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  がん治療Q&A
   

肺がん治療に有効とされながらも,副作用で死者もでたという「イレッサ」について教えて下さい。
 
  イレッサ(ゲフィチニブ)が開発された当初はイレッサはがん細胞に選択的にはたらき,正常細胞への影響は少なく,副作用もほとんどなく,従来の抗がん剤が効かない肺がん患者にも効果がある「夢の新薬」とマスコミに報道され話題となりました。

投与方法も経口で,1日に1錠飲めばよいという便利なものです。

日本では承認申請から半年という短期間で世界にさきがけて承認され,すぐに保険適応にもなっています。

しかし,実際に投与してみると急性肺障害や間質性肺炎などの副作用が一部の患者に見られ,それによる死者(副作用での死亡率は0.6%)も相次いで報告されたため,「夢の新薬」は一転して「命を奪う危険な新薬」として報道されたのです。

しかし,研究の結果,どのような患者が間質性肺炎を起こしやすいかが分かり,肺線維症などをもとから合併している患者への投与は現在行われていないので,間質性肺炎を起こす患者は減少しています。

イレッサは従来型の抗がん剤では効きにくい非小細胞肺がんの治療に使われ,がんの増殖に関係するチロシンキナーゼという酵素を阻害する分子標的薬です。多くのがんではこのチロシンキナーゼが活性化され,この酵素のはたらきによりがん細胞が増殖すると考えられています。

このイレッサは従来の抗がん剤に比べると効果の持続期間が長く,3年以上も効果を維持している患者もいます。
 
アメリカでは臨床試験の延命効果が見られず,過去に投与され,効果のあった患者のみ認めるという,実質的には中止されるに等しい規制がなされています。

しかし,東洋人や非喫煙者の生存期間は延びているという報告もあり,日本では引き続き承認されています。

このイレッサは効果がすぐにあらわれることが特徴で,投与で症状が劇的に改善する患者もいます。

日米の合同研究チームの研究成果ではこのがん細胞の表面に存在するEGFRという上皮成長因子レセプターの遺伝子が変異をおこしている患者に効果があるという結論に達しました。

このEGFR遺伝子変異あある場合,イレッサの有効率は80%もありますが,変異がない場合は数%程度しかありません。

イレッサは従来の抗がん剤と比較して吐き気や脱毛などのつらい副作用は少なく,皮膚の発疹・掻痒症(そうようしょう),下痢,肝機能障害などが認められていますが,投与を休止することで2週間程度で軽くなります。

現在では転移が確認されたり,がんが大きくなって手術不能な場合や非小細胞肺がんに対して使用されています。

この薬剤の副作用には,発疹,かゆみ,下痢などの副作用がよく見られますが,息切れや呼吸困難,動悸,せき,発熱など風邪によく似た症状がでた場合,間質性肺炎の前兆とも考えられますので,すぐに医師に報告してください。
 
 


手術後におこる合併症について教えてください。 
   がんの手術に限らず,消化管などを縫合する場合など,縫合不全といって縫合部がうまくつかないことがあります。

この場合絶食して治癒する場合もありますが,消化液の漏出や腹腔内出血が見られると致命傷にもなるので再開腹手術を行うこともあります。

この縫合不全は発熱や炎症反応などを伴うことが多く,発生率は部位によっても異なりますが,数%程度であると言われています。


出血も手術で注意しなければならない点です。まれではありますが,術後1〜2週間後に出血をおこすことがあり,出血量が多い場合,輸血が必要となります。また,輸血しても出血が続く場合,再手術して止血が必要となることもあります。

感染症にも注意しなければなりません。特に抗がん剤投与を行った患者には好中球減少症により,感染症がおこりやすくなります。この場合は多くが抗生物質で治療できます。

また,エコノミー症候群と呼ばれているものも術後におこることがあります。これは手術中に足の血管に血栓ができ,それらが心臓や肺に流れていき,心筋梗塞や肺梗塞などを引き起こすというものです。

