比べ,体への負担が少なく痛みがないのが特長です。凍結により死んだ細胞は時間がたつと吸収されて消失します。

 凍結療法の欠点は、組織を直接破壊するため組織検体の採取が不可能で,残存病変の有無や浸潤病変が潜在していないかなどをすぐには判定できないことです。
海外では広く行われているようですが日本ではまだあまり行われていないようです。


高周波療法
 凍結療法やレーザー療法と同様に,進行が進んでいない0期や初期段階のがんは,高周波の電磁波によって切らずにがん細胞を殺してしまうことが可能となります。

 異形成の段階でも,高度異形成や中等度異形成の状態が半年以上消えない場合は,こうした高周波を使った治療法で治療してしまうこともあります。

 この治療法では病巣に針を刺して電極を入れ,電極の先端から高周波電流を流します。このようにして,がんのたんぱく質を凝固させることで,がん細胞を死滅させます。

 子宮は残っているので,完治した後には妊娠や出産も可能となります。ただし、がんが再発する可能性もあるため,最初の1年間は3カ月に1回,それ以降は6カ月に1回,診察や精密検査を受けることが必要となります。


円錐切除術
 この方法は検査もかねた治療法で,初期のがんや高度異形成に対して用いられます。

 がん病巣のある子宮の頸部組織を円錐状に切除します。メスの代わりに,レーザー光線や高周波電流を流す,リング状ワイヤーを使って,組織を焼き切る場合もあります。

 円錐切除術後術では子宮体部は残り,妊娠は可能ですが,早産,流産をしやすくなったり,子宮頸の粘液を分泌する部分が切除されるため,妊娠しにくくなるなどの問題点があります。


単純子宮全摘出術
 がんに侵された子宮のみを摘出する手術です。通常は骨盤内のリンパ節や膣は温存します。

 また卵巣に転移することは少ないため,これを摘出ことあまり行いませんが,閉経後であれば,ときに卵巣・卵管も切除されることがあります。(両側付属器切除術)


広汎子宮全摘出術
 患部を子宮と膣の一部を含め,骨盤壁近くから広い範囲で切除します。子宮頸部がんに関連する所属リンパ節も同時に切除します。卵巣や卵管は可能ならば残します。
 
 最近では開腹せずに内視鏡下で,子宮やリンパ節を切除できるようになってきています。またこの手術では,膀胱や直腸の神経切断により,排尿や排便をコントロールできなくなることがあり,問題点と言えます。


骨盤内臓全摘術

 この手術は非常に進行したがんに対し,行われるもので,がんが子宮頸部だけでなく,さらに大きく拡がっている場合,子宮,膣,膀胱,大腸の一部など,骨盤内の内臓を摘出する手術です。
 
 術後,腸の一部を使った膀胱や人工肛門(ストーマ),回腸導管(回腸を用いた人工的尿路)などの形成手術が必要となります。この手術は後遺症が大きいため,近年では行われることは少なくなっています。

   
         

         
      放射線治療
 
子宮頸がんはステージⅠ~Ⅱ期までは手術で行われることが多く,手術が困難なⅢ期~Ⅳ期は主に放射腺や化学療法で治療します。

 欧米ではⅠ~Ⅱ期でも放射線が使われることが多く,手術と同等の治療成績が得られています。しかし,Ⅲ期~Ⅳ期の場合,放射線治療ではあまりよい治療成績は得られていません。
 
 放射線治療には,身体の外から放射線を病巣に照射する外部照射法と,直接放射線を発生させる物質をがんのある部位にプラスチックの筒を通して挿入する膣内照射があります。病状により方法を選択します。
 
 放射線治療とシスプラチンなどの化学療法との併用は,副作用はありますが,高い治療効果を示しています。

 手術後骨盤内リンパ節への転移などが疑われる場合にも,術後照射をおこないます。

 放射線治療の副作用には,下痢や食欲不振などがあります。また直腸の炎症による出血がみられることもあります。 特に近接照射した場合,閉経する場合もあります。
 

   


       
    抗がん剤治療
 子宮頸がんでは手術と放射線治療が中心であり,抗がん剤治療は手術前の腫瘍縮小のための補助療法として,また手術が難しいⅢ期~Ⅳ期の患者の放射線との併用で用いられることが多い治療法です。

 子宮頸がんの抗がん剤治療は特に標準的な治療として確立している組合せはありませんが,シスプラチンを基本とした併用療法はよく行われます。

 例をあげるとBOMP療法(ブレオマイシン+ビンクリスチン+マイトマイシンC+シスプラチン)や,BOMP療法からビンクリスチンを除いたBMP療法があります。

 
これらは吐き気,嘔吐,食欲不振,脱毛,倦怠感,腎障害,骨髄抑制,貧血,出血傾向,難聴,視神経炎,しびれ感などの副作用がみられます。
   
       

         
    子宮頸がんワクチン 療法
 子宮頚がんの予防ワクチンが2009年に日本で承認されました。

 子宮頸がんの最大の原因はヒトパピローマウィルス(HPV)によって,遺伝子が変異することと考えられ,このウィルスに対するワクチンが開発されました。

 現在,子宮頸がんワクチンとして,米・メルク社の「ガーダシル」と英・グラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」があります。現在,国内で厚労省に認可されているのは後者のみです。

