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    咽頭の構造と咽頭がんの種類
 
 咽頭は消化管の一部で気道の一部にもなっている部分でもあり,鼻腔や口腔の後方にあって,食道にもつながる,約12cm程度の筋肉質の管です。

 咽頭はさらに,上部から,上咽頭,中咽頭,下咽頭
に分けることができます。上咽頭は鼻腔から直接つながる空気の通り道です。

 中咽頭は空気と食べ物の通り道で,口蓋扁桃(扁桃腺)の周辺部にあたります。舌の付け根や口蓋垂(のどちんこ)も中咽頭に含まれます。

 下咽頭はのどの下の部分であり,喉頭の後ろ側に位置しています。食べ物はこの下咽頭を通って,食道から胃へと入っていきます。

 咽頭がんは,上から上咽頭がん,中咽頭がん,下咽頭がんと区別し,それぞれ治療法も異なります。

 どれも早期発見は困難といわれていますが,特に上咽頭がんは位置的にも発見が難しく,早期発見率がたいへん低いことが特徴でもあります。
  
   
     
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  咽頭がんの症状
 上記の3種類の咽頭がんに共通していえることは,初期症状がほとんどなく,自覚症状が現れるころには,がんがかなり進行してしまっていることが多いということです。

上咽頭がん 

 上咽頭がんは自覚症状があらわれにくいがんです。咽頭の外側には,耳と鼻とを結ぶ管(耳管)があります。

 がんがある程度進行すると,この耳管が腫瘍によって圧迫され,耳がっまった感じ,難聴,耳鳴りなど,中耳炎のような症状が見られるようになります。

 また,鼻づまりや血の混じった鼻汁(鼻みず)が出たりします。これらの症状は継続してあらわれ,鼻汁はにおいをともないます。

 上咽頭がんは,頸部リンパ節に転移することが多く,くびの腫れが初期症状として見られることもあります。

 上咽頭は脳にも近いことから,脳神経がおかされると,ものが二重に見えたり,神経痛や頭痛をともないます。


 上咽頭からは悪性リンパ腫も発生するだけでなく,がんの症状に似た病気もあり,検査で識別する必要があります。



中咽頭がん
 中咽頭がんも初期には自覚症状が乏しいがんですが,のどに異物感や違和感,ものを飲み込む時の痛みを感じるようになります。

 この症状を咽頭炎などの単なるのどの異常と思い,がんを進行させてしまうことも多く,注意が必要です。

 また,頸部へ転移したリンパ節のはれだけが唯一の初期症状となることもあります。

 さらにがんが進行すると,痛みが強くなり,物をうまく飲み込めなくなったり,呼吸困難が起こったりします。


下咽頭がん
 下咽頭がんも他のがんと同様にがんが大きくなるまで,症状がでにくいがんですが,下咽頭は食物の通り道なので,物を飲み込む時に違和感を感じるほか,異物感や痛みなどの症状があらわれるようになります。 

 また,中耳炎のような,耳の奥に痛みを感じることもあります。これは下咽頭と耳をつなぐ神経の経路があるためで,下咽頭がんや進行した喉頭がんに特徴的な症状です

 がんが喉頭にまで達すると,声帯を動かす神経が影響を受け,声がかれるということも起こります。さらに進行すると気道が圧迫され,呼吸困難も見られます。

 下咽頭がんは,頸部のリンパ節に転移しやすいため,首に触れた時に,しこりを感じることも自覚症状の一つです。

 

  
       
    咽頭がんの原因
 
上咽頭がん
 上咽頭がんの原因はまだはっきりと確定したものはありせん。ただ,ヘルペスウィルスの一種である,EBウィルス(エプスタイン・バーウィルス)との感染が指摘されています。

 中国南部や台湾に発生率が高いのは,EBウィルスの感染者が多いいからだといわれています。また,
ホルムアルデヒドの吸引なども発症に関係があるとされています。


中咽頭がん
 
地域的には九州,沖縄などの地域に多く発症する傾向にあり, また,世界的に見るとインド,東南アジア,フランス,イタリア,ロシアなどに多く発生する傾向にあります。

 これらの地域は強いアルコールやたばこを好む地域でもあることから,これらが発症と関係していると考えられています。


下咽頭がん
 下咽頭がんの原因もはまだよくわかっていませんが,喫煙や飲酒との関係が深いといわれています。

 ヘビースモーカーで酒をよく飲む人ほど下咽頭がんにかかりやすく、下咽頭がんの高リスク群といわれています。

 ただ,下咽頭の輪状後部という部位にできるがんは,喫煙や飲酒とは関係なく貧血(特に鉄欠乏性貧血)をもつ女性に多く発症します。
   
 
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咽頭がんの検査・診断
  
 咽頭がん検査では,中咽頭がんの多くは病巣の存在を肉眼で確認することができますが,上咽頭がんと下咽頭がんの場合,その構造上病巣を直接見ることができません。

 そこで視診には小さな鏡や内視鏡(ファイバースコープ)を挿入して検査します。がんの病巣が目に見える中咽頭がんや,リンパ節への転移が考えられる場合,病巣や首に直接触って診断します。