その他心不全や呼吸不全をはじめ複数の臓器が機能停止となる多臓器不全や,無気肺,肺炎,吻合狭窄,癒着性腸閉塞などが見られることもあります。

 
 

セカンドオピニオンを受けたいのですが,どうすれば受けられるのでしょうか。
  セカンドオピニオンとは主治医以外の第二の意見・見解という意味で,診療,治療を受けている医師以外の医師から治療についてのアドバイスを受けるということです。

アメリカなどではセカンドオピニオンを受けるということは日本より普及しており,医師から「セカンド・オピニオンを求めますか。」と尋ねることも普通になっています。

アメリカでは,がん治療においても,手術,放射線,抗がん剤などの治療の選択に関しては,患者自身が複数の医師の意見をもとに自分で判断することが多いようですが,日本では「主治医の機嫌を損ねるのではないか。」とか気兼ねをし,他の医師の意見を求めることを言い出せないことも多いようです。

特にがん治療において,治療技術は日進月歩であり,手術,放射線,抗がん剤治療はそれぞれ専門性が高くなっており,医師もすべてに精通しているわけではありません。

また,治療方法だけでなく,画像診断においても意見が分かれることもあることから,誤診を防ぎ,よりよい治療を受けるためにもセカンド・オピニオンは必要なことであり,患者としての当然の権利なのです。

まずは主治医の説明を十分納得できるまで聞き,どうしても納得できない,あるいはその治療に不安があるようでしたら,「セカンド・オピニオンを受けたいので関係書類の紹介状を作成していただけませんか。」と話してみてください。自分の治療に自信のある医師でしたら,進んで応じてくれるはずです。

ここでの関係書類とは,カルテや画像情報などの情報提供書のことです。この情報提供がないと,意見を求められた医師は,これまでの治療経過や病状を的確に把握できないため,適切な助言をすることができず,あらたに再検査をしなければならないことになってしまいます。
 
最近ではセカンド・オピニオン専門の外来窓口を設置している病院もありますし,セカンド・オピニオンによってより進んだ治療法を受けられる可能性もあります。進んでセカンド・オピニオンを求め,納得した治療を受けてほしいものです。

ただ,セカンド・オピニオンに医師が協力してくれない場合やセカンド・オピニオンを求める先が見つからない場合も考えられます。そのような時は,セカンド・オピニオンを支援する団体がありますので相談してみてください。

また,このHPのがん治療の病院のページでセカンドオピニオン外来窓口設置病院を紹介していますので,参考にしてください。
   
 セカンド・オピニオンを支援する団体
  
  セカンド・オピニオンネットワーク 
   http://www.2-opinion.net/
 
  セカンド・オピニオンを推進させる会
  http://www.h5.dion.ne.jp/~life-so/index2.html TEL:046-788-7703
 
  日本医療コーディネーター協会 http://www.jpmca.net/
                    
 
 

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 治療をする必要がないがんがあると聞きましたが,どのようながんですか。
  現在,がんが発見されていても,その成長がきわめて遅いなどの理由により,経過観察だけで特に治療はしないとされているがんが,いくつかあります。

まず,そのようながんの一つとして,前立腺がんがあります。このがんは成長速度が遅い上に発症する年齢が比較的高いという特徴があるため,手術をして無理に切除しなくても,がんが大きくなる前に天寿を全うするであろうという考えから,あえて手術をせず,経過観察だけですませる場合もあります。

また,甲状腺乳頭がんと呼ばれるがんも性質がおとなしいものが多く,検診などで見つかる自覚症状のない乳頭がんは,多くが成長が遅く,特に大きさが1センチ以下のがんは「微小がん」と呼ばれ,生涯無害に経過するものがほとんどです。

 マンモグラフィーで微細な石灰化が見られる乳がんの1種である非浸潤がんも成長が遅く,経過観察だけでかまわないとされています。

 さらに,若い女性に発症する子宮体がんも治療する必要がないがんといわれています。なぜなら,子宮体がんは子宮内膜に発生しますが,子宮内膜は月経時ににはがれ,排出されるからです。
 