 しかしこのワクチンは,すでに感染したHPVを排除したり,異形成やがんを治したりする効果はないため,性交未経験の10代前半の女子に優先的に接種することが推奨されています。
ます。
 
 このワクチン(サーバリックス)はヒトパピローマウイルスを抗原としたワクチンで,ワクチン接種により誘導された血清中の坑HPV lgG抗体が子宮頚部粘膜に滲出し,子宮頸がんの要因であるヒトパピローマウィルスHPVの増殖を抑えるというものです。

 製造元の英・グラクソ・スミスクライン社によれば「半年に3回の接種で,最長で6.4年間くらいは,HPVの感染を防ぐのに十分な量の抗体ができる」としています。

 この子宮頸がんワクチンが予防できるのは,HPV16型と18型ですので,全ての発がん性HPVの感染を防げるものではありません。

 HPVは100種類以上の型があり,特に,日本人の子宮頸がんの原因はHPV 52・58型が比較的多く,HPV16・18型は全体の約60%という報告もあります。

 ですからワクチンで感染を予防するとともに,定期的な検診を徹底することが子宮頚がんの予防には必要です。
 

   


 子宮体がん
         
    子宮体がんとは 
 子宮体がんには,子宮内膜に発生する子宮内膜がんと,子宮の筋肉に発生する子宮肉腫の2種類があります。またこの筋肉に発症する良性腫瘍が子宮筋腫と呼ばれるものです。

 子宮体がんの95%以上は子宮内膜がんとされており,子宮肉腫は子宮体がんの5%を占めるにすぎません。したがって,子宮体がんはほとんどの場合,子宮内膜がんをいいます。

 
子宮内膜に発生したがんは次第に子宮の筋肉に浸潤(しんじゅん)します。さらに子宮頸部(けいぶ)や卵管・卵巣に及んだり,骨盤内や大動脈周囲のリンパ節に転移したりします。

 さらに進行すると,腹膜・腸・肺・肝臓・骨などに転移します。 子宮体がんは50,60代に最も多く発見されますが,5%は40歳未満で発見されます。

   
         

         
    子宮体がんの原因
 現在のところ,原因ははっきりとは解明されていませんが,女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)に長い間さらされるとがん発症リスクが高くなると考えられています。

 したがって初潮年齢が低かったり,閉経年齢が高かったり,出産経験がない人や30歳以降に出産した人は発症リスクが高くなります。

 その他,肥満の人は閉経後は卵巣からは分泌されないはずのエストロゲンが,脂肪細胞から作られるため子宮体がんの発症リスクが高い人です。

 愛知県で行われた疫学調査で,子宮体がんになった人とならなかった人を比較したところ,閉経後の肥満の人(BMI25以上)は,閉経後の普通の人(BMI22以下)と比べて,がんになる危険度が2.5倍高いことがわかりました。

 エストロゲンは子宮内膜を増殖させるようはたらくホルモンですが,一方でプロゲステロン(黄体ホルモン)は子宮内膜の増殖を抑えるはたらきをします。

 排卵の異常などで,プロゲステロンの分泌が減り,エストロゲンのはたらきが強くなりすぎると,子宮内膜が異常に増殖して,これが子宮内膜増殖症へとつながります。

 これは閉経するとおさまることが多いのですが,まれに発がん性の異型細胞がある子宮内膜異型増殖症に進展することがあります。

 この子宮内膜異型増殖症の20%~25%が子宮体がんへ進行するといわれています。生理不順が多い人はこのプロゲステロンがきちんと分泌されず,子宮内膜がきちんとはがれ落ちていない可能性があるので発症リスクが高い人です。

 また,がん抑制遺伝子であるPETN遺伝子の異常が,子宮体がん患者の30から50%に認められ,がん発症と関係していることがわかっています。
   
         

         
    子宮体がんの症状
 
性器からの不正出血が90%の患者にみられます。閉経前は月経過多になったり,閉経後でも出血がみられたりします。子宮体がんは,初期からほとんどの人に自覚症状があるのが特徴です。

 この月経時以外に出血する不正出血は患者の約90%にみられます。また,出血が少量だと褐色のおりものになることが多いので,おりものの状態にも気を配りましょう。

 40代後半~50代という更年期世代は特に注意が必要です。更年期は,ホルモンのバランスがくずれることから異常な出血が起こりやすいので,閉経前後の人が不正出血を「閉経後にありがちな生理不順」「更年期の症状」などと思い込むことで,子宮体がんの症状を見落とすことになります。

 また,子宮体がんが進行するにしたがって、おりものは黄色から褐色となり,しだいに血がまじるようになります。

 さらに感染を伴うとうみのようになって量も増え,悪臭を伴うようになります。さらに進行してしまうと,下肢の痛みやむくみ,排尿痛または排尿困難,直腸障害,性交時痛,件交後出血,貧血などの症状も出て
くるようになります。
   
