皮膚がんの治療はすでに述べたように手術による切除が最も有効であり,早期に発見された場合,切除による完治が期待できます。
したがって抗がん剤治療は,術後の再発防止など補助的な治療法と考えられます。術後補助療法としてはDAVFeron療法があります。
こ治療法はダカルバジン,ビンクリスチン,ニムスチンの3剤併用療法にインターフェロンβを手術部位に皮内注射する方法です。
日本で開発された治療法で,通常は月に1回ぐらいの割合で,2〜3回から5〜6回繰り返します。
しかし,この治療に使われたダカルバジンやビンクリスチンが原因と思われる2次がんの発生(白血病)が報告され,注意が必要です。
この他,抗がん剤フルオロウラシルなどを軟膏の形で皮膚に直接塗布する方法もあります。
●免疫細胞療法
メラノーマには免疫療法が効きやすいといわれ,免疫療法と温熱療法を組み合わせることで効果を上げたという報告もあります。
京都大大学院医学研究科の門脇則光准教授らのグループは,皮膚がんの悪性黒色腫(メラノーマ)が進行した患者に対し, がん細胞を攻撃するリンパ球の働きを活性化させる新たな免疫療法を開発したと発表しました。
開発された治療法は,患者の血液を体外で培養して分化させた樹状細胞に,メラノーマの細胞を投与し,リンパ球を活性化し,さらに免疫を増強する抗がん剤を併用することでリンパ球の働きを強めるという治療法で,副作用が少なく,治療効果の長期持続が期待できるということです。
門脇准教授は「効果が確認できれば、患者の生存期間の延長につながる」として,臨床研究をすすめています。