 

 
がんには悪性度の高いものとそうでないものとがあると聞きましたが,どのように違うのでしょうか。
  悪性度が高いがんとは,がん細胞の増殖速度が速く,転移もしやすいがんです。反対に悪性度の低いがんとは増殖速度が遅く,転移もしにくいがんであるといえます。

悪性度は,腫瘍の持っている性質と患者の体質との要因によって変化しますが,一般には細胞の分化度が低いほど,悪性度が高いと言われています。

細胞は,受精卵から身体の成長と共に身体のそれぞれの組織として機能できるようその構造が変化し,最後には各臓器の細胞として機能します。つまり,受精直後の細胞ほど未分化であり,各臓器を構成する細胞は分化度が高いということになります。

がん細胞は臓器の細胞から発生しても,幼若化する,すなわち未分化な細胞へと逆行する性質があり,組織の細胞に近い形態のがんを高分化がん,組織の細胞の形態がほとんど見られない未熟ながんを低分化がん,組織の細胞が判別できないほど変化したものを未分化がんといいます。

このため,その構造,形態がより未分化なものに近づくほど,より細胞増殖が活発になり,悪性化してしまうと言われています。

悪性度の高いがんとして,代表的なものにスキルス胃がんがあります。このがん細胞は分化度が低いため,増殖も速い上に,消化管の粘膜から発生したがん細胞が消化管壁から外に広がる腹膜転移を起こしやすく,治療が困難ながんです。

反対に増殖速度がきわめて遅いがんもあり,そのようながんに対しては経過観察だけで無治療の場合もあります。

また,同じ部位から発生したがんでも何種類もの組織型があり,それぞれ悪性度が異なりますし,同じ組織型であっても悪性度が異なることがあります。
 
 
 


 腫瘍マーカーとはどのようなもので,何のために利用されるのですか。
  腫瘍マーカーとはがん細胞によって特異的に産生される物質で,正常細胞ではほとんど産生されない物質であると定義できます。

また,がん細胞が生じたため,それに反応して身体から産生される物質も腫瘍マーカーとして扱われています。

すなわち,腫瘍マーカーとはがんが発生することにより,血液中に増加する物質であり,がんの存在や進行度の一つの目安となるものです。

腫瘍マーカーはがんの発見や診断の一つのデータとして利用されたり,治療の効果判定や,再発を調べる経過観察の一部として利用されます。

しかし,ほとんどの腫瘍マーカーは正常細胞や良性腫瘍からも産生され,がんが発生した状態と比較しその産生される量に違いが見られるという程度です。

腫瘍マーカー値は,がんを発症しなくとも炎症などでも上昇することがあり,また,がんの初期では上昇しないことの方が多いといえます。

したがって,この腫瘍マーカーのみでがんと判定することはできません。腫瘍マーカーはがんの存在を判定する上での補助的な診断データの一つととらえるべきです。
 
 
腫瘍マーカーはその物質の種類により,胎児性抗原,腫瘍関連抗原,酵素,ホルモンなどに大別されます。

 がんの診断でよく利用される腫瘍マーカーと診断症状
 
 AFP(α-フェトプロティン)
    肝臓がん・卵黄嚢腫瘍・慢性肝炎・肝硬変など
 
 CEA(がん胎児性抗原)
    大腸がん・肺がん・胃がん・膵がん・胆道がん・糖尿病・肝臓障害など

 CA125(連鎖抗原125)
    卵巣がん・肺がん・乳がん・膵がん・胆道がん・子宮内膜症・骨盤内炎症など
 
 CA19-9(連鎖抗原19-9)
    膵臓がん・胆道がん・胃がんなど

 PSA(前立腺特異抗原)
    前立腺がん
 
 


細胞診とはどのようなものですか。
  細胞を直接顕微鏡で見て,正常細胞か悪性かを診断する検査です。検査方法は,粘膜などの表面をこすって細胞を採取する擦過細胞診,しこりに針を刺して採取する穿刺吸引細胞診,分泌物の細胞診などがあります。