 視診や触診でがんが疑われる場合,病巣の組織一部をとり出して顕微鏡下で調べる生検(バイオプシー)を行います。

 がんと診断されると,さらに広がりや転移の有無を調べるため,エックス線,MRI,CT,エコーなどを行います。
 
 下咽頭がんの場合,食道がんも同時に発症することが多いため,胃カメラを使ってその有無を検査します。また肝臓や肺に遠隔転移がないかを調べるため,胸部X線撮影やCTも行います。
 
       


 
 ■ 喉頭がんの病期
上咽頭がんの病期(UICC TMM分類)
病期 進行状態 おもな治療法
1期 がんは上咽頭内にとどまっている。 放射線治療が中心になる(広範囲に照射後,局所的に照射)。
がんの残存や再発の場合はリンパ節とその周囲を切除する(頚部郭清術)。
2期 a がんは中咽頭(口蓋扁桃,軟口蓋など)や鼻腔などの隣接組織に浸潤している。
b 原発巣と同じ側の頚部リンパ節に6cm以下の転移がある。または咽頭側方から据咽頭リンパ領域に浸潤がある。
3期 骨組織や副鼻腔に浸潤している。両側の頚部リンパ節に6cm以下の転移がある。 上記の治療加え,化学療法を併用することもある。
4期 a 頭蓋内,脳神経,眼窩などへ浸潤している。両側の頚部リンパ節に6cm以上の転移がある。
b がんは鎖骨上窩までおよび遠隔転移がある。 放射線治療と化学療法を行う。
加えて対症療法,緩和療法を行う。


中咽頭がんの病期(UICC TMM分類)
病期 進行状態 おもな治療法
1期 がんの大きさは2cm以下である。 放射線治療または外科治療を行う。


2期 がんの大きさは2〜4cmである。
3期 がんの大きさは4cm以上で頚部リンパ節への転移はない,または同側の頚部リンパ節に3cm以下の転移が1ヵ所ある。 下顎や下深層(筋,喉頭)などへ浸潤している。
病巣と反対側または両側の頚部リンパ節に6cm以上の転移があり多発している。
4期 a 下顎や下深層(筋、喉頭)などへ浸潤している。
病巣と反対側または両側の頚部リンパ節に3cm以上の転移があり多発している。
対症療法、緩和療法を
行う。
b 遠隔転移している。


下咽頭がんの病期(UICC TMM分類)
病期 進行状態 おもな治療法
1期 がんの大きさは2cm以下で下咽頭の1つの部位にとどまっている。 放射線治療を単独で,または喉頭温存手術を行つ。
2期 がんの大きさは2〜4cmで下咽頭の2つ以上の部位に及んでいる。 外科手術(下咽頭,喉頭,頚部食道の部分切除や全抜去術など)後,放射線治療を行う。
頚部のリンパ節を郭清することもある。
3期 がんの大きさは4cm以上で下咽頭の2つ以上の部位および喉頭の中に浸潤している。
または病巣と同側の頚部リンパ節に3cm以下の転移が1つある。
外科手術後、放射線治療を行う。イヒ学療法を併用することもある。外科手術では頚部のリンパ節も郭清する。手術前に化学療法を行うこともある。
4期 a 周囲組織(軟骨,筋肉,甲状腺,食道など)に浸潤している。
病巣と反対側または両側の頚部リンパ節に6cm以上の転移があり多発している。
b 遠隔転移している。 対症療法,緩和療法の対象となる。
 

 
         
      咽頭がんの治療

上咽頭がん

 上咽頭は脳神経と近い位置にあるため,普通切除手術は行いません。このがんの多くが放射線の感受性が高い扁平上皮がんなので,すべての病期で放射線治療が中心となります。

 放射線治療後も病巣が残った場合や再発した場合には,頸部リンパ節とそのまわりの組織を外科的に切除します(頚部郭清術)