         

         
    子宮体がんの検査
 
子宮内膜から採取した細胞の,顕微鏡による病理学的検査が必要です。この検査で異常が見られた場合は,子宮内膜の組織を専用の器具で吸引して採取し,検査します。

 この内膜の採取では、多少の痛みと出血を伴いますが,出血の方は2日前後で止まります。
また子宮内に内視鏡を挿入して,観察し診断します。

  ここで子宮体がんと診断されると,進行度を調査するために,X線や,CT,MRIなどの診断装置での検査も行われます。
 
   
         


     
    子宮体がんの病期(ステージ)
病期 進行状態 おもな治療法
0期 子宮内膜の異型細胞が増殖している。 ・単純子宮全摘術
・卵巣,卵管摘出
・子宮内膜掻爬
・ホルモン療法
1期 a がんが子宮体部にのみ認められるもの(子宮頸部,その他にがんは認められない)。 ・単純子宮全摘術
・卵巣,卵管摘出
・子宮内膜掻爬
・ホルモン療法

(・リンパ節郭清)子宮全摘出術
b
がんの子宮筋層への浸潤が筋層の1/2以内のもの。
c
がんの子宮筋層への浸潤が筋層の1/2を越えるもの。
2期 がんが子宮体部を越えて子宮頸部に拡がったもの(がんは子宮の外に出ていない)。
a がんは頸管内の浸潤が粘膜内にあるもの。
b がんは頸管内の浸潤は粘膜を越えて深く浸潤しているもの。 ・広汎子宮全摘出術    ・リンパ節郭清
・化学療法
・ホルモン療法
3期 がんが子宮外に拡がっているが,骨盤を越えて外には拡がっていないもの。または骨盤内あるいは大動脈周囲のリンパ節に転移を認めるもの。 ・広汎子宮全摘出術    ・リンパ節郭清
・化学療法
・ホルモン療法
a がんが子宮の外の膜や骨盤の腹膜あるいは卵巣卵管に転移しているもの。あるいは腹水中にがん細胞が認められるもの。
b 腟壁に転移を認めるもの。
c
骨盤内,あるいは大動脈周囲のリンパ節に転移を認めるもの。もしくは,骨盤を支える靭帯(じんたい)に浸潤を認めるもの。
4期 がんが骨盤を越えて身体の他の部位へ拡がるか,または膀胱,あるいは腸の粘膜に浸潤しているもの。 ・広汎子宮全摘出術(リン  パ節郭清)
・化学療法
・放射線療法
・ホルモン療法
a 膀胱あるいは腸の粘膜までがんの浸潤を認めるもの。
b 骨盤を越えた遠隔臓器転移を認めるもの。あるいは腹腔内や鼠径部(そけいぶ)のリンパ節に転移を認めるもの。
 
     

     
    子宮体がんの治療
 
 子宮体がんの治療には,手術,放射線,抗がん剤,の三大がん治療の他にホルモン療法の4つがありますが,
子宮体がんは,ほとんどが腺がんであり,子宮頸がんのように放射線による治療はあまり期待できません。
 
 したがってほとんどの場合,手術による病巣部の摘出が中心となり,放射線は補助療法として使用されることが多いようです。

 0期では単純子宮摘出手術が一般的ですが,妊娠を希望する場合などは,子宮摘出は行わず,子宮内膜掻爬とホルモン療法で治療することもあります。1期~3期は単純子宮全摘術,両側付属器(卵巣)摘出,広汎子宮全摘術などが進行度に応じて行われ,必要ならば,骨盤内あるいは大動脈周囲のリンパ節も郭清(摘出)します。

 Ⅳ期でも手術が可能ならば,拡大手術を行い,緩和療法として,放射線治療,化学療法,ホルモン療法を単独か組み合わせて治療します。
 
     

     
  子宮体がんのホルモン療法
 
 女性ホルモンには,卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)があり,エストロゲンは子宮体がんの増殖を促し,プロゲステロンは子宮体がんの進行を抑制するはたらきがあるといわれています。

 したがってエストロゲンのはたらきを抑えたり,プロゲステロンを投与したりすると,子宮体がんの増殖を抑えることができます。これがホルモン療法(内分泌療法)です。
 
 エストロゲンやプロゲステロンががん細胞に作用するためには,がん細胞にこのようなホルモンと結合するレセプターが必要です。したがって,このようなホルモン療法は,手術の際摘出された腫瘍組織を調べ,レセプターがあることを確認してからおこなわれます。


 このようなホルモン療法は,妊娠の可能性をのこすために子宮を温存したい場合や,全身の状態が悪く化学療法が難しい場合,再発予防を目的とした場合などに用いられます。

 ホルモン療法ではでは一般にプロゲステロン製剤が使用されますが,エストロゲンががんと結びつく作用をブロックする抗エストロゲン剤のタモキシフェンやエストロゲンの分泌を抑えるLH-RHアナログ剤もあります。

 ホルモン療法の副作用として,血管内で血液が固まる,血栓症が起こることがあり,注意が必要です。
  
 
     
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