 この検査では細胞の変形の度合を5段階に分け(クラス分類)で評価します。しばしばステージ(病期)と混同されやすいので注意してください。

 class1=正常  
 class2=異型細胞でも良性   
 class3=良性・悪性の判断が困難 
 class4=悪性と強く疑われる   
 
class5=悪性と判断できる


このなかでclass3は通常,数ヶ月後に再検査が行われ,それでもはっきりしない時には生検による診断が行われることもあります。
 
class4はきわめてがんである可能性が高いが,がんでない場合も考えられるということなので,
画像診断や生検などと併用し,総合的に判断される必要があります。

 class5はほぼがんと判断されます。

いずれにせよ細胞診はそれだけでがんかどうかという確定診断はできません。画像診断や生検を併用することではじめてがんの確定診断ができるのです。
 
 



 病期(ステージ)とは何を示すものですか。
  がんの病期(ステージ)とはがんの進行度をあらわす指標であり,この病期の分類にはいろいろな方法がありますが,現在では国際対がん連合が採用しているTNM分類が一般的に使われています。
 

このTNM分類のなかでTとは原発腫瘍の進行度を表し,Nはリンパ節への転移,Mは他の臓器への転移の有無を表します。

また,TはT0〜T4の4段階で,NはN0〜N4の4段階で,MはM0とM1の2段階で表され,これらの組みあわせでがんの進行度を0期〜4期の5段階に分類します。

この病期の指標により,それぞれの病期に対応する標準治療が決定されます。
  
病期0,T 腫瘍の大きさが小さく,隣接する組織に広がっていない早期がんで,ほぼ完治が期待できます。
病期U 腫瘍の大きさが比較的小さく,転移も周囲のリンパ節や隣接臓器にとどまっている軽症がんで,がんの種類にもよりますが多くが完治を期待できます。
病期V 腫瘍の大きさが比較的大きく,隣接する臓器への転移も見られる中期がんで,完治が見込めるとは限りません。
病期W 腫瘍が離れた臓器まで転移しているすなわち遠隔転移が見られる進行がんで完治は難しく,対症療法,緩和療法が中心となります。

 
 


がんの進行とともに,痛みを感じるようになり,モルヒネを使用することになりました。中毒や副作用などはないのですか。
  WHO(世界保健機関)が「WHO方式がん疼痛治療法」を1986年に発表して以来,がんの疼痛緩和の重要性が認識され,モルヒネは安全で有効な疼痛治療薬として,医療現場で積極的に使用されるようになりました。

モルヒネは麻薬に分類されていますが,医師の指示のもと,痛みの治療に使用される限り,中毒にはなりません。

モルヒネは,痛みを止める作用は強力ですが,ヘロイン,マリファナなどの薬物とは異なり,投与により,人格障害が見られることはありませんし,投与をやめても後遺症などはありません。


ただ,身体的依存性はあり,急に薬をやめると,血圧降下が見られたり,気分変調がおきたりすることがありますので,やめるときは徐々に量を減らす必要があり,医師の指導が必要になります。

モルヒネの使用は身体に悪い影響を及ぼし寿命も縮めるのではないかという誤解も多いようですが,モルヒネにより痛みが緩和されると睡眠が十分にとれ,食欲も増し,逆に生存期間が延長する患者もいます。

また,モルヒネは病期にかかわらず一定の鎮痛効果が得られるという優れた特徴を持っています。
 
ただ,副作用がないわけではなく,吐き気や眠気が3割程度の人に見られ,便秘は多くの人に見られます。

吐き気は制吐剤で抑えられますし,眠気は1週間ほどで自然に解消するケースが多いので心配はいりません。それでも続くようでしたら投与量を減らしたり,患者が望むなら,カフェイン投与などで解消できます。 

便秘に関してはモルヒネを続ける限り見られるので,適量の下剤を使ってコントロールする必要があります。
 
 
 
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