 放射線と抗がん剤を併用する放射線化学療法は,治療成績が向上するという報告あり,実施する病院も増えています。

 ただし,放射線化学療法は白血球が減少するなどの副作用があり,患者の状態を見て慎重に行う必要があります。

 
中咽頭がん

 以前は放射線治療が中心でしたが,最近では技術の進歩により,手術も行われています。しかし,大きく切除すると発声がうまくできなくなったり,ものが飲み込めないといったQOLの低下もあり,手術がベストとは限りません。

 早期のがんには,咽頭を温存するために放射線治療を行います。1期,2期ならば外科的切除も放射線治療でも差がないとされており,放射線治療が優先されています。

 発症数がもっとも多い扁桃腺のがんは,特に放射線の感受性が高く,放射線治療が有効といえるでしょう。

 がんの場所や大きさによっては,がんの病巣組織内に針状の放射性同位体を刺して治療する密封小線源組織内照射が行われます。この方法は体外照射と比べて正常な組織の損傷が少なく,副作用を小さく抑えることができます。
 
3〜4a期の進行がんでは,手術が中心です。放射線は手術の前後に併用されます。特に大きく切除した場合は,手術後の後遺症が大きくなります。そのため切除部分の再建手術を行います。

 

下咽頭がん

 下咽頭がんは,早期に発見できれば,放射線の単独照射で治癒します。しかし早期発見が困難であるため,放射程治療や化学療法だけで完治することはまれです。

 したがって,下咽頭がんの治療は,手術が中心です。放射線治療や抗がん剤治療は,外科手術と併用するか,手術ができない進行がんの患者に対して行います。
 
 手術では,多くの場合,頸部リンパ節の郭清や,喉頭や咽頭の切除を行い,食道も切除することもあり,発声や食事の障害となってしまいます。

 そこで,下咽頭,喉頭,頸部食道を切除した場合,小腸を切断し,切断した部分に移植する再建手術が行われることもあります。

   
 

      咽頭がんの生存率と予後

 
上咽頭がん治療後の5年生存率は,全体で35〜50%,病期ごとに1期では80〜90%,2期では60〜80%,3期では40〜60%,4期では20〜40%です。

 中咽頭がんでは5年生存率は1,2期では80〜90%,3期で60%,4期で40%弱です。

 ただ,中咽頭がんは他の領域にもがんが重複して生じやすいので注意したいところです。中咽頭以外に発症しやすい部位として,他の頭頸部,食道,胃などがあります。


 下咽頭がんは全体で40%弱,1期で約70%,2,3期で40〜50%,4期で30%弱です。放射線単独治療の5年生存率は,1,2期の早期がんに限定すると40〜60%です。

 咽頭がんはいずれも治療後の経過はあまり良くはなく,再発しやすいがんでもあります。また,咽頭がんは喫煙やアルコール摂取との関係が深いので,治療後はたばこやアルコールを控え,定期的にがん検診を受け,早期発見につとめることが大切です。

   


 
         
    咽頭がん最新治療情報 

 近年,放射線治療と抗がん剤治療を併用する放射線化学療法は食道がんなどに手術と同等の成果を上げ,
咽頭がんにも利用されはじめていますが,抗がん剤は副作用も強く,免疫力を低下させ,正常細胞にもダメージを与えるという問題があります。

 そのような問題を解決したのが,日本大学医学部付属板橋病院耳鼻咽喉科教授の木田亮紀教授のグループが開発した,頭頸部がんに有効な「超選択的動注化学と放射線の併用療法」です。


 この方法は頭頸部にできたがんに通じる動脈にカテーテルを挿入し,そのカテーテルに抗がん剤を注入してがんだけに選択的に作用させながら,抗がん剤を中和する薬剤(チオ硫酸ナトリウム)を静脈に注射して,頭頸部の動脈から静脈に流れてきた抗がん剤の作用を減らして,全身への副作用を抑えるというものです。

 この超選択的動注と放射線の併用療法は,とくに進行した上顎洞がん,中咽頭がん(舌根部),舌がんに有効で,これまでにない良好な治療成績を残しています。
 

 しかし,この治療法は中咽頭がんには有効ですが,上咽頭がんや下上咽頭がんへの適用は問題が多いようです。

 上咽頭がんでは,超選択的動注で用いる動脈が抗がん剤による血管障害を引き起こして脳神経マヒを招くことがあります。 下咽頭がんでは,動注のカテーテル操作が難しいため,合併症を起こすことがあります。

 また,喉頭がんでは,抗がん剤が誤って脳に流れて脳梗塞を起こす危険があるということです。

 ただ,進行した上咽頭がんのなかで,がんが頭蓋底に入ったり,頭蓋内を壊したりした場合だけは例外で,命を救うことを優先し,脳神経マヒの合併症を覚悟して,超選択的動注と放射線の併用療法を行うこともあるそうです。